2016年10月29日(土)

エコパスタジアムにてセカンドステージ16節ジュビロ磐田戦が行われました。

 

優勝争いと残留争い、相対する状況下にあるチームとの対戦はレッズにとってかなり難しいものでした。とはいえ、年間勝ち点一位を目指すうえでは勝ち点3が必須のゲームでした。

 

レッズの先発メンバー

GK西川

DF槙野 遠藤 森脇

MF関根 柏木 阿部 駒井 武藤 高木

FW興梠

レッズは前節の新潟戦から柏木が先発に復帰。ジェイ対策で那須をセンターに置く可能性もありましたが、遠藤が先発。現在組めるベストのメンバーで臨みました。

 

ジュビロの先発メンバー

GKカミンスキー

DF山本 大井 藤田 森下

MF宮崎 上田 川辺 太田 アダイウトン

FWジェイ

引き分けだった名古屋戦から一人を変更、怪我の中村に代わって森下がスタメン。アダイウトン、ジェイのコンビには要注意でした。

 

  • 前半・・・ハマらないジュビロの守備

戦前の予想通り、序盤からレッズが試合を支配する展開となります。レッズはいつも通り5トップとバックラインを3枚、4枚に可変させるビルドアップでマークにズレを誘発しにかかります。

一方ジュビロはバックラインは4枚のまま、両サイドハーフが守備時には帰陣し、6バックの様になる形。攻撃時にはまずジェイを狙い、そこでのキープを前提とした攻めと、中盤でのカットからのショートカウンターが主となりました。できる限りラインを上げ、前線からのプレスをハメにかかっていました。

開始直後こそ追い込むことに成功していましたが、プレスがはまらなくなります。この際大きな働きをしていたのが復帰した柏木です。積極的に中央でボールを受け、サイドにボールを散らします。これによりジュビロのサイドハーフは帰陣を余儀なくされ、前線からのプレスは迫力を失います。また、ジュビロのトップ下に入っていた川辺とジェイのポジショニングが問題でした。ジェイは追うのか、コースを切るのか中途半端になり逆に自身の裏を使われます。川辺は闇雲にバックラインに突っ込み、不用意にボランチとの距離を開けてしまいます。ラインが上がっていた序盤こそ機能しますが、徐々に下がってしまったために、前線とボランチの間に広大なスペースを柏木に提供する結果になりました。中途半端になった前プレを尻目に、柏木からの捌き、遠藤からのロングボールでチャンスを多く生み出します。

次に穴になっていたのが浦和の右サイド。駒井、森脇と森下、アダイウトンがマッチアップするサイドです。特にアダイウトン、帰陣するタイミングが早すぎるために森脇を簡単にフリーにします。距離を空けていても奪いには行くので、森脇は簡単に駒井にボールを渡せる状況を生んでいました。結果駒井と森下は一対一の状況を多く迎えました。しかし、駒井は対面の森下に手を焼きます。一対一の勝負は制するものの、肝心のクロスをひっかけられてしまいます。駒井の弱点であるドリブル後のクロスと、左足でのプレー制度が出てしまいました。

前半レッズはやりたい放題ボールを回し続け、中央、サイドからチャンスを創出し続けましたが、カミンスキーのセーブもありスコアレスで折り返します。

 

  • 後半・・・じわじわと仕留めにかかる浦和、攻め手のない磐田

後半も状況は変化しません、中途半端な前線のプレス、隙を作り続ける両サイド、上がらないカウンターの精度、レッズが先制点を取ればそのまま終結という流れでした。

ジュビロが先に動きます。後半21分、アダイウトンに変わって斎藤が投入されます。アダイウトンに守備の問題があることに気が付いたのか、そのままサイドにポジションを取り、駒井の突破を挟みにかかります。その直後、レッズも動きます。高木に代えて李を投入し右シャドーへ、武藤を左に移します。結果的にはこの交代が決勝点を生み出します。李は武藤や高木とは違い、サイドやボランチとセンターバックの間でボールを受ける動きがうまい選手です。

後半27分先制点のシーン。まず李がサイドでボールを受けます。森下と斎藤の間、駒井を飛ばしたパスがタッチライン上で収まります。そこへ内側から駒井がサポートに入り、李からボールが渡されます。この時斎藤はマークを外し付いていかず、ボランチの上田が対応します。ここで森下と挟めれば問題ないシーンでしたが、李がさらに内側を回る動きを見せたことで森下はボールに行けず、駒井は上田と一対一の状況となります。ここからは駒井の真骨頂、ボールを前に出し、アジリティを生かして完全に置き去りにします。駒井はゴールライン際からニアにいた大井の頭を越えるクロスを供給し、武藤のヘディングシュートがネットを揺らし、先制点となりました。超高難易度のシュートを沈めた武藤はもちろん、前半からあれだけ引っかけていたクロスをこの場面までに修正して見せた駒井は見事でした。チームとしての約束事、個の力が凝縮されたレッズらしいゴールで先制に成功、これが決勝点となりました。

残留のかかる磐田はここから巻き返しにかかります。失点の直後、ボランチの宮崎と松浦を交代します。斎藤を前線へ、川辺を一列下げ松浦を中央に配し、変則的な4-3-3のようなシステムに変更します。上田、川辺、松浦でポゼッションを上げ、太田からジェイを狙う形に切り替えます。交代直後から、松浦を経由した攻撃が何度か生まれます。しかしそのパターンも数回で見られなくなり、フリーマンの様にして動き回る松浦が中盤にスペースを生み出してしまったことにより、ボールロストからカウンターを受け続けることとなりました。レッズが決めきれなかったこと、カミンスキーのセーブがなければ試合が決まっていました。

終盤ジュビロは森島を投入してパワープレーに切り替えますが決定機を作ることはできず、0-1のままレッズが勝利、2ndの優勝と、年間勝点一位を維持することに成功しました。

 

  • 総括

チーム力の差が完全に試合内容に反映されました。一朝一夕の守備組織ではレッズの今の攻撃は防ぎきることはできず、攻め手のない状況でジュビロは勝機を見出すことは不可能でした。ジュビロにとって誤算だったのはジェイが全く機能しなかったことでしょう、レッズのディフェンス相手にボールをほとんど収められず、攻めに出ることができませんでした。集中力の高いレッズディフェンスはジェイにいいボールを入れさせず、ジュビロの決定機は試合通じてありませんでした。

レッズとジュビロの最も大きな差はボランチのポジションのクオリティでしょう。阿部と柏木のコンビはシャドーなどの他のポジションとの連携が整理され、守備においてほぼ隙を見せませんでした。一方ジュビロの上田と宮崎のコンビは前線の問題もあり守備時のポジショニングに迷いがありました。結果的にボールにアプローチできず、レッズに自由なパス回しを許しました。攻撃時も効果的なボールを前線に出せず、バックパスを繰り返すのみ、全体のブレーキとなっていました。

最後にミシャの采配に言及します。この日も交代がはまる結果となりました。前半は高木を使って単独での突破や、ロングボールからの攻めでリスクをあまり侵さず相手ディフェンスを疲弊させる。そして途中交代でコンビネーションを使える李を最初のカードとして切り、間の空いたディフェンスに決定的な穴を作り出す。クローザーとしてズラタン、青木を用いて、前線での時間稼ぎと守備の安定をもたらす。すべての交代に意味のある、理詰めの采配でした。

 

2nd優勝を6連勝で達成し、次節は年間勝ち点一位を自力で勝ち取れる状況となった今年のチーム力は本物です。

期待して次節のマリノス戦に臨みましょう!!