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23年前のグァム島での出来事。
金曜日の夜、仕事を終えて僕は、一路グァム島に向かった。
既に向こうには、四人の後輩が滞在していた。月曜日の朝、羽田からそのまま出勤する、コンパクトなバカンスである。
空港に迎えに来たレンタカーに乗るや否や、差し出されたジョイントで、気分は一気にバグース! そのままトップレスのポールダンサーが踊る、ショットバーに入り、気分は上々。 思わず自分が、会社帰りのスーツ姿であることを忘れて、はしゃいでいた。
グァム島に入ってくるハッパは、当時主にパラオ諸島からの物が多かった。 タイステック程重くなく、動ける感じのライトである。 記憶に残らない位時間はアッと言う間に過ぎ、日曜の夜早くに予定よりも全然早く、手持ちのハッパを吸い切ってしまった。
残り数時間とはいえ、何も無いのはテンションが下がる。
大した量が必要な訳では無いので、そこら辺のそれラシイ奴に、声でも掛けて聞いてみよう!ッてな事となり、早速リカーショップの前で飲んだくれている、現地人ポイ奴に声を掛けてみた。
話してみて解ったが、奴らは相当酔っ払っていた。 そこで気ずくべきであった。
奴らは我々の要望を気やすくOKし、二人の後輩に代わりレンタカーに乗り込み、指示されるがままクルマを走らせた。 すると思いの外街を外れ、人気の全く無い牧草地に入って行った。 と、道ではないブッシュの切れ目にクルマを入れろ、との事。
でかいアメ車のボディーをブッシュにこすりながら、真っ暗な道無き道を進むと、前方にランタンを吊した、納屋のような小屋が現われた。
正面のテラスに、微かな音で大きなラジカセを聞いている三人が座っている。 その数メートル手前でエンジンを切り、クルマを降りた。 挨拶をするためテラスへ行こうと、建物の入り口の奥をふっと覗いたところ、その暗闇には約二十人程の黒い奴らが寝ていた。
話を聞くと彼らは、トラック諸島から仕事に就くため、密航してきた連中らしい。
しかし、暗闇であの人数の黒っぽい奴らが寝ていると、異様な空気を感じる。
ハッパの金を渡した奴は、ものを取りにテラスのから三十メートル程離れた所にある、小屋に向かった。
それから二十分以上は過ぎただろうか? 余りの遅さに苛立ち始めた頃、先程の小屋から大声で何かを言いながら、誰かがこちらに向かってくる。
何やら、棒のようなものも振り回している。
だんだん近ずいてきて、それが先程金を渡した奴だと解った。 どうやら奴は棒を振り回して我々を威嚇し、追い返そうとしているのだった。
それに気付くや否や、後輩二人は一目散にクルマに乗り込み、エンジンをかけ逃げようとする。
が、しかし僕はキレていた。 このハッパのディールは、先輩である自分が表に立ち進められたもので、そう易々と尻尾を巻いて逃げられなかった。 クルマから大声で後輩が僕に逃げるよう叫ぶ。
その声に触発されるかのよう、裏で寝ていた連中が、ぞろぞろと表にでてきた。 威嚇すれば、逃げるだろうと思っていた奴は、二メートル程前で一瞬立ち止まり、僕が逃げない事を知ると、右手にぶら下げていた棒を頭上に振り上げた。 その一瞬、僕は奴の右手首下に飛び込み、振り下ろされる手首を、自分の左腕で受けとめた。 以前剣道をやっていた事が、こんな形で活きるとは。 奴が持つ棒を強引に奪い取ると、すかさず僕は奴の目前でその棒を振り上げた。 その瞬間、周りの空気が凍った。 奴らも動けない。 状況を判断した僕は、その棒を出来るだけ遠くへ、投げ捨てた。 僕は、 「なめんじゃねえぞ、この野郎」 と、日本語で捨て台詞を吐くと、後輩が待つクルマに乗り込んだ。 奴らが一斉に小屋の壁のトタンを叩き鳴らし、我々を威嚇するなか、でかいアメ車をバックで逃げる。 我々が見えなくなるまで、その音は続いていた。
通りに出て僕は、ガソリンスタンドに行くよう後輩に指示した。 気の納まらない僕は、奴らの小屋を焼き討ちにしてやるつもりだった。 だが二人の後輩は、「もう勘弁して下さい、ホテルに帰りましょう。」と、今にも泣きそうな顔をしている。 それでも納まらない僕は、ホテルで後輩四人に説得されて、ようやく断念した。 飲み直しに街に出て、そうこうするうちに帰る時間が迫ってくる。 僕はまた来た時同様スーツに着替え、機上の人となった。
そして何も無かったかの様に、いつもどおりの出勤をした。 違いと言えば、少し日焼けをして、浅黒くなったことだろう。 通常の業務に就きながら、ふっとあの事を思うと、アレが現実だったのか、不思議な世界にさ迷い込んだかのようである。
トラック諸島のクソ野郎。なめんじゃねーぞ!
バグース!
23年前のグァム島での出来事。
金曜日の夜、仕事を終えて僕は、一路グァム島に向かった。
既に向こうには、四人の後輩が滞在していた。月曜日の朝、羽田からそのまま出勤する、コンパクトなバカンスである。
空港に迎えに来たレンタカーに乗るや否や、差し出されたジョイントで、気分は一気にバグース! そのままトップレスのポールダンサーが踊る、ショットバーに入り、気分は上々。 思わず自分が、会社帰りのスーツ姿であることを忘れて、はしゃいでいた。
グァム島に入ってくるハッパは、当時主にパラオ諸島からの物が多かった。 タイステック程重くなく、動ける感じのライトである。 記憶に残らない位時間はアッと言う間に過ぎ、日曜の夜早くに予定よりも全然早く、手持ちのハッパを吸い切ってしまった。
残り数時間とはいえ、何も無いのはテンションが下がる。
大した量が必要な訳では無いので、そこら辺のそれラシイ奴に、声でも掛けて聞いてみよう!ッてな事となり、早速リカーショップの前で飲んだくれている、現地人ポイ奴に声を掛けてみた。
話してみて解ったが、奴らは相当酔っ払っていた。 そこで気ずくべきであった。
奴らは我々の要望を気やすくOKし、二人の後輩に代わりレンタカーに乗り込み、指示されるがままクルマを走らせた。 すると思いの外街を外れ、人気の全く無い牧草地に入って行った。 と、道ではないブッシュの切れ目にクルマを入れろ、との事。
でかいアメ車のボディーをブッシュにこすりながら、真っ暗な道無き道を進むと、前方にランタンを吊した、納屋のような小屋が現われた。
正面のテラスに、微かな音で大きなラジカセを聞いている三人が座っている。 その数メートル手前でエンジンを切り、クルマを降りた。 挨拶をするためテラスへ行こうと、建物の入り口の奥をふっと覗いたところ、その暗闇には約二十人程の黒い奴らが寝ていた。
話を聞くと彼らは、トラック諸島から仕事に就くため、密航してきた連中らしい。
しかし、暗闇であの人数の黒っぽい奴らが寝ていると、異様な空気を感じる。
ハッパの金を渡した奴は、ものを取りにテラスのから三十メートル程離れた所にある、小屋に向かった。
それから二十分以上は過ぎただろうか? 余りの遅さに苛立ち始めた頃、先程の小屋から大声で何かを言いながら、誰かがこちらに向かってくる。
何やら、棒のようなものも振り回している。
だんだん近ずいてきて、それが先程金を渡した奴だと解った。 どうやら奴は棒を振り回して我々を威嚇し、追い返そうとしているのだった。
それに気付くや否や、後輩二人は一目散にクルマに乗り込み、エンジンをかけ逃げようとする。
が、しかし僕はキレていた。 このハッパのディールは、先輩である自分が表に立ち進められたもので、そう易々と尻尾を巻いて逃げられなかった。 クルマから大声で後輩が僕に逃げるよう叫ぶ。
その声に触発されるかのよう、裏で寝ていた連中が、ぞろぞろと表にでてきた。 威嚇すれば、逃げるだろうと思っていた奴は、二メートル程前で一瞬立ち止まり、僕が逃げない事を知ると、右手にぶら下げていた棒を頭上に振り上げた。 その一瞬、僕は奴の右手首下に飛び込み、振り下ろされる手首を、自分の左腕で受けとめた。 以前剣道をやっていた事が、こんな形で活きるとは。 奴が持つ棒を強引に奪い取ると、すかさず僕は奴の目前でその棒を振り上げた。 その瞬間、周りの空気が凍った。 奴らも動けない。 状況を判断した僕は、その棒を出来るだけ遠くへ、投げ捨てた。 僕は、 「なめんじゃねえぞ、この野郎」 と、日本語で捨て台詞を吐くと、後輩が待つクルマに乗り込んだ。 奴らが一斉に小屋の壁のトタンを叩き鳴らし、我々を威嚇するなか、でかいアメ車をバックで逃げる。 我々が見えなくなるまで、その音は続いていた。
通りに出て僕は、ガソリンスタンドに行くよう後輩に指示した。 気の納まらない僕は、奴らの小屋を焼き討ちにしてやるつもりだった。 だが二人の後輩は、「もう勘弁して下さい、ホテルに帰りましょう。」と、今にも泣きそうな顔をしている。 それでも納まらない僕は、ホテルで後輩四人に説得されて、ようやく断念した。 飲み直しに街に出て、そうこうするうちに帰る時間が迫ってくる。 僕はまた来た時同様スーツに着替え、機上の人となった。
そして何も無かったかの様に、いつもどおりの出勤をした。 違いと言えば、少し日焼けをして、浅黒くなったことだろう。 通常の業務に就きながら、ふっとあの事を思うと、アレが現実だったのか、不思議な世界にさ迷い込んだかのようである。
トラック諸島のクソ野郎。なめんじゃねーぞ!
バグース!