地元の街をうろついてみたんだ。
いつもと変わらない街の中を
早足で歩いていると
いつもと変わらない景色の一部と化した
おっさんがいた。
そのおっさんは
いつもとあるアパートの前の通りで
けん玉をしているんだ。
おっさんは
今日も
ただひたすら、けん玉をしていた。
俺はおっさんに尋ねた。
「おい、おっさん。何であんたは来る日も来る日もここでけん玉をしているんだ?」
するとおっさんが答えた。
「画家は絵を描く、魚屋は魚を売る。俺はたまたまけん玉だっただけの話だよ。」
おっさんは俺の困った顔を見て、さらに続けた。
「何だっていいんだよ。何だって。」
俺は近くにあったボロボロの自販機で
ワンカップを買い、おっさんに渡して
何も言わずにその場を後にした。
あのおっさんは
明日もあの場所でけん玉をしているのだろう。
何だっていいんだよ。
何だって。
