弊誌11月号は本日22日より店頭販売を開始しております。
今月号では「安倍政権はアメリカの傀儡になったのか」という特集を組みました。安倍政権誕生から3年を迎えようとしています。安倍総理は「日本を取り戻す」というスローガンに掲げて日本の自立を目指しているように見えましたが、実際にはリチャード・アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ元国務次官補が連名で発表した「第3次アーミテージ・ナイレポート」に則った政策を実行しているだけであり、完全にアメリカの傀儡に堕してしまっています。
例えば、集団的自衛権の行使容認や安保法制、ホルムズ海峡の機雷掃海、南シナ海の監視活動、特定秘密保護法、原発再稼働、TPP交渉参加、外国人労働者拡大、女性活躍推進法……。これらは全てアーミテージ・ナイレポートによって日本に要求されたものです。
口ではアメリカからの独立を主張しながらも、現実にはアメリカに従属してしまうのは何故か。昔から安倍総理のことをよく知る衆議院議員の亀井静香氏は、安倍政権の現在の政策は安倍総理の本心からのものではないと指摘しています。亀井議員は、安倍総理は企業さえ儲かればよいとは考えていないが、総理の周りにいる新自由主義者たちがどんどん新自由主義的政策を進めており、また安倍総理は対等な日米関係を築こうとしているが、外務省がどんどん対米従属を強めていると批判しています。亀井議員は、本来なら安倍総理がこうした取り巻き連中を制止しなければならないが、総理にはしっかりとしたブレーンがいないのでそれができないと述べています。
上記に列記したものに加え、農協改革も在日アメリカ商工会議所から要請されたものです。経世論研究所所長の三橋貴明氏は、今回の農協改革の問題点の一つとして、農地法の改正を挙げています。これにより、農地を保有する株式会社について、外国資本でも株式の49・9%まで持てるようになりました。これは事実上、日本の農地の外資支配を認めるということです。もし中国政府とつながりの強い中国資本が日本の農地を支配するようなことになれば、日本の食糧安全保障は崩壊します。
また、今月号では、PKOの駆けつけ警護について、国連PKO幹部としてシエラレオネや東ティモール、アフガン紛争に関わった経験のある伊勢﨑賢治氏にお話を伺いました。伊勢崎氏は今回の安保法制の不備を指摘しています。もし自衛隊が武装勢力と交戦状態に陥ったとしても、自衛官は憲法の制約から「交戦権」、つまり「敵を殺す権利」を持っていません。しかし、武装勢力は当然、自衛隊を殺しにかかってきます。その意味で、自衛隊は武装勢力と対等ですらなく、非常に危険です。また、もし自衛隊が敵を殺したとなると、日本国内で激しい拒絶反応と共に憲法違反という問題が起き、自衛隊は非難にさらされる恐れがあります。かといって敵を殺さなければ、住民保護という責任を放棄したことになり、国連で問題となります。
伊勢﨑氏は自身が東ティモールの暫定知事を務めていた時、武器使用基準を緩め、敵を目視したら警告なしで発砲していいことにしました。これにより、国連平和維持軍は敵対する民兵十数名を殺害しました。これは国際法上違法ではありません。しかし、伊勢崎氏は、それでも胸の中に後ろめたさ、重苦しさを抱え込むことになった、戦場は人を変えると述べています。
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