翁長沖縄県知事訪米す! | 『月刊日本』編集部ブログ

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日本の自立と再生をめざす言論誌

 今回も引き続き、7月号の内容紹介をしていきたいと思います。

 今月号では「翁長沖縄県知事訪米す!」という特集を組みました。日本のメディアの多くは、翁長知事はアメリカから相手にされなかったという否定的な報道を行いました。また、菅官房長官も「知事も時間をかけて米国まで行ってきたんですから、辺野古移設は唯一の解決策であると認識して帰ってこられたのではないか」と述べています。

 しかし、こうした認識は間違っています。作家の佐藤優氏は、翁長知事の訪米は所期の目標を完全に達成したと述べています。今回の訪米の目標は二つありました。一つは、アメリカ政府当局者に沖縄の見解を伝えること、もう一つは沖縄系アメリカ人を味方につけることです。

 最初の目標は、ワシントンを訪れた時点で既に達成されています。日本のマスコミでは翁長知事との会談に応じたアメリカの役人が格下だったことが強調されていますが、官僚組織なので、誰が対応しようと必ず上まで報告が上がります。

 二つ目の目標については、翁長知事がハワイを訪れたことに注目する必要があります。ハワイ州知事であるデービッド・イゲ氏は、アメリカ初の沖縄系アメリカ人の知事です。日系ではなく、あくまでも沖縄系です。ハワイ州の公式HPにも「first governor in the United States of America of Okinawan decent.」と書かれています。つまり、アメリカは日本人と沖縄人は別の民族だと認識しているということです。沖縄系アメリカ人自身、日本人としてのアイデンティティは希薄ですが、沖縄人としてのアイデンティティは明確に持っています。

 イゲ知事は翁長知事との会談で、大変な苦悩の中にいる沖縄に対して、同胞として助け合わなければならないという意思をはっきり示しました。このように、二つ目の目標も完全に達成されています。

 哲学者の山崎行太郎氏は、なぜ沖縄が戦後本土から切り離されてしまったかということに着目しています。山崎氏は前関西学院大学教授の豊下楢彦氏の『昭和天皇・マッカーサー会見』(岩波書店)の実証的な研究を参照しつつ、そこには昭和天皇が関わっていた可能性があると指摘しています。

 例えば、昭和天皇は沖縄についてアメリカに自らの見解を伝えています。いわゆる「沖縄メッセージ」です。そこでは、米軍による沖縄占領が25年から50年、あるいはそれ以上継続されることを望む旨が述べられていました。

 もっとも、山崎氏はそれを批判しているのではありません。昭和天皇の決断は日本の共産化を防ぐための政治的リアリズムだったと指摘しています。それと同時に、今上陛下が何度も沖縄を訪れているのは、沖縄への責任感からではないかと指摘しています。

 今月号ではマレーシア元首相のマハティール・モハマド氏にもインタビューしました。1981年にマレーシア第四代首相に就任したマハティール氏は、「日本に学べ」をスローガンとするルック・イースト政策を採用し、それまでの同国の政策を大転換しました。首相退任後も毎年来日しているマハティール氏に、昨今の世界情勢や日本の在り様について縦横無尽に語っていただきました。

 その他にも読み応えのある記事が満載です。ご一読いただければ幸いです。(YN)



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