ベータ線を測定してみましょう | 放射能の測り方

ベータ線を測定してみましょう

 人がどれくらい外部被曝しているのかを評価するためには、


空間放射線量の測定を行います。その場合はガンマ線を測定します。


ここでは内部被曝の評価を行うために使われる、


全ベータ放射能測定を使ってベータ線を測定します。


LND7317の有感部の直径は45mmとそこそこの大きさがありますので、


試料中のカリウムの測定には、この測定方法を使ってみます。


全ベータ放射能測定は、名前の通り試料から出る全てのベータ線を測定し、


比較試料(カリウムやウランなど)と比較することで、


試料の中の放射能がどれくらいなのかを測定する方法です。


小難しいことはひとまずおいといて、実際に測定してみることにしましょう。


測定の手順は次の通りです。

・比較試料(塩化カリウム)を15~30分測定する。
・BG(バックグラウンド:自然の放射線)を15~30分測定する。
・試料を15~30分測定する。
・BG(バックグラウンド:自然の放射線)を15~30分測定し、最初の値との平均値を取る。
・試料の計数率(cpm)からBGの計数率(cpm)を差し引き、真の計数率(cpm)と標準偏差を求める。
・放射能の計算をする。


放射能の計算をしようとすると結構大変なので、


ここでは下記のサイトを利用させてもらうことにしました。


 放射能の測定β


こちらのサイトはベータ線測定をメインに解説されており、


フォームの入力欄の中に測定した数値を書き込むだけで放射能の計算を行ってくれます。


便利ですね~。


 測定には昆布とバナナを用意しました。



放射能の測り方 放射能の測り方


この測定法を行うためには、素材を灰にするか危険な薬品で溶かす必要があるのですが、


ここでは灰にする方法にしました。


まず水分を飛ばします。


ここでは電子レンジで飛ばします(実際には気長に熱源の下で乾燥させる)。


乾燥したら魚焼きガスコンロで焼いて炭にします。


その炭をるつぼに入れてアートクレイ用の小型電気炉で


約1時間半ほど(実際にはもっと長い時間をかけて灰化するそうです)


500℃~600 450~500℃の温度で熱し灰を作ります。


できた灰は簡易デシケーターの中で湿気を取ります。


後で放射能の計算に必要になるので、灰化前の重量と灰化後の重量をメモっておきます。


最終的に500mgあれば測定できます。


測定装置はこんな感じに作りました。

放射能の測り方

アクリル板の上に試料皿を乗せ、5mmの高さにGM管が来るようにゲタをおき、


その上にビニール袋に入れたGM管を乗せることにします。


試料皿はPP樹脂(ペットボトルのふたを加工したもの)を使います。


そういうわけでこちらが測定結果です。


使用計数管 LND7317
マイカ窓の厚さ 2mg/cm^2
比較試料 塩化カリウム
試料皿の形状材質 PP樹脂製内径25mm


種類部位

昆布(乾燥)
入手場所 駅中惣菜屋(産地不明)
入手年月日 2011/02/??
測定年月日 2001/06/11
新鮮重量 5g
灰化後重量 1000mg
比較試料の計数値 4605カウント
比較試料の測定時間 30分
試料の計数値 3083カウント
試料の測定時間 30分
BG計数値 1246カウント
BGの測定時間 30分
★比較試料真の計数率 111.97±2.55[cpm]
★試料真の計数率 61.23±2.19[cpm]
★新鮮分の放射能 1640.67[Bq/Kg]


種類部位

バナナ(しっぽ側約1/2)
入手場所 生協(フィリピン産)
入手年月日 2011/06/12
測定年月日 2001/06/12
新鮮重量 70g
灰化後重量 1800mg
比較試料の計数値 4398カウント
比較試料の測定時間 30分
試料の計数値 2172カウント
試料の測定時間 30分
BG計数値 1224カウント
BGの測定時間 30分
★比較試料真の計数率 105.8±2.5[cpm]
★試料真の計数率 31.6±1.94[cpm]
★新鮮分の放射能 115.2[Bq/Kg]


放射能の数値を見ると、測定方法はともかくそれっぽい数値になっているように見えます。


たださらに測定を重ねてみないとなんともいえないですが。


あとこれと同じGM管を採用しているインスペクターでも同様の測定ができるのかなとか思ったり。


実際に測定してみた感想は、…とにかく時間が掛かります。


これでもかなり手抜きな感じなのですが^^/


試料の加工は何日かに分けて行うのがよさそうだなと思いました。


新鮮分のバナナは1/4本でもよさそうです。


そうしたら残りをもっとたくさん食べられますね。



今回使った道具
電気炉

アルミナるつぼ

精密はかり



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