2022年2月23日(祝)、幕張メッセで開催された

「乃木坂46時間TV スペシャルライブ」内で

初披露されて以後、様々な論争が

SNS各所で繰り広げられている

乃木坂46の最新シングル表題曲『Actually...』

 

私自身、46時間TV初披露時から同日の

「テレ東音楽祭」での地上波初披露、

そして「シブヤノオト」での披露、

ストリーミングサービスでの解禁までの間、

今回の(異常なまでに異様な)混乱は

どうして起こるのか考える時間が多くなった。

結論が出ているわけではないが、

改めて29thシングル収録曲を聴き通し、

この期間に感じたことを備忘録的にまとめたいと思う。

 

以下文章の前半は46時間TVでの初披露後に

書いた文章をほぼそのまま引用している。

一方各曲の印象はストリーミング解禁以降の

印象と文章のため、表現に若干の差異があること

ご容赦いただきたい。


尚、今回の投稿にあたり、

『Actually...』の周りで起きた中西アルノをはじめとする

個人の動向については極力触れることを避ける。

また"推しメン"である秋元真夏や久保史緒里への

過度な個人的な言及も避ける。

あくまで29thシングルの

楽曲たちに寄せたものを取り上げたい。

 

今回話したい点は大きく分けて以下になる。

1.乃木坂46時間TVにおける『Actually...』

  混乱の背景

2.ストリーミング解禁後、各楽曲について

3.来たる「10th Birthday Live 

  @日産スタジアム」へ向けて

 

「乃木坂46時間TV」最後のパートを飾る

スペシャルライブが始まる時、視聴者は

とても濃度の濃い高揚感に包まれていたと思う。

46時間をかけてメンバー個人の努力や

乃木坂46への想い、期や選抜アンダーを超えた繋がり、

グループとしての絆を物語として十分過ぎる程に浴び、

その締めくくりとして達成感とともに

迎えるライブであった。


1曲目の『他人のそら似』だけで

その文脈を回収するには十分だったし、

歴史を辿るように披露される

『キスの手裏剣』『三番目の風』

現状乃木坂46随一の熱量を持つ『日常』

歴史を辿ったうえで成長を実感させる

『口ほどにもないkiss』『僕は僕を好きになる』

『ごめんねFingers crossed』

そして、乃木坂46としての最大限の愛を届ける

『Sing out!』

 

10年走り続け、この46時間をやり切った達成感を

味わうことと、新曲披露のお膳立て

(と表現するにはあまりにもいいライブであったが)

は十分だった。


が、この後の映像。

ここが『Actually...』初披露後に

混乱が起きた背景にあると思う。

映像の前半は『他人のそら似』に乗せて

46時間TVの達成を労うもの。


そこから雰囲気が一転"これまでにない才能"

として新曲と中西アルノの紹介、初披露に繋がる。

私個人が感じたことは、

『Actually...』導入までの映像後半が、

これまでの10年や46時間TVから分断されて、

ただ"革新をもたらすもの"を紹介しただけ

になってしまっていたと感じた。


前述の通り、ここまでのライブには

得も言われぬ多幸感があった。

だからこそ、あの映像でこれまでもたらされた

幸せの保存場所が一気に見えなくなった。

(それ故、楽曲にも集中できなかったのが本音である。。)


確かに歌唱構成についてはこれまでと異なる

楽曲だったので、"変化"を中心に据えられた

前提があり、また、中西アルノを中心に

据えた光景が平手友梨奈と結びつき、

いわゆる"欅"的楽曲と直感的に

SNSで捉えられてしまったのも

ある意味致し方ないことかと感じる。 


だが、『Actually...』でセンターを務める

中西アルノの周りには

賀喜遥香がいる、

遠藤さくらがいる、

与田祐希がいる、

山下美月がいる、

何より齋藤飛鳥がいる。

この挑戦的な楽曲が、

きっと乃木坂46のクリエイティブとして

機能していくものと願っている。

 

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さて、そんな初披露から半月ほどたった

3/15に、29thシングルの全曲を

ストリーミングサービスで聴取できるようになった。

この期間に乃木坂46が楽曲ではない印象論でしか

語られなくなったのは悲しいことだが、

各曲を聴いて改めて感じたことを順を追って記載する。

 

1.『Actually...』

まず、音源として聴くと、これまでより

明らかに音がクリアに聞こえる。

29th全体として、ミックスが改善されたのであろうか。

中西アルノの声を聴かせることに

重きを置いていたのか、曲中でも

"乃木坂46の声"があたる音域部分は

スペースが開けられている感じ。

キックの4つ打ちは相変わらずだが、

全体的に低音が出ているものの

すっきりと歌詞も聞こえる。

この曲が表題曲になることで

後述のカップリング曲と合わさって

一枚の盤としてのバラエティが

強くなっているようにも思う。

個人を取り上げると、

Aメロの齋藤飛鳥と山下美月の仕事は、流石だなと。

 

2.『深読み』

「なんだかごく自然に部屋の隅を選んでしまう 

真ん中は落ち着かなくて好きじゃない」

齋藤飛鳥へのあてがきじゃないかと思うほど。

私は今作ストリーミングでしか聴かないのだが、

"これ2曲目なんだ"という感想。

次曲の『価値あるもの』に繋いでいく順として

面白いが、なんというか、

シークレットトラック的な、そぐわない面白さ。

乃木坂46でBUMP OF CHICKENをやったら

どうなるのだろう。誰にも聴かれないのかな。

3.『価値あるもの』

乃木坂46が今取れる最高の横綱相撲やん。

乃木坂46楽曲のフォーマットと化した

"杉山勝彦楽曲"を"年代で組まれたユニットが歌唱"し、

"久保史緒里がセンター"を務める。

それこそ46時間TV以降にSNS各地で沸き起こった

"乃木坂46らしさ"論争においてその人たちが

一番訴求しているものがこれであろう。

私自身とても好きな楽曲ではあるが、

(推しメンのことはなるべく言及しないと書いたのだが)

1つ心配がある。

久保史緒里が背負う乃木坂46としての

物語や責任が日に日に大きくなっていく今、

環境から求められるものが多すぎて、

彼女もそれに(半ば自発的に)応えようとして、

最後には"乃木坂46"という概念というか、

目に見えないものになって

消えてしまうんじゃないかという

突拍子もない不安を感じてしまう。

久保史緒里さん、あなたはどうか、あなたのままで。

 

4.『忘れないといいな』

「卒業ソングってこうだよな」と

素直に思わせてくれた曲。

知らない人がこの曲を大阪駅前の広場で

歌っていても素通りするだろうが、
北野日奈子が歌うから意味がある。

これは楽曲以上にMVが個人的には印象に残っている。
サビで歌われる

「これから出会ういろんな人 

 記憶の中に溢れるでしょう」

「これから増える思い出だって 

 きっとどれも楽しいでしょう」

過去と現在と未来それぞれから見える視点を、

伊藤衆人監督は髪型一つの違いで描いている。

北野日奈子を応援してきたファンが見れば、

その二人の間にある物語は無限だろう。

 

5.『届かなくたって...』

展開の妙と今作内一の低音が面白かった。

エレクトロなサウンドxテンポ/ビートチェンジは

乃木坂46のライブでみられる展開。

"真夏の全国ツアー2019"での『日常』や

幾度となくライブで披露された『制服のマネキン』に

通ずるところもあるのかなと。

 

6.『絶望の一秒前』

まず圧倒的に音がいい。笑

5期生が初めてもらった楽曲。

明確にコロナ禍以降の楽曲になっていた。

平凡に続いてきた日常ががらっと変わり、

自分で選択し考え続けることを

より深く突き付けられた世界。

夜明けも来るかわからない、

明日も信じられない世界で見えた一筋の光。

「結局は君自身 どうしたいか聞こう」

そんな言葉とともに世界に抗い、

進むことを迫られた5期生。

歌詞はどこか鬱屈としているものの、

曲中を通して聞こえるピアノのリフレインや、

多幸感あふれるミックスで現代における

フレッシュさをきれいに表現しているのでは。

絶望の一秒前、一筋の光が彼女たちであることを願って。

 

7.『好きになってみた』

「山下美月は最高だな」と思わずにいられなかった。

もはやおなじみになりつつある

youth caseと80sアレンジ。

軽やかなテンポと

どこか聞きなじみのあるメロディー

思わず身体を動かしたくなる良い意味の気楽さは、

カップリングで威力を発揮するのに十分だと思う。

結局、私はこういうアイドルソングが好きなんだよな。

という言葉にしなくてもいいような

幸せな感覚に浸ることができた。

 

 

29thは、全体を通してバラエティーに富んだ

構成だなと感じた。

5月の10th Year Birthday Liveは、

このシングルが最新として迎えることになる。

10年という節目もあり、

日産スタジアムではこの先乃木坂46が

どういう展開を目論んでいるのか目にすることになる。

だからこそ我々ファンも、

ファンとしての在り方をきちんと考えたうえで

見届ける必要がある。

そこで光となり空を照らす彼女たちから

"what do you see there?"と問われているのだから。