五事とは、道、天、地、将、法の五つである。
道とは、民衆が君主と同じ目標を持ち、危険も恐れず、君主と生死を共にできるような政治が行なわれているか否かである。
天とは、気候が陽気か陰気か、季節は暑い時か寒い時か、行動に移すべき時期であるかなど、天の時に合っているかである。
地とは、距離が遠いか近いか、地形が険阻か平易か、広いか狭いかなど、地の理は得られているかである。
将とは、状況を把握する知性があるか、君主や兵士の信頼に値するか、兵士に慈愛を持って接しているか、 困難な事項に対処できる勇気、断固たる決断を下す威厳があるかである。
法とは、軍隊の編成、官職の統治、軍需物資の管理に関わる軍法が正しく定められ、且つ、守られているかである。
おおよそ、この五事を将軍たる者は誰でも知ってはいるが、これを真に理解している者は成功し、 理解できていない者は成功できない。