家族の在り方、家族の作り方について、考えさせられる作品だった。事件が起きる背景、後日談がしっかり描かれていて、味わい深い。

家族は、接した方が1番難しい人間関係だと思う。家族というだけで、無条件に助け合い、分かりあうことができると考えられているからだ。家族は、運命共同体といった考え方があるのではないか。

家族といえど、性格はそれぞれ異なる人間の集まりにすぎない。前段で述べた「家族とはこういうものだ」という刷り込みに下支えされて、家族という制度が成り立っているように思う。

どんな名前がついた人間関係でも、長く親密な関係を築くために、共通して言えることは、本音をぶつけ合う過程は必ず必要だということだ。価値観を守るためだけに続ける人間関係は、どこかで綻びを迎える。

とはいえ、本音をぶつけるだけでは成り立たないのも実情。そこの塩梅を考えることも相手への愛なのかなと思った。