『サクゴエ』公式サイトオープン
弓削智久氏脚本の映画『サクゴエ』の公式サイトがオープンしました。
とにかくブックマークに入れました。
現在のところコンテンツはオープニングのFlashムービーのみですが、これが直球でストライクであります。
もとより『サクゴエ(仮)』というタイトルを見たときにひとめぼれ。(仮)がついてることが気になって気になって(変更になっちゃうんじゃないかと)、(仮)がとれて晴れて『サクゴエ』になったときには歓声をあげましたよ。
そしてちょっと前。イトーカンパニーのTOPページに載っていた小さな写真一枚。
これにも直球ストライクでバットを空振りしたままくるくる回ってました。
雪景色に立つ二人の男。ただそれだけの光景なのになんでしょう、この感じ。心が、沸き立つような、落ち着くような…
遠くへ視線を誘う道の一点透視。安定した構図のはずなのに、どこか不安定な匂いがある。(ふたりの男の身長差がまたそれをうまいこと描き出している。)
薄くけぶるもやの中に抑えた色彩が、受け取れる情報量を制限していると見える中で、こちらを向いているのにこちらに向かって情報を発信しているようには見えない「ただ立ってそこにいる」二人の姿。
なんですの!このじらしっぷりは!!!
だいぶ空回って倒れそうだったところに、公式サイトのムービーです。
めちゃめちゃ好みなんですけど。どうしましょ。
『絵』の中の光と影がズバーンと剛速球でストライク見逃し三振です。足音と音楽の入り方のバランスは「粋」の一言。
本編は10月公開。東京池袋・シネマロサ。
本編を観る前にこれでは、一体どれほどくるくるくるくる回ることになるんだろう。
『BALANCE』のときにこれと見込んだ以上のクリエーターだったらしいぞ、弓削氏。
Piper結成10周年記念トークライブ 『ペーパーPiperの夜明け』
2007/07/08(日) 於・新宿・ルミネtheよしもと
6:30開場・7:00開演……予定
Piperメンバーによるトークショー 2時間チョイ
出演・山下大洋/後藤ひろひと/山内圭哉/竹下宏太郎/腹筋善之介
ゲスト・板尾創路/平田敦子/水野美紀
客席から引っぱり上げられたゲスト・片桐仁/楠見薫/堀内健
【乱れてぐでぐで】
まずは、6:30開場予定がその前のよしもと漫才が6:30頃終わる。
そこから場内整備。狭いロビーに次々とエレベーターでお客さんが上がってくる。
エレベーターのドアが開く度に静かに侵食してくる人間の数は、あたかも大王のお好きなB級ホラーのような…嘘です。でも途中から本気で心配になりました。だってスタッフさん全然誘導しないんですもの。当日券の立見席のお客さんの列は確保してたけど、B級ホラーのゾンビの群れ(私たちだ)は少しずつ溜まる一方で…キャーッ!!
…というほどの混乱もなく(みんな大人だなあ)、開演予定の7:00頃に入場開始。
これで中に入ったらもう始まってたらそれはそれで面白いのに、とかバカを言いつつ入りましたが流石にそんなことはありませんでした。7:30頃開演。30分押しってのはあまり遭遇した覚えがないなぁ。
大洋さんが司会進行。後藤さん曰く「今さっき構成台本をもらって何をやるのか知ったところで」
この時点で、え!大王の企みで進むんじゃないの?とちょっとがっかり。
時間が押したおかげでリハーサルもできなかった模様。大洋さんのMacでモニターを制御して年表とかゲストコメントとかを交えながらのトークショーなのに、どうやら機器の調整も不十分。
そんなこんなが積み重なって、大洋さんがいっぱいいっぱい。後に「川下大洋、壊れる!」と副題がつくトークショーとなりました。
「一番年上なのに一番見下されてる」大洋さん、空回ってはいるけれど、メンバーは彼に進行をどーんとまかせてる。…いや、ちょっとまかせすぎでは。もうちょっと助け舟を出してやれよ。実はおまえら大洋さん嫌いだろ!というくらいのまかせっぷりでした。
まあ多分、誰にもどうにもできなくなってた、ってのが正解だとは思いますが。
それでもね、面白いんだよ。話術と間とツーカーなやりとりと各人の人間性と関係で。
ぐでぐでならぐでぐで具合を楽しめちゃう。トークショーだからね。
そして、みんな頭良いからなんとか反応してうまいこと進めちゃう。
しかしながら、やっぱり役者は舞台で脚本のある演劇をやって(何かの役を演じて)なんぼの商売だなあ、と思って帰ってきたのでありました。すっげー笑ったんだけどね。
これだけの人たちが(金とって)なにかやるといえば、なにか心に残るものを期待していくじゃないですか。していったんですよ。何が残ったかな…大洋さんがんばれ、宏太郎に負けるな?
残りにくかったのはマイクの音量が足りなくて後ろの方の席の我々まで聞こえにくいところが多かったせいもありますけどね。
ちなみに7/26からの『ひーはー』は、ものごっつ面白くって、大王自身この先しばらく『ひーはー』の壁を越えられるかどうか…というほどの作品だということです。楽しみにしてよーっと。
【劇場販売物あり】
販売じゃないけど、チケットを提示すると特製おみやげのPiperバンダナがもらえます。
記念Tシャツ(黒・黄・ピンク) すみません、経済的理由で買いませんでした。でも、胸に小さくワンポイントで、悪目立ちせずに着られるいいかんじのTシャツでした。
DVD『肉女』 作・演出 福田転球&山内圭哉 すみません、買いませんでした。…あまり手元に置いて何度も見たい、という作品では…面白かったんだけどね、やっぱちょいと怖いっつーか、グロい?
【What's Piper???】
えーっと、結局よくわかりませんでしたが、(わかるか!こいつらの底なんぞ常人の私ごときに見えるもんかい!)みなさん仲が良いっちゅーか、とても親密なのはわかりました。
親密で、近くなりすぎて、今回のトークショーは『ショー』としてはぐでぐでだったワケですね。
いい意味での緊張感のある距離が、それぞれの間になかった。良く言えばほのぼの、悪く言えばなあなあ? 舞台に立つプロのエンターテイナーとしての顔より、仲間内で楽しくやってる普通の人の顔が多く出ちゃった。
それはそれで楽しいんだけど、やっぱりピリッとはしなかったにゃあ。
弘前劇場公演2007 『冬の入口』 東京公演
2007/06/09(土)~06/10(日) 札幌公演・シアターZOO
06/16(土)~06/17(日) 弘前公演・スタジオ・デネガ
06/22(金)~06/24(日) 東京公演・シアターグリーンBIG TREE THEATER
06/22 19:30~ 東京初日拝見
作&演出・長谷川孝治(弘前劇場)
出演・福士賢治/鈴木徳人/永井浩仁/山田百次/濵野有希/石橋はな/斉藤蘭/青海衣央里/平塚麻似子/工藤早希子/林久志/鳴海まりか/平間宏忠/鈴木眞/高橋淳/長谷川等
全席自由・前売一般3500円/学生1000円 (当日一般3800円/学生1500円)
助成/平成19年度文化庁芸術創造活動重点支援事業
【DMの紹介文(部分)】
(前略) 舞台はとある地方、郊外にある公立の斎場。老舗の書店や洋食店を経営していた80才になる老人が亡くなった。物語は老人の家族と親戚達を核にしながら淡々と進んでいくが、やがて一人の人物がそこにやってきたことで微かなさざ波を広げていく。老人のかつての家族に初めて会う家族たち。誰しもが棺桶まで持っていく秘密の一つや二つはある時代。家族関係がある種の危機に晒されている現代をおかしく、やがて哀しく描いていきます。(後略)
【ネタバレ感想などなど】
シアターグリーンの中でも大ホールである200人くらいのキャパのハコが全席自由。こりゃ豪気だね!選び放題だよ映画館っぽい?と、我が心の友(観劇仲間)・Tちゃんと選び放題。客席の傾斜がキツくて前の人の頭がかぶらないよね、でも真ん中通路すぐ上の席にしようか、と座ってみると傾斜のおかげで逆にこの席が通路挟んだ前列の人の頭がかぶるんです。びっくり&なるほどー。ちょっと前の列に座り直しました。
さて、この公演も再演だそうです。そして、長谷川孝治氏の脚本を拝見するのは3本目。いままで1勝1敗。結果やいかに。
2勝1敗にスコアを伸ばしました。Tちゃんとの結論は、キャストの人数が多い作品ならオッケー!けっこう好き。
最初に見たのは『フラグメント』シリーズと呼ばれる作品群のひとつらしく、キャストが…4~5人だったかな? 語りの多い劇だったんですが、キャラの人格にあんまり違いがない、作者一人の日記みたいに感じられたんですよ。しかも頭でっかちで鬱陶しい。人生に悩み始めた中高生が自分の思考に酔いながら書いた長編小説のようなエチュード(わかりにくい表現だわ…なんつーかね、自分の若気のいったりきたりを思い出させられて苦虫味って感じなんです。いやん恥ずかしい)
でも、どうやら『弘前劇場』のメインストリームらしい、10人以上出演のこの作品は『日常』を切り取ってポンとそこに置いてみせただけのようでいて彼らが抱えた悩みやら問題やらの片鱗をチラリチラリと覗き見させる。はあ~、あらまあ、大変ねぇあんたも。若気の至りから近所のオバちゃんに昇格(?)してますが、そんな感じ。
言っておきますが、切り取って、置いてみせるだけです。ただ、そこにあるのです。彼らは。
大きな事件が起こってそれを解決しようと四苦八苦してラストはなんとか大団円、なんてカタルシスはなし!
まあ、少しはあります。あ、よかったね。てな流れも。(今回はおめあて役者の鈴木眞(すずきしん)氏がその「よかったね」を担当してくれていたので個人的にも嬉しかったvvv)
所謂エンターテイメントではないですね。見ているうちに『ストーリー』の何を追っかけてたのかわからなくなってしまうような『日常』。「どうなるんだろうな」と思っていた事柄への答えが用意されてるとは限らない。むしろされてない。
これを見てどう感じるか、何を感じるか、は受け手のアンテナにまかされてるってことなんでしょうか。
演じる側としても、『ストーリー』に安易には助けられない=みんなが「あー、いいお話だったねぇ」「泣いちゃったー」と帰ってくれないという点において真剣勝負なのでは。役者が上手に生き生きと『日常』をそこに置いてくれなくては始まらない。下手な役者が『セリフを忘れずに読みました』じゃあ、観客は「だからナニ、何が言いたいの?」で終わっちゃう。役者の力量によって『舞台上の演劇』が『なんのことはない日常』だと錯覚させてくれるから、入り込んでなんとなくしみじみできちゃう。(この「なんかしらんけどなんとなくいいな」感は、現代小劇場演劇のひとつのジャンルになってるんじゃないでしょうか。)
で、生き生きしてるね。役者さんたち。
生き生きしすぎて、料理長(大将)役の人の津軽弁(?)、わかんないとこいっぱいあったよ。外国語だよ。
あと、演出として、2種類の話題の会話が同時に交わされるってのが特徴でもあるんですよ。現実ではもちろんありますよね、部屋のこっちがわでAさんとBさんが話してて、あっちがわでCさんとDさんが別の話をしている。そこにEさんが入ってくる…あたりまえの光景ですよね。でもそれをお芝居でやられると……ええっと、全部を把握できるのは聖徳太子だけかな?
セリフのはしっこがちょっとかぶるなんて生易しいものじゃない。本当に並行して別の話題でおしゃべりしてる。言葉の端々は耳に入ってくるけどもちろん混乱。結局、二兎追うものは一兎をも得ず。どちらかのグループに集中してればそっちはわかるけど、もう一つは捨て。瞬時にどちらの会話がより『ストーリー』に関わってるか、なんて判断つくものじゃない。
これは気持ち悪かったなー……。
演劇に対する固定観念でしょうか。要素をなるべく多く拾い上げて理解したいと思っちゃうのは。
前述の眞さんの「よかったね」部分もこの並行会話の中にある。だから混乱して気付かない人は気付かなかったと思う。ううう、もったいない。
ただ、その瞬間の眞さんの声の出し方と演技の切替(長島という男の意識の切替)にはハッとさせられるものがあったので気付いた人はけっこういたんじゃないかな、と希望的観測。私も別にお目当て役者だから眞さん側を追っかけてたわけではなくて、ハッと飛び込んできた。眞さんが…じゃなくて「長島」が。これが役者の技であり、華だと思うのです。
【平成19年度文化庁芸術創造活動重点支援事業】
…なんじゃねこれは。
文化庁のサイトを見に行ったら、http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/josei/pdf/19_jyuuten.pdf
意欲的な公演活動への取り組みにより,我が国の舞台芸術水準向上の直接的な牽引力と
なることが期待される芸術性の高い,国内で実施される優れた自主公演を支援します。
だそうです。審査を通るとお金出してくれるんですね。ほほー。
そして、『弘前劇場』は「NHK芸術劇場 スタジオ演劇 出演決定」だそうです。(放送予定:平成19年12月28日)
キャストは今回の公演とは少し違うらしいです。ちょっともったいないなー、一般的に知られてる役者入れなくてもバランス絶妙なのに。
それらがどうこうじゃないんですけど、芝居後のTちゃんとの会話の中で
「なんかさあ、こういうのに推薦されそうな劇だよね」 「うん!わかるわかる!」
というのがありました。芸術ってゆーの? でも、こういうのに推薦されると途端に理論付のシュールレアリスムみたいになっちゃうんだよね。何故だろう。
そんなんじゃないんだよねー…。全国ネットで放映されるのは嬉しいけれど、お上が大広間に飾るナントカ流家元の生け花よりも、やはり野におけレンゲソウ、って風情。
それでもやっぱり全国ネットはありがたい。放映は年末の話だけど、覚えてたら見てね。>南の方へ手を振ってみる。
【劇場販売物あり】
ここにも上演台本が! しかもこの演目だけではなく、『弘前劇場』作品がずらりと。1部1000円。
販売ラインナップは全作品とまではいかなかったので今回の『冬の入口』だけ買ってきました。
読んでみると、例の違う会話が同時に展開される演出って、台本段階からしっかり指定されているものでした! 演出上のアレンジじゃないんですね。計算されたものだったんですね。
それに対するTちゃんの感想。「えー…それじゃあますますヤだ」 観客として同感だ。
舞台を観る楽しみから一歩はなれたところから見ると興味深いです。
そして、台本はすべて標準語で書かれている! え、大将たちの東北弁は?
これについては『弘前劇場』のサイトにしっかり書かれていました。予習が足りなかったですね。別に足りる必要もありませんが。
http://www.hirogeki.co.jp/index.html (活動理念と方法論)
はは~、役者さんたちがやってみたがる理由がわかりました。なるほどねぇ、そうだったんですか古川さん。(『ROGO』・古川康大氏)
つまり、関西の役者さんたちでやれば関西弁の劇になるし、広島弁にも熊本弁にもできる可能性があるってことですか。
…でも舞台が青森ですからねぇ(笑)。そして、この空気はどうしたって北の国のもの。関東育ちの私にすらちょいと異質な空気。
それをガーンとお国別に作り変えて演ってくれる西や南の劇団、ないかな!
【予定】おぼえがき
前売購入予約済
●弘前劇場公演2007 『冬の入り口』
東京公演 2007/06/22(金)~06/24(日) 池袋・シアターグリーンBIG TREE THEATER
おめあて 役者・鈴木眞氏
●Piper結成10周年記念トークライブ 『ペーパーPiperの夜明け』
2007/07/08(日) 新宿・ルミネtheよしもと
おめあて 全部
●Piper結成10周年公演 『ひーはー』
東京公演 2007/07/26(木)~08/12(日) 下北沢・本多劇場
おめあて 全部
気になってる公演…
●腹筋善之介超本気一人芝居 『Big Bell』
2007/10/12(金)~10/14(日) 下北沢・駅前劇場 08/11前売開始
おめあて ……こわいものみたさ
良い声も財産
昨日書いた観劇おぼえがきの中で「いい声なんだ~」と、美味い酒の一口目みたいにくぅ~っ!と言った途端に思い出すのが弓削氏の「良い声」。基本低音の男声はいいですね。出そうと思えば高めの声だって出せるワケだし。
低めで、少しこもる声。「こもる」というのは、役者としての発音/発声のマズさのことを言っているわけではなく(まあそれも多少は含まれているのかもしれませんが)、なんというんでしょうか、こう…口蓋(または頭蓋)で反響して深みがついてから外に出てきてるみたいな。
一応断っておくと、例えば森山周一郎氏みたいな、問答無用でヒトの腰を砕けさせるような「良い声」ではないのです。
『Nf3 Nf6』の2人もそう。(あ、将校役の方はちょっとインパクトあったかな?)舞台役者の声としての「良い声」+ナチスの将校としての良い声、または体力の衰えた捕虜としての良い声。う~ん、わかりにくい?
弓削氏の声は、やっぱり役柄によって響きが全然違って、それぞれその役の「良い声」になっているんですが、基本がね。一度そーゆー方面の研究所とかに声の周波数とかなんだとかの科学的な(?)もんを調べて欲しいと思うような、気持ちのいい波動です。
もしかして1/fゆらぎを含んでいるってヤツでしょうか? それともちょっと違うなぁ。癒し系な音に間違いはないんだけどなぁ。
そこらへんも「これだ!」と断定できない不思議な魅力です。
舞台役者としては、まだ咽喉に邪魔ないがらっぽさが残っていて(タバコじゃないかと思うんですがどうでしょう)「良い声」とは呼べませんが、とにかく声質はいい!! これも才能。
(あ、でも一舞台ごとに良くなってきてるんですよ。とってつけた弁護のように見えますがホントの話。)
もしもあのいがいががタバコのせいだとしたら、取れる可能性は十分あるわけで。雑音が抜けても単に平坦な音にならないのは、前述の深みがあるから心配ないし。んんん~早くそんな声が聞きたいなー!
サンモールスタジオプロデュース特別公演 『Nf3 Nf6』
2007/06/13(水)~6/17(日)
06/14 17:30開演 ダブルキャストのBバージョン拝見
作・野木萌葱(パラドックス定数)
演出・佐山泰三(サンモールスタジオ代表)
出演・寺十吾(じつなしさとる)(tsumazuki no ishi)/今里真
全席自由・2500円 上演時間・約1時間半
於・サンモールスタジオ
【チラシの紹介文】
白のナイトをfの3へ。黒のナイトをfの6へ。
これは最も難解な展開となるチェスの初手である。
1945年2月15日早朝 ドイツのユダヤ人強制収容所。
看守は将校。囚人は数学者。
チェス盤を間に展開する凄絶な頭脳戦。
白と黒に分かれた二人芝居。
【ネタバレ感想などなど】
まず個人的事情。終業5時、勤務地丸の内。開演5時半、劇場新宿御苑前。
いや~、間に合うもんですね。走ってギリギリでしたが。
Confettiで「演劇を観る、とはなんと知的なゲームなんだろうか」という劇評を見て興味を持ちました。知的。あこがれの領域。(痴的とか稚的とかなら大得意)
既に劇評があるということは再演です。『パラドックス定数』の公演を観た佐山氏が惚れ込んでのプロデュース公演ということですか。それはまた一層興味をそそられます。
これまた未知の領域のチェスについて、ちょっとだけ予習して楽しみにしていた舞台です。2人芝居というのも魅力的。
思った通り、小さなハコにシンプルなセット。真ん中に机が一つ。椅子が2脚。机の上にはチェス盤とスタンド。奥に小振りなソファとコート掛け。黒い壁にナチスの旗。暗い部屋。机にスポット。
重厚な交響曲が流れて開演です。聞いたことあるんだけどなんだっけ(ここらへん知的と縁遠いところを発揮)。やっぱワーグナーかしら。
観客席から絶妙な死角に設定されたドアが開いて、目隠し&後ろ手に縛られたボロボロの男が転げこんでくる。入り口で転んだのか突き飛ばされて入ってきたのかわからない。入室したもう1人はキッチリ軍服のナチスの将校。おびえるボロボロの男。
うわ~しょっぱなから緊張~~~。
捕虜は数学者で、将校は彼をチェスの相手に所望である。傲慢な将校の気まぐれかと思いきや、話が進むにつれて事情がわかってきます。彼らは大学時代論文の共同執筆までした数学者。戦争のせいで道が分かれた後の再会でした。
その道の別れっぷりたるや!!!
毅然とした将校と疲れきった捕虜が立場をわきまえた慇懃さでつかずはなれずの会話を始めるのですが、その端々に本音と友情(過去と現在であり方が違うとも言えるし、決して変わりはないとも言える)と怒りとやるせなさがにじみ出てきて、聞いてる方は切なくてたまらなくなってくる。
基本会話劇なので、淡々と流れていくんですが、その抑え加減がまた絶妙。また声がいいんだ、この2人!
何ヶ所かセリフ噛んだのがなかったらもうカンペキだったんですよ。ああもったいない。
1時間半、ずーっと緊張のお芝居でした。2時間だったら耐えられなかったかも。途中で気が遠くなったもの。
オープニングに流れた曲が、エンディングにまた静かに流れるだけで途中BGMはなし。それがまた効果的。
両側が絶壁の剣が峰を歩いている如き会話劇の中で、数学者である2人が暗号文を解くために暗い壁にチョークで式を書きつける、その夢中な様子が一番の緩和部分だったりして。それも、2人が愛する数学に触れている瞬間、戦争の中であっても戦争自体とは少しだけ違うところに立っているんじゃないかと思わせる切ない錯覚の上に立った緩和。うおお。
暗号は解け、連合軍がドイツの港町を攻撃することがわかる。でも救えない。もはやナチスドイツにその余力はない。
1945年2月15日。私たちは知っている。ではこの将校はどうなるのか?
おまえは逃げろ、と捕虜にその方法まで示す将校。
降伏してくれ、逃げてくれ、と将校に頼むユダヤ人捕虜。
友情はこの部屋で復活したのではなく、大戦の間も変わることなく続いていたのだと知らされた観客はもういったいどうしたらいいのかわからない。
号泣するわけではないけれど、やるせなさが涙となって表に出てきました。それも、ラストシーンを待たず途中から。
本当は、20時からのAバージョンも観てみたかったんですが、あまりの緊張に体力が続かなさそうだと思ったのと、この繊細な会話劇の余韻に浸りたかったので、1回だけで帰ってきました。
またどっかで再演しないかな…。
【劇場販売物あり】
台本を販売してました! 今回の『サンモールスタジオプロデュース版』 1300円。もちろん即購入。受け付けてくれた方がなんと作者の野木さんであることが判明。思わず握手してください!とミーハー精神をフルに発揮してきましたが、落ち着いて考えると恥ずかしい…。観劇後はいつも理性が飛んでいるのでとんでもないことをしでかして帰ってきます。進歩はナッシング。
観た舞台と、台本に書かれていること、描かれていないこと、変わっていること。ああ、これが演出の力なんだー、と素人はますます感激を深めたのでした。
イケメン俳優の部類に入るらしい
せっかくアメーバくんが代役を務めてくれたので、いっちょカテゴライズしてみました。
映画・テレビ・舞台・ラジオドラマとこなす俳優で物書き(脚本・コラム等)でDJの『若手イケメン俳優』(と、最新コラム連載開始の『Men's Styling』で紹介されていた)弓削智久氏。27歳。身長186cm。なんともいえない個性の持ち主である。
イケメンと言われているそうなので、まずは外見から見てみよう。
顔立ち。 所謂わかりやすいオメメパッチリの美形ではない。(と思う。)
タレ目な印象の切れ長の一重。鼻は高い。唇がふっくらとしている。日本人顔。一見渋谷辺りにゴロゴロいそうな造作なのだが、表情によっては「なんじゃあこいつはあっ!」と叫びたくなるほど美しい。
冗談ではない。「美しい」。百聞は一見に如かず。あ、アメーバくんだった。じゃあこっち。
弓削智久 OFFICIAL WEB SITE凄むとチンピラ、ヤクザ、多分狂人もいける。笑うととたんに人懐っこい印象。爆笑すると「破顔」という言葉の文字を思い起こさせるくらい豪快に笑う。演技としての怖い笑いや狂気の笑いも迫力がある。
役者としてのテクニックよりも、内面の魅力が大きいんじゃないかと推察する。つまり、才能。豊かな感情の引き出し。
背の高い人にありがちな猫背気味に見事なO脚の姿が目の前に立つと、老若男女の別なく誰もが異論なく「カッコイイ」と括目する。背が高いから、脚が長いから、だけではこうはいかない。
さらに、スチル<<ビデオ<<<<<<<<<<<<<<<生身 のインパクトで魅力的な役者である。宣材写真で営業しきれないタイプかもしれない。
なにが「違う」んだろうか? やっぱり内側からにじみ出るものだと思うんだけど……
その魅力の秘密が「これだ!」と言い切れないので、常に目が離せない役者の一人である。
ペタ機能
友人ではないトコのブログにもペタしてきてしまいました。ブックマークに入れた『弓削日和』。役者・弓削智久氏のブログです。
- 弓削智久フォトブック
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画像が貼れるんならやってみようと思ったのにNo Imageっすか。これじゃあこのアメーバくんが弓削智久氏みたいじゃないですか。
しかしオススメなことの変わりはない『弓削智久フォトブック BALANCE』。
ブログの「読者」にならないのは、当方こんなブログだから。自動的に向こうにリンクが貼られちゃうのよね。そらー申し訳ないってばさ。
でも、ペタをしたら結局のところ隠れたリンクになっちゃうんだねぇ。ぬかったわ。
と、ブログ機能を試行錯誤でございます。