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![]() | パイドン―魂の不死について (岩波文庫) Amazon |
初っ端から古典!!!笑笑
プラトン著、パイドンです。
パイドンはギリシャ語で魂という意味
その昔、プラトンの師匠・ソクラテスが無実の罪で捕まって、死刑に至るまでのようすを記しています。
私の読書好きは女子高校生の時に読んだ哲学書から始まるのですが、
パイドンは数ある哲学書の中でも特にお気に入り
ってさっそくページ閉じようとしないでくださいね
キャピキャピ女子高校生だった私がこんな古めかしい哲学書古典に惹かれた理由、ゆっくりお話ししますね
まず、『哲学』って聞くと、
難しそうなイメージですよね
頭のいい学者さんが
難しい理論について考えてるみたいな...
でも、この時代の哲学はシンプルに
『わからないことを考える』
ってことです
死んだらどうなるの、とか
何が正しいことなんだろう、とかを
ギリシャのおじさんたちが議論します
パイドンでは、その議論が特に切実です。
だってみんなが尊敬してるソクラテスがもうじき死んでしまうから...
その前に、最期に弟子が聞きたかったことを聞いてるという場面です。
ギリシャのアテネ市に住むソクラテスは考えることのプロ。
いろいろな人々と人生の疑問を話し合っていました。
しかし、その正直な問いかけが
政治家などの気に障ったせいで
(みんな嘘つきだから、ソクラテスの言葉で嘘を暴かれたと勘違い)
いろいろあって死刑にされてしまいます。
死刑までの間、牢屋にいたソクラテスを友人が訪ね、最後の議論をします。
みんなの議論に答えた後、ソクラテスは服毒して亡くなります...
プラトンの本は、文章が詩的なこと、古い哲学の資料であること、名言の数々...
などがよく評価されてます。
でも、こういうのってパンピーだとイマイチわからないですよね...
そこで、こういう学問的なところから離れて、心を揺さぶられるポイントを紹介します。
それは何といっても、プラトンのソクラテスに対する愛です

プラトンにとって、ソクラテスはこの世で最も尊敬する師匠。
その思いは現代に生きる私たちが想像を絶するものです。
今の私たちの感覚でも、
彼氏が女でも親友になるーとか、
友達が男だったら絶対惚れてるーとかいうことってあると思うんですけど、
プラトンにとってソクラテスはそんな存在
性別を超えて敬愛する唯一無二の人
プラトンは、ソクラテスと出会って、色メガネを付けない純粋な議論をすること・どんな人に対してもまっすぐ問いかけることの誠実さを知ります。
そしてそんなソクラテスの姿に、要は惚れたんですね

だから生涯通して、ソクラテスの生きざまを本に書き続けたわけです。
そして、熱心に、書き記したのにはもうひとつ理由があります
それは、そんな敬愛するソクラテスが、不実の罪で死刑にされてしまったことです
ソクラテスの生きた時代には、口達者で議論に勝とうとするソフィストや口先ばっかりの政治家がたくさんいました。
ソクラテスは純粋にも、そういう人たちにも議論を持ちかけたため、論破された人から恨みを買いました。
そしてやがて、『変な思想で若者をたぶらかしている』という名目で罰せられ、死刑にされてしまいます。
プラトンにとっては、これが死ぬほど悔しかったのでしょう。
ソクラテスは宗教を開きたかったわけでも、お金とか欲しかったわけでもないんです。
ただ、政治や宗教、世間の固定観念がもつ嘘を見破って、真理を求めようとしただけなんです
みんながよりよく生きられるために...
そんな、この世で最も誠実な男を、悪い政治家やアテネ市民のみんなは殺してしまった。(死刑は投票で決まりました。)
それが許せなかったのです。
だから、生涯かけて、在りし日のソクラテスの姿を書き続けた。
プラトンのどの書物にも、そんな思いがいっぱい詰まってます
中でも切ないのがこの本、パイドン
好きな人が死ぬ最期の時を記しているんです
書いていた時のプラトンの気持ちを思うとすごく切ない...
プラトンの本、読んでみたら分かるんですが、すごく理路整然とソクラテスの様子を記しています
この本を読んだだけでは、プラトンの気持ち、ソクラテスの気持ちなんてわかりません。
でも、きっと世界で1番尊敬する大好きな人だから、その人らしいまっすぐな姿を本に留め、後世に残したかったのかな...と思います。
切ない

今の世の中、尊敬する人が死なずにいてくれるというのはとってもありがたいことですね

プラトンの古典は哲学の祖です。
優しい言葉で、どの時代でも共通する人間の疑問について考えています。
でも初めて読むときは、本に沿って考えることが難しいです...
だから、古典を読む前に現代の哲学書を読んでウォーミングアップするのが楽チンです

次回、ご紹介します

