~徒然趣向~-赤マスク
『赤マスク/ポチョムキン』


01. Twist It

02. Money Back

03. 弾丸のCORE

04. T.I.P.

05. ホームルーム~Skit~

06. Brand New Love

07. Umbo Umbo

08. スーパーマン☆

09. バンドやろうゼ!~Skit~

10. Ping Pong Pang

11. 海月

12. Black & Gold

13. シャクムキン~Skit~

14. おてもやんサンバ feat. 水前寺清子, MICKY RICH & ポチョムキン



本日2発目の更新でございます。

先ほどは3年前の作品でしたが、今回は先月リリースされたばかりの新譜でございます。


あの餓鬼レンジャーのポチョムキンがソロアルバムを発売。

そんな噂を聞いてからどれだけ経ったでしょうか。躍らせていた胸も静まり、噂も忘れかけていた頃、YouTubeに『Brand New Love』のPVが上がっており、気持ちが再燃いたしました。


餓鬼レンジャーとしても世の中を騒がしてきたポチョムキン。独特の声と唯一無二のリズム感で日本語ラップ界でも異彩を放ち続けてきたポチョムキン。期待のハードルは高くなるばかりでした。

そんな中、耳にすることができた『Brand New Love』はというと、ZAZEN BOYS(??)の向井秀徳を迎えたチューンで、なにやらふわふわした感じのトラックで、餓鬼レンの頃とは向いてるベクトルの方向が全く違うものでした。そこに喜びや失望を持ち込むのは、ソロ作品という点において野暮でしたが、正直、僕の思っていたイメージとは違うものでした。


ただ、やはりCDショップに並んだ彼の作品を見て買わずにはいられなかったため、家でコンポのスイッチを入れると、見事に度肝を抜かれました。

よくあるintroがないため、いきなりラップが聴けるのですが、しょっぱなからやられました。いきなりロカビリー調のトラックに乗っかってポチョムキンのラップが炸裂します。この「Twist It」では、ポチョムキンのラップの新しい一面が見れたように思います。終盤での爆発するような歌い方は今まで聴いたことがなかったので。。


本当に捨て曲のない1枚でずっと聴いていても飽きないのですが、それはポチョムキンのリリックやテーマに縛りがなく自由である、ということが大きく影響しているのではないでしょうか。「Money Back」では別れた彼女に対して「金返せ」って曲ですし、「弾丸のCORE」では「俺のフロウはぺぺローションの業務用」なんてパンチラインも飛び出します。

「T.I.P」では、SOUL'd OUTのDiggy-Mo'の名前まで出てきますが、これはディスなのでしょうか?「カラオケで弾けようウェカピポー!」以外に彼に関することは出てこないのですが。。まぁ、名前が出ただけでディスを疑うってのも野暮ですね。ちなみにこの曲、最近話題のPUNPEEがトラック提供しています。最後、パンを買いに行かされてますが。


非常にゲストの少ない作品なのですが、前述の向井秀徳以外に迎えられた、「コケシ職人」なる人物と餓鬼レンの盟友GPのトラック上で下ネタ爆発の下品ラップを披露する「Umbo Umbo」も笑わせてもらいました。まぁ、ポチョムキンの動きをある程度知っていれば、「コケシ職人」の正体もラップがすぐに教えてくれますね。


続く「スーパーマン☆」もノリノリです。基本的に終始ノリノリなアルバムなのですが、こんなテイストの曲がもっと多くてもよかったかもです。

そんなノリノリのアルバムの中で異色なのが、最近ちらほらと名前を見るOLIVE OILがトラックを提供している「海月」。ゆったりとしたトラックに、ポチョムキンがラップを乗せているのですが、歌詞の内容こそ彼特有の雰囲気なものの、彼のリズムとゆったりとしたトラックが見事な調和で、フックもいい相性だと思います。


最後を締めくくっている「おてもやんサンバ」は、正確にはレゲエのハンターチャンス名義ですね。

なんとあの水前寺清子と一緒にクレジットされてしまいました。MICKY RICHも相変わらずの安定感で、聴けば踊りたくなるようなアッパーチューンに仕上がっています。この曲はボーナストラック的な意味合いが強いですね。


最後の曲に触れたところで締めくくりといきたいところですが、このアルバムには「Skit」が3種類入っているのですが、みなさんどうでしょうか?僕はたいがいのアーティストの場合は、基本的にSkitは飛ばして次の曲へいくのですが、このアルバムにおいては、この「Skit」までも聴きどころとして紹介したいくらいです。


どれもポチョムキンらしい好き放題な感じで、シュールなものなのですが、かなり笑えます。

特にホームルームでしょうか。これは笑えるだけでなく、現在溢れかえっているラッパー、MCや、ヒップホップに対するパブリックイメージを皮肉るような内容で、「考えさせられる」ということはありませんが、聴いていて、変に清々しかったりします。



とりあえず必聴の1枚でしょう。