PADの狙撃術

PADの狙撃術

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 八月二日、午前八時頃。

 チプ飛行場に一台の大型トラックが入ってきた。最初に補給で来たトラックより大きく、エンジン音もかなりうるさかった。アメリカ製かな?
 トラックは格納庫の前でいったん止まると、窓から運転手の兵隊が顔を出した。
「第5偵察隊の津野草少尉ですか?」
 妙に小柄な女性だった。

「だいごてーさつたい?」
 初めて聞くその言葉に、九陵はしばし戸惑う。するとトラックの助手席から海軍士官の中年男性の声が聞こえってきた。

「お前のことだ少尉」
 中年男性はトラックから出てきて九陵に封筒を一つ手渡した。
「何ですかこれ?」
「開けてみろ」
 ゆっくりと封を切る。すると中から辞令書と書かれた書類が出てきた。

 辞令
 
本日六月一日を以て、ククリン島チプ飛行場第五偵察隊に以下の者を配属す。
 
             大日本帝国海軍少尉 津野草 九陵
                
               大日本帝国海軍 サイパン島東南アジア方面軍司令部


 島に来て二月経った今、九陵は初めて自分の配属部隊を知った。
「辞令書が遅れたのは上の手違いのせいだろう。とにかくこの部隊は二人だけだ。うまくやれよ」
「二人?」
「ん、聞いてないか?」
 トラックから運転手が降りてきて、男の隣に立った。
「今日からお世話になります。整備員の玉井葉子一等整備兵曹です」
「はあ、よろしく」

 とりあえず、追って届いた物資を三人で手分けして荷台から下ろす。
 玉井さんと一緒に来たこの中年の士官はサイパン島司令部の所属で、主に補給のやりとりを担当しているそうだ。作業中に話している間、そんなようなことは分かったが、九陵はこの士官の声をどこかで聞いたことがある気がしていた。その後気付く。
「あの、もしかして昨日無線で答えてくれた椿沢中佐殿ですか?」
 そう訊くと、士官は呆れたような様子で言った。
「なんだ、やっと気付いたのか」
 中佐が最後の荷物を下ろす。
「一目見ておかしいとは思ったが、まさか立った二人だけの部隊とはな」
「そうですよ、絶対何かの手違いですよ。あんなにたくさんの武器弾薬、二人だけでどうしろってんですか」
 格納庫の端に置かれた木箱の山を指す。
 自分の作業を置いた玉井さんも会話に加わる。
「でも私は気楽でいいと思いますけど」
「そうは行っても・・・二人だけじゃいざとなったときに人手不足になるよなぁ」
「まあ、整備員だけでも確保できただけ、マシじゃないか?」
「そうですよー。機体の整備ならお任せください」
 階級に差はあったが、なぜか会話ははずんだ。何だか同期と話しているみたいだ。
 その後中佐から部隊のことについて知っている限り教えてもらい、帰りに玉井さんがトラックで港まで送っていった。

 さて、格納庫には燃料、弾薬、その他整備器具がたっぷり、そして複葉の飛行機がある。整備員も一人確保し、いつでも飛行準備は万全だ。部隊のこともうっすらとだけど分かったので、これでやっと軍隊らしくなってきた。
 先ほど中佐から教えられた限りでは、この第5偵察隊はここククリン島の半径1000キロ以内の哨戒飛行、及び有事における戦術偵察を任務としている部隊だそうだ。そんな任務をたった一機の飛行機で完遂可能なのかという疑問はさておき、これで自分のやることが明白になってきた。
 ・・・まずは格納庫内の整頓からか。
                                     
                                                                         
                                     #3へつづく

八月二日、追加物資及び整備員一名到着。
又、遅延していた配属辞令を受け取る。

 某年八月一日、東南アジア、ククリン島チプ飛行場。




 海軍の輸送船が運んできた大きな物資が、滑走路脇に積み置かれた。


「ありがとう。受領しました」


 将校の青年は受領書に印を押すと、兵站担当の中年下士官に手渡した。青年の名は津野草九陵。二月前、このチプ飛行場に配属されてきた十九歳の新人パイロットだ。


 下士官は敬礼すると、トラックに乗り込み撤収していった。トラックは芝生の滑走路を横切り、基地の柵を抜けてジャングルの中へ消えていった。


 それを見送り荷物に向き直ると、九陵はおかしなことに気付いた。荷物がやたら多いのだ。




「しっかし、こんなにあってもなあ」

 自分の背丈を悠に超える物資を見て、九陵はため息を吐いた。

 本当ならこういう面倒や苦労は指揮官に任せて、自分は飛行任務のみをこなせばいいのだ。だが、生憎ここにいるのはパイロット一人だけだ。責任を取る人間は九陵しかいないのだ。

 思えば一基地に一人のみを配置するというのもおかしな話である。まず百歩譲ってパイロット一人は良しとしよう。そうすると、その指揮官や整備兵、炊事兵、基地防空隊、それに掃除係にラッパ兵。それらの人員はいつ到着するのか。一度上層部にも問い合わせたが、他の人員は追って送るというようなことを言われたきりである。

 それから二月が経とうとしていたころ、ようやく最初の補給が届いたのだ。目の前の大荷物の中身と補給物資の一覧書類とを照らし合わせたところ、どうも計算に合わないものが多い。何かの手違いかもしれないと思い、さっきの下士官を呼び止めようとしたが、人間の足でトラックに追いつくはずがなかった。

 で、仕方なく物資の方へ向き直る。幸い、水と食糧は書類に載っていた通り、数がぴったり合った。しかしあとの銃やら弾薬やらは、数十挺、数千発あった。弾薬は小銃や機関銃、擲弾筒、迫撃砲のものだけで、肝心な航空機銃のものは入っていなかった。

 なぜかぎっしり詰め込まれていたガラクタは、恐らく飛行機の部品である。九陵の乗機は九六式艦上爆撃機だ。機体は島への足として九陵と共にチプ飛行場へ配備されたが、爆撃機の大事な装備である爆弾は持っていなかった。

 そのガラクタ類はさておき、九陵は飛行機に一番必要なものが入っていないことに気付いた。


「あれ、燃料がない・・・」


 機銃弾もない。燃料もない。整備兵もいない。これでは一生飛ぶなと言われているようなものである。九陵は大きなため息を吐いた。




 とりあえず、“正式に”受領した分の水、食料、医療品、武器を屋内に収納する。


 因みに、ここチプ飛行場には飛行機用格納庫と、滑走路脇の小さなプレハブ以外に建物は何もない。そのため今日まで風呂やトイレに不便してきた。


 まず水と食料の入った木箱をプレハブの一角に積んでおく。次にその向かいにある備え付けの戸棚の上段に三八式小銃を一挺入れ、その弾薬も五十発ほどしまう。戸棚の下段引出しには包帯やその他の医薬品を収納する。幸い、医療品は十分な量あったのでひとまず安心だ。





 ひとまず備品の収納を終え一息つくと、九陵は次に格納庫へ向かった。無線機で上に連絡を取るためだ。一刻も早く飛行に必要なものを送ってもらい、いらないものを引き取ってもらわなくては。


 格納庫には濃緑と薄茶の迷彩が施された九六式艦上爆撃機が駐機されている。その後席内の右横部には四角い無線機が備え付けてある。九陵は後席に座り、無線機のマイクを取ると、周波数を東南アジア司令部にあわせた。

感度を調整すると、通話を開始した。

「こちらはククリン島のチプ飛行場、津野草九陵少尉です。司令部、聞こえますか?」
 数秒の間を置き、返答が返ってきた。
『こちらはサイパン島東南アジア司令部の椿沢清一中佐である。用件は何か?』
「中佐殿、補給物資の件で確認願いたいのですが。書類に合わない小銃、機関銃やその弾薬が約一個中隊分、それとよくわからない部品類が多数…」
『ん、ちょっと待てや』
そう言うと、中佐はしばらく通話を絶った。数十秒の沈黙が流れる。
『おう、確認取れた。そいつはククリン島の守備隊宛ての荷物だ。中身は三八小銃が四十二挺、十一式機関銃が十三挺、弾薬は約二千発で、部品は戦車と対戦車砲のやつらしい。現在守備隊はチプ飛行場のお前だけだから間違いない』
「あの、守備隊って私一人だけなのですが?」
『細かいこたぁ気にすんな。とにかくその辺は手違いじゃないから安心しろ』
 安心できません。歩兵用装備そんなにいらないんですが……てかこの中佐急に口調が……という風に心の中でつっこんでおきつつ、九陵はもう一つ大事なことについて訊いた。
「わかりました。それと、大事な燃料、機銃弾、それと整備の人員が全く届いていないのですが?」
『ん?届いていなかったか?ならすぐに手配する』
良かった、手配してくれるのか…!
 九陵は心の内で喜んだ。燃料とかもそれで間違いない、自分で調達しろ!とか言われるんじゃないかと思っていたからだ。
「ありがとうございます!!」
 無線機に向かって敬礼しながら精一杯の声で礼を叫ぶ。向こうの中佐はうおっとびっくりしたような声を上げていたが。
 その後中佐は言う。
『まあ一人で何かと心細いだろうが………がんばれよ』
 そこで通話は終わった。
 九陵は無線機の電源を切ると、機体から降りた。
 ひとまず飛行機用の燃料やもろもろは心配ない。銃、弾薬の山も好きに使えということだ。使い道に困るが。

 九陵はとりあえず、銃と弾薬、部品類の入った木箱を全て格納庫の端へ移動させた。



                                     #2へ




 一九三六年八月一日、チプ飛行場に第一次補給到着。
 又、不足なる物資は追って送る予定。


                                      

 12月24日、15時38分。

 このとき、インドネシア輸送船3隻を護衛していたのは、海上自衛隊第1護衛隊の“むらさめ”、“はるさめ”、“いかづち”、第5護衛隊の“たかなみ”、そして、第61護衛隊の“はたかぜ”と“きりしま”の計6隻である。

 船団護衛隊旗艦の“はたかぜ”から各艦へ連絡が入る。

「レーダーコンタクトっ!ミサイル4、5時方向から接近!」

 全艦、一斉に戦闘警報を発する。

「全艦、迎撃用意!」

 艦長の号令で、各艦はミサイルの迎撃態勢に移行する。

 輸送船団は側面を護衛艦に守られながら航行する。目指すは北西のフィリピンだ。

「キューマル発射良ぅし!」

「ってえぇ!」

 最初に“はるさめ”が90式艦対空ミサイルを発射する。

 次に、“むらさめ”、“はたかぜ”、“いかづち”と順にミサイルを発射していく。その数計8発。

 それぞれ配分された4機の目標へと向かっていく。

 それをレーダー管制するのは“きりしま”だ。

「ミサイル、目標に接近中。インターセプトまで、5、4、3、2、1・・・」

 レーダーに映し出された目標は、0。

 途端に各艦のCICで歓声が沸き起こる。しかし敵の攻撃はこれだけに留まらない。

「2時方向から新たな目標、数2!」

 レーダーに映し出されたのは2つの高速飛来する目標。だが表示から計4つの目標が分離したのを見た途端、レーダー員は目をむいた。

「目標2機から新たな目標分離!数4!」

 接近する無人機2機からミサイルが放たれたのだ。“きりしま”艦長はすぐさま号令を下す。

「ECM照射開始、主砲、撃ち方用意!」

 ECMをかけられ、敵ミサイルのうち2機が明後日の方向へとすっ飛んで行った。うち2機はなおも接近中。そこへ、“はたかぜ”、“きりしま”の127mm速射砲が向けられる。

 やがて、目標は速射砲の射程内に入る。

「右30度、目標15000。撃ちぃ方始めっ!」

 ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!

 図太い発射音を立て、砲弾は目標のミサイルに喰らいつく。そして、爆発四散。

「目標全弾撃墜!」

 CICでまたも歓声が上がる。

 武装を失った2機の無人機は旋回して離脱しようとする。しかし、邀撃に出てきたインドネシア国空軍のSu-27戦闘機によってことごとく撃ち落される。

「ナイスキルだぜ!」

 甲板に出ていた水兵たちはこう言ってインドネシア機を褒め称えた。

 輸送船の船員たちの表情も少しばかりほころぶ。

「大したジャパニーズ・ネイビーだ」

「ええ、まったく凄いわ」

 船上のイギリス人夫妻も舌を巻く。

 艦長は怒鳴る。

「総員対空、対潜警戒を厳と成せ!鼠一匹通すな!船団は必ず我々の手で守る!」

 各員は「応っ!」の掛け声を上げる。

 気温高し、波高し、兵の士気はなお高し。


 船団は波間を行く。


                                                 つづく。

















 PADのQ&Aコーナー


Q1.PADさんにはいろいろな趣味があり、そのほぼ全てに適応できると聞きました。僕はサッカー観戦が趣味で、好きな選手は中村選手です。どうですか、気が合いますか?


 A.すまん、合わねえわ。



Q2.PADさんはサバゲーの時に、高確率で生き残る実力があると聞きました。いったいどんな秘技を使っているのですか?


 A.まず、絶対に誰も見つかりそうにない場所(味方にもな)にイモる。そのあとはひたすら見つからないように息をひそめるんだ。特に草村なんかではバイポッドを展開し、プローンで敵を警戒する。そして時間切れで終了になったときを見計らってその場から立ち去る。あとは仲間が近くにいる状態で「えっ、終わり?終わり?うわ惜しかったわー」とか言いながらいかにもさっきまで真面目に戦っていたかのようなかんじをかもしだしながらその仲間と一緒に帰ればOK。


特にあのスパイ戦の時は役立ったな。ゲーム中ずっとカウンターテーブルの中に隠れてて、味方にもばれない場所だったからかなり安全だったぜ。



Q3.日本の空自のF-XはロッキードのF35に決まったらしいのですが、PADさんは何が良かったと思いますか?


 A.F35でいいんじゃね?


FIN