ヒーバーと呼んでいた祖母を
子供の頃からなぜか
「コッコおばあちゃん」
と呼んでいました。
まだ二歳ぐらいの僕に
白粉、口紅、カンザシをさし
祖母に抱かれて撮った写真が
若い頃すごく嫌だったけれど・・・
ずいぶん後で知ったのは、
祖母の家系は戦死した祖父含め
男の子を何人も亡くしていて
僕以外は孫も含め全員が女性。
もしかしたら
男って写真を撮影したら
命が縮まるのかもと考えて
女装させたその時の気持ちは
どこまでも真剣なもの
だったんじゃないかと
今ではそう思います。
僕をいろんな神社仏閣に
連れていき、頭を撫でながら
ブツブツいっていたのは
早死にしないようにお祈りして
くれていたのかもしれない。
◇
僕が大人になっても
僕のことをカズ坊と呼び続け、
大人なのにカズ坊はおかしいと
叔母に叱られても
カズ坊はカズ坊や!
と笑っていた祖母。
晩年、認知症になった祖母と
亡くなる少し前に
車の中で二人きりになったので
コッコおばあちゃん!
僕、カズ坊やで!
と言うと、
感情がなくなっているはず
の祖母が大声で笑いだし、
知ってたよ。大きな足になって・・・
とその時だけ意識が
戻ってきた。
◇
コッコおばあちゃんは
ココにいるほうのおばあちゃん
語源を忘れていた僕の記憶も
祖母が亡くなった後に
戻ってきました。
幼い僕にそうしていたように・・・
祖母は天国に咲く花の美しさを
ヨシに丁寧に教えてくれている
と想います。