亡くなった息子のヨシが
ヒーバーと呼んでいた祖母を
子供の頃からなぜか
「コッコおばあちゃん」
と呼んでいました。

まだ二歳ぐらいの僕に
白粉、口紅、カンザシをさし
祖母に抱かれて撮った写真が
若い頃すごく嫌だったけれど・・・

ずいぶん後で知ったのは、
祖母の家系は戦死した祖父含め
男の子を何人も亡くしていて
僕以外は孫も含め全員が女性。

もしかしたら
男って写真を撮影したら
命が縮まるのかもと考えて

女装させたその時の気持ちは
どこまでも真剣なもの
だったんじゃないかと
今ではそう思います。

僕をいろんな神社仏閣に
連れていき、頭を撫でながら
ブツブツいっていたのは
早死にしないようにお祈りして
くれていたのかもしれない。



僕が大人になっても
僕のことをカズ坊と呼び続け、
大人なのにカズ坊はおかしいと
叔母に叱られても
カズ坊はカズ坊や!
と笑っていた祖母。

晩年、認知症になった祖母と
亡くなる少し前に

車の中で二人きりになったので


コッコおばあちゃん!
僕、カズ坊やで!

と言うと、
感情がなくなっているはず
の祖母が大声で笑いだし、

知ってたよ。大きな足になって・・・

とその時だけ意識が
戻ってきた。



コッコおばあちゃんは
ココにいるほうのおばあちゃん

語源を忘れていた僕の記憶も
祖母が亡くなった後に
戻ってきました。

幼い僕にそうしていたように・・・
祖母は天国に咲く花の美しさを
ヨシに丁寧に教えてくれている
と想います。