突然現れた場所に、背中を押された | ガステ美智子の愛がミチル話
用事の帰り道、長い散歩をしようと歩いて帰った。
こっち方向かな?と、なんとなく歩き進めていくと、突然あの場所が現れた。
約一年前。父が亡くなった病院だ。

病院の名前で気が付いた。
私は、面会には来ることが出来なかったからだ。
ここか。。。ここで亡くなったのか。。。
その場を離れられなくなり、胸が張り裂けそうになる。

大きな悲しみに打ちひしがれて、病室はどのあたりだったのだろうなんて思いながら、建物を見つめる。
すると、気付いた。

違う。それだけじゃない。
確かにここは、父が亡くなった場所。
そして、父が最期の瞬間まで入院していた場所でもあるんだ。

面会が叶わない入院。
父はここで一人入院していた間、今までの人生のどの瞬間よりもとにかく強く
生きたい
と願っただろう。

父が強く
生きたい
と願った場所。

私は、その父の強い思いを胸に抱えて、また一歩踏み出すことが出来た。
この場所にたどり着いたおかげで、父の大事な思いを受け継ぐことが出来たよ。
私がその分、強く濃くしっかり生きるから。
病院を背中にして進むと、背中を押してもらっているような気になった。