十月十三日。日曜日
(๑́⌯ꇴ⌯)ノおはようデス☀︎
野分の季節
皆さんお元気ですか

神無月二十日すぎ
天皇は紅葉の美しい
この季節をお選びになり
朱雀院も誘われて
光源氏の六条院に行幸されました


  


<六条院行幸>
花と和歌と音楽

紫の上の死によって
現世的栄華の頂点に
立ちながら、なお
癒しがたい世の無常を知り
それを超えようとする
光源氏
一年の長きにわたる
愛執との葛藤の末
源氏はようやく
真の道心に向かう
<幻の巻より>

源氏の出家の近いことを匂わせて
幻の巻は閉じますが
この巻の後に「雲隠」という
巻名だけあって本文のない巻がある

その後八年の空白をおいて
物語は若い世代を主人公として
展開されてゆく

その最初の巻の「匂宮」の冒頭は

「光隠れ給ひにしのち」
と始まり、
紅梅・竹河・橋姫・椎本・総角・早蕨
の巻を経て、宿木の巻に

「故院の亡せ給ひてのち
二、三年ばかりの末に
世を背き給ひし嵯峨の院
にも云々」
という薫の言葉がある
源氏は二、三年嵯峨の院で
出家生活を送ったのちに
五十四・五歳で逝去した事になる

ともあれ、桐壺の巻に始まった
光源氏
の一代記は、この幻の巻をもって
終わりを告げる



<源氏物語オープニング曲>


玉鬘、冷泉帝の麗姿に
尚侍就任へ心が動く


源氏物語
<二十九帖>
行幸みゆきの巻

玉鬘・裳着で実父・内大臣と
父娘の対面を果たす

<玉鬘の裳着>
裳着とは女子の成人式
はじめて裳をつけ、髪上げをする儀式

裳の紐を結ぶ役を「腰結」といい
有徳の者がつとめた。

通常、裳着は十二歳から十四歳ごろ
行われましたが長年、流離の身だった
玉鬘は二十二歳となった今なお
裳着をすませていない。


<裳着>
また光源氏が裳着を父娘対面の場に
したのは、内大臣に対して
玉鬘への絶大な後援ぶりを示すと
同時に彼女を無断で引き取ったことへの
非難を封じ込めようとの狙いでした




十二月
大原野(京都西京区)
天皇が鷹狩りの行幸をされるというので
六条院の女性たちも見物に出かけます

玉鬘は行列の中に、実父内大臣や
求婚者の一人で無骨な黒髭大将
姿を目撃します。

源氏は物忌(ものいみ)を理由に
参加しませんでしたが、
天皇から獲物の雉(きじ)が贈られます

✤物忌み
神事に先立って、一定期間、
飲食、言行などを謹んで心身を清める



<ここ大切>
翌日、源氏
玉鬘を尚侍(女官長)として
参内させるための準備に
裳着をつける儀式をさせ、その腰結
を内大臣に依頼しますが断られ
大宮(内大臣の母)玉鬘が実は内大臣の娘
であることなど諸事を打ち明け
仲介を頼み、玉鬘は実父と対面し
ついに裳着が実現する

<ここポイント>
玉鬘の裳着の祝いの品が
多くの貴人からとどけられました
末摘花からも、いかにも律儀にきれいな
包み紙で巻いた立派な衣箱が届くが
肝心な中身は、落栗さながらの
「青鈍あおにびの細長一襲」という物
であった。

青鈍色
凶事に用いる青鈍色
そのときに付いていた歌が下の歌


いつまでもあなたのお側に
いたいというのはいいが、
それが出来ない我が身が恨めしい

また「唐衣」ですか。
唐衣、唐衣、あなたから来る歌は
いつもくりかえしくりかえし
唐衣ですね


覚悟していたとはいえ
この無神経さにはさすがの源氏
へきへきしてしまった
唐衣の語が見えるが、末摘花は
これまでにも二回、
この言葉を
使った歌を詠んでいます。





一見すると突飛もない歌。
日常の戯れじみた会話をそのまま
歌にしたようなもの

理由は、冷泉帝の大原野行幸が
行われ、玉鬘は帝の美しさに圧倒され
かねて源氏から勧められていた
冷泉帝への入内に心が動いたのでした

その前に玉鬘の裳着の儀が行われ
多くの貴人から祝いの品物が届いた
末摘花からはいかにも律儀に
きれいな包み紙で巻いた立派な
衣箱が届きますが肝心な中身は
落栗さながらの「青鈍の細長一襲

これを見た人々は、凶事に用いる
青鈍色な事に驚嘆しました
さらに付いていた歌が上の歌で
不吉な歌だったのです



雪深い小塩山に飛び立つ
雉(きじ)の足跡ではないけれど
大原野の行幸の古例を尋ねて
あなたも今日はお出かけに
なればよかったのに

小塩山の松原に雪が降り積もるように
これまで幾度も大原野への
行幸はございましたけれども
今日ほど盛んな例はございません

雪がちらついて
朝曇リしておりたした行幸
でしたので、はっきりと空の光
帝のお姿を拝することなど
どうしてできましたでしょう
拝することは叶いませんでした

✤空の光とは  冷泉帝の意。


日の光は空に曇りく射していましたのに
あなたはどうして行幸の日の雪に
目を曇らせたのですか
(帝は輝くばかりのお美しさですのに
どうしてご覧になれなかったのですか
ご覧になったのではありませんか)



限りかしこまりをば
世にためしなき事と聞えさせながら
今まで欺く忍びこめさせ
給ひける恨みも
いかが添へ侍らざらむ
<贈歌の前の内大臣の言葉>
源氏の厚情には感謝
しかし娘の存在を隠していたのは
恨めしいことだと言い添えないでは
おれないと
恨めしいことです
裳を着る日まで、蜑(あま)が
磯に隠れているように隠れていた
娘のこころが

(玉鬘の腰結の役を引き受けた内大臣は
作法以上に晴れ晴れしく整えられた儀式に
源氏の心入れが思われて感謝するのですが
その反面、今まで玉鬘のことを知らされなかった
恨みも残っているのでした)


寄る辺もなく、このような所(源氏のもと)
に身を寄せていた姫は
蜑も尋ね求めないような藻屑のように
誰からも探し出されぬ
身の上と思っていたのですよ

(内大臣の恨みに対する源氏の返しは
あなたが尋ねもせずに放っておいたからだ)

源氏物語
光源氏の終焉は幻の巻にて
語られるが、数多くの女性たちとの
恋物語は、果たし源氏の遊び心なのか
作者、紫式部の経験と妄想の物語なのか

紫の上を喪い落胆する一年。
母、桐壺の更衣、面影映す藤壺、
幼き頃の紫の上、幼く桐壺の更衣を
亡くした男の子が母に似た
藤壺への恋心、その藤壺に似た
紫の上、後半の物語無き雲隠から
宇治十帖へと最終章を迎える源氏物語
気が遠くなりそうな歴史大作を
ブログで表現するのは危険極まりなく
和歌の観点から探り始める事で
理解し得た。
五七五七七の三十一文字
とくに後半の七七の十四文字に
込められる言葉が興味深い。


<源氏物語エンディング曲>