髪を切りに天六へ行った。

半年ぶり、と言われて驚いた。

「今回は何かの役ですか?」と聞かれる。

「今年のNetflixが終わったので、伸びた分さっぱりしようと思って」と言ったらウケてくれた。

ずっと行ってると、これでひと笑いとれるんだからありがたいなぁと思う。


天神橋筋六丁目は、大学を出てから2024年10月に今の家に引っ越すまで、ずっと住んでいた場所だ。

一度引っ越したが、天五から天六なので、似たような場所に約20年住んでいたことになる。


時の流れというやつは、だれの前でも平等だ。

商店街を歩けば、知らない店がわんさかある。

老朽化のため追い出されたマンションは跡形もなくなっていた。

ここにいたときずっとお世話になっていたバイト先のオーナーは、闘病の末亡くなった。

変わっていくのは寂しい。

でもやっていくしかないのだ。



更地になったマンションの横に、インドカレー屋があった。

あった、というか、ずっと前からある。

まだあったんだ、と思った。

何度か入った記憶があるが、混んでるところを見たことがない。

これでやっていけるのかとずっと思っていたが、今もやってるんだからすごいもんだ。

覗くと、今日も今日とて人っ子一人いなかった。

時刻は11時30分。

お昼にはやや早いが、揺れるご時世の情報や郷愁も手伝って、ここで食べるか、という気になった。


BGMにはインド音楽が流れている。

チーズナンセットにしてみた。

スープを一口飲んで、サラダを口に入れた辺りで、記憶がよみがえってきた。

チーズナンを食べて、タンドリーチキン食べてカレー食べて、マンゴーラッシー飲んで。

そう、そうだった。



ここはいつも、めちゃくちゃ美味しい、というわけではないんだった。

いや、不味いわけじゃない。

まあまあ美味しい。

まあまあ美味しいが、期待を超えてこないんだった。

いっつもそれをすっかり忘れて、まるで穴場のカレー屋見つけた気分になって入って食べて、そうでもなかったな…を年に二回ほど繰り返す。

そういう店だった。


ここは変わらない。

変わってない。

そして私も変わらず、同じ勘違いを繰り返している。

変わらないことだけが、いいとも限らないのだ。


時間は流れる。平等に。

人は、環境は否応なしに変わってゆく。

どうせ変わるなら、オモロい方向に。

どうせ変わらないなら、オモロさで包んで。

どうにかこうにか、やっていこう。


パンパンの腹を抱えて、さあ、今の家に帰ろう。