8月の米消費者物価指数(CPI)が事前の想定内の結果だったことを受け、FRBの金融引き締めに対する過度な懸念が後退、ハイテク株に買いが集中しました。米CPIを無難に通過したことで、東京市場もセンチメントが改善し、半導体などハイテク主力株中心に商いを伴って上昇する銘柄が多くありました。

前日の米株式市場ではダウ平均は下落、ナスダック総合指数は上昇したものの上昇率は0.29%と小幅でした。これに対し、日経平均は1%を超える上昇率で33000円を回復するなど想定以上の強い動きを見せています。東京証券取引所による改革要請や中間配当の権利取りを狙った動きのほか、日米の金利先高観などを背景に引き続きバリュー(割安)系が全体的に強い動きを見せています。加えて、米消費者物価指数(CPI)を波乱なく通過できことを材料に指数寄与度の大きいハイテク株に買いが入っていることが好影響を与えているようだ。また、為替の円安基調が維持されている点、13日に発足した第2次岸田内閣による今後の経済対策への期待なども寄与していると考えられます。

一方、米8月CPIは総合指数が前年同月比+3.7%と7月(+3.2%)から加速し、市場予想(+3.6%)を上回りました。前月比は+0.6%と予想に一致しましたが7月(+0.2%)からは大きく加速。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比では+4.3%と予想に一致し、7月(+4.7%)からは鈍化したが、モメンタムを示す前月比は+0.3%と予想(+0.2%)を上回り、上振れ幅が大きくなかったことで、株式市場は神経質に反応しませんでしたが、総じて上振れ気味で米金融政策の先行き不透明感を強める内容だったといえます。

また、警戒されている原油価格高騰については、国際エネルギー機関(IEA)が13日、サウジアラビアとロシアによる減産延長を理由に、2023年後半には大幅な供給不足が生じる恐れがあると警告しました。12日の石油輸出国機構(OPEC)の月報も供給不足に懸念を示しており、立て続けの警告となりました。今後の原油市況は引き続きインフレ・金融政策動向のリスク要因になりそうです。

日本株の世界株に対する相対的な強さが光っていますが、やや気がかりな点もあります。東京証券取引所が13日に公表したプログラム売買に係る現物株式の売買状況によると、9月8日時点の裁定残高はネットベースで1兆2983.82億円の買い越しとなり、前週(1兆2104.03億円の買い越し)から増加しました。ネットの買い越し金額は2021年以降のレンジ上限に近い水準にまで増加してきました。海外短期筋の先物買いが裁定買い(現物買い・先物売り)を誘発してきたことが読み取れますが、そろそろ短期筋の買い余力は限られてきたと推察しています。

本日、33000円を回復している日経平均も心理的な節目では売り買いが拮抗しているようで、決して上値が軽いようには見えません。本日の後場も33000円を維持して終えられるかが目先の焦点になりそうです。