どんなお父さんでも愛してる | あったかナースがおちゃんのブログ【女神性を解放しよう!!】

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現役看護師【がおちゃん】です。

冷えとりや子宮温活、オーラソーマ、一義流気功など
人生が巡るお話を書いてます

あったかナースがおちゃんです☺️❤️✨



しんみりしたお話です
長いので読みたい方だけどうぞ




先週末、お葬式に参列してきました


以前勤務していた病院で出会った
患者さんのSさん




元々、眼科のドクターで
仕事と研究が大好きで没頭していたから
50歳の時にやっと好きな人ができて
結婚した


かわいい娘ちゃんが夫婦の元に降りてきた


家族3人で幸せに暮らしていたんだけど
娘ちゃんが3歳の頃から
お父さんは変わっていった


あんなに優しかったお父さんは
些細なことで怒鳴り散らしたり
お母さんのことを殴ったり
階段から突き落としたりするようになった


ご飯を際限なく食べたりした
それはもう大量に
娘ちゃんのご飯まで奪って食べた


お母さんは悲しくて怖くて
小さな娘ちゃんを連れて
お父さんとお別れした


しばらくしたらお母さんの元に
「お父さんが精神病院に入院する」って
連絡がきた


診断は【前頭側頭型認知症】
(アルツハイマー型認知症とはちょっと違います)


会いに行ったら
お父さんは壊れてた


ありとあらゆるものを口に入れ飲み込んでいた
ほかの患者さんのご飯はもちろん
床に落ちてるゴミも口に入れる
隣の部屋のおばあちゃんの入れ歯まで飲み込んだ
オムツも食べた

周りの人を殴ったりしていた


でも、看護師に
「うちの奥さんのM子さんはすごく優しいんだよ」
「うちの娘のAちゃんはとってもかわいいんだ」
と一日に50回くらい自慢していた

発する言葉はそれだけ
それを延々と繰り返す


病気はどんどん進んで
時には部屋に鍵をかけられたり
会いに行っても「面会できません」って言われる
こともあった
言葉もほとんど話せなくなっていった



制限の多い病院でほとんど自由のない中
看護師たちも自由を奪う心苦しさと
異食や暴力のリスクの狭間で葛藤していた


だから、時々
何人かの看護師で
家族と一緒に外食に連れ出した


普段は制限されているご飯を
思いっきり5人前くらい食べた


その時のSさんが一番楽しそうだったと



なによりすごいなーと思ったのは
娘ちゃんのAちゃん

ヨダレを垂らしながら虚ろな目をして歩き回る
Sさんを、お店の店員さんに
「うちのお父さんです。
ちょっと病気で入院してるの」って紹介するし


お父さんがたくさんたくさん食べるのを見て
「よく噛んで食べないとダメよ」
「もう、やめておきな」などと笑いながら
楽しんでいるんだもの



そんな外食タイムも
病棟の方針が変わったとかで
行けなくなったけど


奥さんと娘ちゃんは毎週お父さんに会いに来た


言葉は話せなくなっていたSさんだけど
ふたりの名前だけは言えてた


奥さんが44歳にして看護師を目指すことにした時
「ガンバレ」って
それだけ言ってくれたって



どんな姿になっても
言葉が話せなくなっても
家族を愛していた


奥さんと娘ちゃんも
そんなSさんを愛していた



Sさんはなにを伝えるために病気になったんだろう


と、ふと考えたりもしたけれど
それはきちんと奥さんと娘ちゃんに
伝わっていた


奥さんの看護師としての就職(仮)が決まり
娘ちゃんが10歳の誕生日を迎えたのを
見届けて
Sさんは光になりました


穏やかな顔をしていました

やっと自由になりました



お葬式は親族だけでこじんまり
人望の厚いドクターのまま
病気にならなければ
お葬式はもっともっと盛大だったんだろうな


だけど
家族の深い深い繋がりを教えてくれた

もうホント
愛しか要らないんだな


読経の最中、大きなロウソクの火を消しに来た
おちゃめなSさん
ちゃんと気づいたよ👍✨

そのことは娘ちゃんと私だけの秘密だけどね(笑)



Sさん安らかに✨✨✨