今の世の中はLINEが普及しすぎておりSkypeが重宝されているのか知らないが

 

一時の通信手段としてよく仕事でSkypeを利用していた。

 

テレビ電話もできるし、メールもすぐ送れるしと非常に有効な手段だった

 

そのSkype登録の際に、どこに在住しているか記載する欄があったと思う

 

そこにはもちろん”京都”と記載してSkypeを利用していた

 

そんなある夏の出来事である

 

Skypeの呼び出し音と共に知らない人からアクセスがあった

 

知り合いで未だSkypeで繋がっていなかった人か、それとも意味不明な外国人からの連絡かと思い何気なく一通のメールを開いた

 

「初めまして!京都の方ですか?」

 

なんだ、この怪しすぎる文章は。違和感しかない…

 

とりあえず、京都の人ですが誰?と返信

 

すると「やったー成功!京都の人と知り合いたくて」

 

成功?いや、まだ知り合ってないからと思いつつ、少し考えてから返信。

 

出会い系かなんかですか?

 

「違います、東京在住の大学生です!」

 

ますます怪しい。私のSkypeに急に東京の女子大生がアクセスしてくるはずがない。

 

とは思ったものの暇だったのでやりとりを続けた結果・・・

 

すごく楽しい!と思ってしまっていた。

 

結論から申し上げよう、本当に東京の女子大生だったのである。

 

安心して下さい、”Skypeで彼女を作る方法”を30万円で売りつけるブログではないから。

 

その女の子は”シホ”(仮名)と名乗り、彼女は私の事を”くまちゃん”(仮名)と呼んだ。

 

自分は内気で可愛くない女の子だという。

 

でもそこで妄想が膨らむのが男である。

 

メガネを外して、しっかり化粧をすると実は可愛いタイプなんじゃないのか?

 

高校が女子高で男性と触れ合う機会がなく内気なだけじゃないのか?

 

そんなドラマの展開を期待しながらやり取りをすること数日。

 

次第に直接に話をしたいという欲求に駆られ始めた。

 

そしてそれはどちらからともなく発せられた様なシホからの言葉だった

 

「電話する?」

 

するするするする!

 

そうなんです、Skypeにはテレビ電話があるんです!

 

実は可愛いのではないか!!という妄想が現実に変わる瞬間だった。

 

しかし…

 

「テレビ電話はやだ」という事だった。

 

自信がないから恥ずかしいという理由

 

まぁ確かに話の筋は通っているしゴリ押しできない…

 

というわけで普通に電話をして話をした

 

テレビ電話じゃないことに多少テンションをダウンさせられたが、それでもついに電話できる

 

このレベルアップにより先ほどのテンションダウンは打ち消された

 

「もしもし、くまちゃん?」

 

初めて聞く声にテンションは上がり、実際可愛い声だったのかどうかはわからないが、とても澄み切った可愛い声が受話器を通り抜けた。

 

さらに初めて喋ったのにいきなり”くまちゃん”と愛称で呼ばれるこの違和感と感動のコラボ。

 

ここからはどんなにクダラナイ話も楽しくしか聞こえない。

 

クダラナイ事で笑い、2人にしかわからない内容で突っ込みが入る

 

そんな電話を続けること約2週間。

 

欲求は強欲になり、私から自然に発せられたのは次の言葉だった

 

京都来ない?俺が東京行ってもいいし!

 

彼女はすぐにウンとは言わなかった

 

例の自分に自信がないという事が引っかかっていたのだと思う

 

でもここまで来ると是が非でも会いたい。

 

そこで彼女から提案があった。

 

「京都のタクシーで珍しいのあるじゃん?」

 

私はすぐに返事した。四つ葉のタクシーのこと?

 

「そうそう、シホあのタクシーのシール欲しい」

 

彼女が言うのは京都の弥栄タクシーの”4台/1200台”しか走っていないレアなタクシーで

 

通常は

だが

 

四つ葉はもちろん

こんな感じで確かに珍しいのだ。

 

たまに走っているのを見ると、知っている人は

 

あ、四つ葉や!と心でつぶやく

 

そして決まって言う

 

なんかいい事起こるんかな…

 

まぁそんなタクシーに運よく乗車できると

乗車記念シールが貰える

 

シホは言う。

 

くまちゃんが本当に会いたいと思ってくれていたら

 

四つ葉のタクシーに出会えるよ

 

そしたらそのタクシーに乗ってシールを貰って私に知らせて

 

すぐ会いに行くから!

 

発想が可愛すぎるではないか…

 

燃えさせてくれるないか!!

 

その日から、私の四つ葉探しは始まった。

 

たまに見ますよね京都の皆さんは。

 

でもね、いざ乗ろうと思って探しても、そう簡単には現れないんですよ。

 

仕事もあるので、ずっと道端でタクシーを探す訳にもいかず

 

シホの言う通りに、会いたいと思っていたら四つ葉が現れるのかもなと思いながら

 

ボーっと夜の祇園を南に下って帰路についていた

 

深夜1時を過ぎると祇園はタクシーで大渋滞である

 

飲みがえりのお客さんや仕事終わりのホステスさんは大体がタクシーを探している

 

でもタクシーの台数が多すぎて祇園はいつも渋滞

 

まぁ見慣れた光景なのですが、そこに見慣れない車が。

 

 

よーつーばー!

 

というわけでなんの用事もないのに乗車して目的地を告げる。

 

ここから三条に上がってぐるっと回って四条まで行って貰えますか?

 

運転手はいう。

 

その目的地ここになりますけど?

 

テンションが上がっている私は言う。

 

シールが欲しいだけなんです!

 

運転手は笑いながら車を発進した。

 

私は想った。これでシホに会える!!

 

つづく