WoWの厳格な戦闘アドオン規制が緩和?一部呪文の「ホワイトリスト化」に隠された意図とは
Blizzard Entertainmentは以前より、『World of Warcraft』(WoW)における戦闘用MOD(アドオン)に対して厳しい姿勢を示してきた。戦闘アドオンがプレイヤーに過度な競争上の優位性を与えるべきではないという理念のもと、WeakAurasのようなツールや、ボス戦のギミックをプログラムで処理する機能、クラスの特定の動作を自動化するようなアドオンの排除が進められてきた。しかし、最近のベータ版のビルドにおいて、この方針に変化の兆しが見え始めている。Blizzardが特定の呪文に対して制限を緩和し、いわゆる「ホワイトリスト」に追加していることが明らかになったのである。WoWUIDev Discordに投稿され、WoWheadによって共有された開発者の投稿によると、現在「クールダウンやオーラの隠蔽に関するホワイトリストへの多数の呪文追加」に取り組んでいるという。具体的には、スカイライディング(Skyriding)関連の呪文、グローバルクールダウン(GCD)、シャーマンの「メイルストローム・ウェポン」、デーモン・ハンターの「魂の破片(Soul Fragment)」リソース、そして戦闘中の蘇生呪文などが挙げられている。簡単に言えば、これらの特定の呪文データはアドオン開発者に公開され、それに対応したUI MODの作成が可能になるということだ。Blizzard Continues to Loosen Addon API Restrictions and Whitelist Select SpellsIn an update within the WoW UI Dev Discord, Blizzard has shared upcoming plans for addon API restrictions, allowing players more control over cast bars, unit frame healing, and lim…www.wowhead.com特に注目すべきは、「メイルストローム・ウェポン」やデーモン・ハンターのリソース能力への言及である。これらはクラスの運用において極めて重要なリソースであり、これらを正確に追跡できることは、標準UIの小さなバフアイコンを目視で確認しなければならないプレイヤーと比較して、明らかに競争上の優位性をもたらす。これは「アドオンによる優位性を排除する」という当初の方針と矛盾しているようにも見える。Blizzardは「ホワイトリストに追加すべきだと思う呪文があれば要望を続けてほしい、個別に検討する」としているが、この方針転換の背景には何があるのだろうか。以前の強硬な姿勢が軟化したのか、単にベータ版でのテスト段階に過ぎないのか、あるいは将来的に標準UIに追加される予定の機能のみを許可しているのか、いくつかの可能性が考えられる。ゲームディレクターのIon Hazzikostas氏が11月下旬に語った内容を考慮すると、これは「標準UIの機能強化に向けた布石」である可能性が高い。同氏は、リアルタイムの戦闘ロジックに依存しない限り、プレイヤーがUI要素のサイズや色、場所を自由にカスタマイズできる環境を望んでいると述べていた。今回のホワイトリスト化は、標準UIで『ファイナルファンタジーXIV』のジョブゲージのようなクラス固有の表示機能や、より優れたクールダウン管理機能が実装されるまでの間、プレイヤーの不満を解消するための暫定的な措置であると推測される。つまり、Blizzardは自社の標準UIでこれらの問題を修正する準備が整うまでの間、アドオン開発者にその穴埋めを許可するという現実的なアプローチを取っていると考えられる。プレイヤーにとっても、公式の修正を待つ間、不便なUIを強いられるよりは歓迎すべき判断と言えるだろう。