尾行
【初動(尾行開始)】
● 面取り・・・対象者の顔・特徴を写真で覚え、

  実際に本人を確認する行為を面取りと言い、尾行もそこから始まる。

  面取り失敗理由は、ただの見落としの他に、写真による情報から現実の

  対象者のイメージを上手く頭に描けなかったときに頻繁に起こる。

 
例 ・ 写真は笑っているが、今は不機嫌な顔。
   ・ 写真写りが良く、実物より美男美女。
   ・ 写真は厚化粧、今は素顔。
   ・ 写真はサングラス、今はかけていない。




以上の失敗を防ぐには「写真のどこを見るか」ということがポイント。

笑った顔の写真は、口元を無視し、口は一本線で顔全体をイメージする。

目を細めた写真であれば、形をそのままに、少し大きい目を想像する。




美男美女に写った写真は、特に顔の輪郭と鼻筋を覚えておく。
化粧と素顔の違いは化粧の仕方を無視し、顔の彫りの深さを重点的に見る。

 

特に皺・眉毛はイメージしないで、化粧では変らない鼻と目頭の

もうこへきの形状、唇の上下の厚さ、鼻の穴の見え方などに注意する。

のっぺり顔の女性ほどメイクによってガラリと印象が変る。

目だけを見ると別人となるので惑わされないよう、

黒目と白目の面積だけを覚える。

肌の色もファンデーションによるので、留意する。

 
サングラスは一部が見えていないだけなので容易。

その他の部分をしっかり覚え、面取りの時には目を見なければ良い。
女性の場合は得に体つきに特徴が出やすいので、

写真で把握できるものは同時に覚えておく。

(首から肩にかけてのラインや足首の形・太さ等)




● 初動・・・対象者が徒歩の場合、歩く速度をまず把握する。

  自分の速度を対象者にあわせて、等間隔で尾行を開始する

  (最初の1分程度)。慌てて対象者を追い抜いてしまったり、

  遅すぎて失尾してしまわないために、

  対象者の速度の変化にも留意が必要。

  対象者が突然振り返ったりすると焦って距離を開けてしまい、

  失尾することが多いので、どんな動きをされても距離を開けすぎない。

  自分のセーフティゾーン(撒かれないスペース)内で動き、

  ゾーンから必要もなく出てはいけない。



次に対象者の歩き方を観察して、歩き方の特徴、後姿の特徴

(猫背・首太・禿・ズボンが短いなど)を覚える。余裕があれば、

至近距離まで近寄り、目に焼き付けてからまた距離を置くのがベスト。



以上の行動を初動から2分以内で終了させる。

何となく尾行してしまうと、人ごみで身長や服装がよく似た他人を

間違えて尾行してしまうことがあるため、

必ず最初の2分で覚えこむようにする。



● 尾行中にしてはいけない行為&フォロー
  対象者がUターンしたとき、やりすごそうと横道にそれて目を離してしまう。

  戻ってみると対象者の姿が無い。

 
  フォロー : Uターンを繰り返すのは、道に迷っているか、

          店などを探している等なので、焦らずに距離をあけて

          交錯しないように注意する。




同じ状況で対象者の横を通り過ぎて、しばらくそのまま歩いてしまい、

振り返ったら対象者がいなくなっていた。

 
フォロー : 目を離し、完全に後ろをむいてはならない。

        道路を横切って横目で観察するなど、

        常に対象者が見えるポジションをとる。




駅の切符販売機で、対象者と自分の間に5人挟んでしまった。

 
フォロー : 割り込むしかない。

        5人挟むとホームで捕捉出来ない可能性がある。

        他の販売機でやさしそうな女性や気の弱そうな人を見つけて、

        言い訳をして割り込む。人を挟むこと自体がミスで、

        駅に近付いたら対象者に接近し、

        切符販売機に並びそうになったら追い抜いて並ぶのが常識。

        一番良い方法は、各種プリペイドカードを携帯しておくこと。




対象者に尾行が発覚してしまい、追及されてしまった。

 
フォロー : 「は?頭おかしいんじゃない?」とシラを切りとおす。

        通行者からみたら、対象者が怪しく見えるので有効。

        絶対に下手な言い訳をしたり、暴力で腕をはらったりしない。





【張り込み・初動の留意点】
● 失尾の70%が開始10分間、つまり初動の段階である。

 
● 対象者に警戒されるのも張り込みと初動である。

 
● 張り込みと初動に全神経を集中させる。

 
● 尾行は、2・3mから30mほど離れて行うのが基本。

  距離やポジションを状況に応じて変化させながら尾行を行う。

  また、閑静な住宅街の見通しが利く一本道では、

  20~30mの距離をおく(対象者に警戒心を抱かれない距離)。

  それ以上開けると、対象者が急に走ったときに見失うことがある。




【尾行の技術と戦略】
● 追尾者は身体的特徴が重大な要素となる。

  追尾者は身長・体重・服装・その他、目立つ容姿でないことが望ましい。

 
● 出来るだけ対象者と視線をあわせないようにする。

 
● バス・電車等での尾行は、対象者より先に乗り込むことによって

  追尾発覚を逃れることが出来る。

 
● 小道具として、眼鏡(サングラスは印象に残るためNG)

  ジャケット・バッグ・整髪料等で、印象を変化させる。




これは、工作員が別れさせる対象者の行動・嗜好を把握し、

対象者との接触を有利にするためにマニュアルの一環だということですが、

なんだか、ガルの探偵マニュアルと似通っていますね。

パクったのでしょうか?そのほかにもさまざまなマニュアルが

用意されているそうですが、マニュアルというよりは、心得や注意が多く、

とてもマニュアルと呼べるものではないとのことです。

 

つづく。