東京に出て2年。
盛夏。
オレは「帰還命令」を受けた。・・・・・ってほどオーバーなものじゃない。
毎年、
GW・・・・夏休み・・・・年末年始・・・・帰っていた。
が、
帰ったところで、家にいることはない。・・・そもそも、実家は「二間のアパート」でしかない・・・・しかも風呂ナシ。
んなとこに帰る・・・いたいとも思わない。・・・・・物理的な居場所もなかった。
休みの毎に田舎に帰った理由。
ひとえに、
紺野や、志村と会いたかったからだ。・・・・・もちろんネコや、その他のヤツらともだ。
紺野も、志村も、そしてオレも、
この田舎村を離れている。
「会える」
それは、長期休暇の時しかなかったからだった。
・・・・・じっさい・・・・
オレは、東京に出てすぐに車を買った。
就職して、最初の休みに「車や」に出かけた。
んで、数件の店を周って、
すぐに、
若者憧れのスポーツカーを購入した。
最初のGW。
入社してすぐのGW。
オレは、初愛車を駆って田舎村に向かった。
・・・・・ちなみに、
入社してすぐは「勉強」の場だった。
毎日毎日、新入社員全員、
会議室に詰め込まれ「勉強」の日々だった。
当たり前だけど、
「残業ナシ」
給料は基本給だけ。
常に「金欠」だった。
田舎村を出るときに持って出た「30万円」は、
車の頭金で消えた。
「高卒」
給料は安い。
・・・・・んとに、安い・・・・
んと、
メッチャ安かった。
車を買ったものの、
ガソリン代すら事欠いた。
・・・・・・いやぁ・・・・・マジで・・・・
・・・・・ってわけで、
田舎村に帰る時には、
全て「下道」・・・・・高速を使わずに帰った。
・・・・・・1日じゃ帰れない・笑。
それでも、仮眠もとらずに帰ったけどな。
で、
二日がかりで帰った先は、
向かったのは、「実家」じゃなかった。
直接に、紺野の家に向かったんだった・笑。
で、
そっから、
集まれるヤツら全員を集めて、
「麻雀大会」となった。・・・・・・それで、長期休暇は終わっていった・笑。
なので、
「帰省」とはいえ、
ほとんど実家には寄りつかなかった。
・・・・・が、
しかし、
今回は違っていた・・・・・・
「帰ってこい」
オカンからの強制命令だった。
「重大な親族会議」
・・・・・そして・・・
それは、
オレにも重要な意味を持っていたんだった。
オレはオカンの実家方。
オカン方の「総本家」にいた。
広大なお屋敷だ。
見渡す限りの田んぼの中。
いきなり「居城」といったいでたちで現れる。
当然に、見渡す限りの田畑は全て総本家のものだ。
その居城に、
オカン方の一族郎党がみんな集まっていた。
そして、喧々諤々の親族会議が行われていた。
んとに、喧々諤々。
どうするんだ・・・・・・??
・・・・・しかしだなぁ・・・・・
それで・・・・いいのかね・・・・・??
大人たちの議論が右に左に飛んでいる。
周りを従姉弟たちが囲んでいた・・・・・・
中心は、
総本家の現当主。
長老、ジイ様だった。
・・・・・・・そんな喧騒とは離れて、
オレは二階にいた。
・・・・この城・・・・・二階だけでも、いったい何部屋あるんだ・・・????
「客間」といった部屋か。
畳敷きの八畳間。
廊下に面した襖が開け放たれ、
同じく、開け放たれた廊下の窓。部屋の窓。
夏の風が通った。
揺れる稲穂の音色がするようだ。
・・・・・気持ちいい風だ・・・・・
部屋にはもうひとりいた。
麻衣子だった。
窓に両手をついて風を受けている。
柔らかな髪がそよぐ・・・・・
「鮮やか」というエメラルドグリーンのパンツスーツ。
どの雑誌のモデルだよ・・・・書店で並ぶ、流行雑誌から飛び出したような立ち姿だ。
オレは、
お盆のお茶を・・・・・氷が浮いた麦茶を所在無さげに口に運んでいた。
「結婚話」が持ち上がっていた。
・・・・だけに話はとどまらなかった・・・・・

