年齢の割に人生経験が乏しくてお恥ずかしいのですが。
今までの人生で、車椅子の方と接したことは一度だけでした。
私が歯医者で助手件受付をしていた時代の事。
若い男性が、車椅子で来院。
ごく自然に
『僕の事を抱き上げて診療台に乗せて下さい』
とおっしゃられました。
が、経験が足りず、まごまごずる私に、実に的確に手際を教えて下さったのが印象的でした。
女性2人とはいえ、男性を持ち上げるのですから重かったはずのなのですが。
その男性のアドバイスが実に的確で、全く重みを感じずに抱き上げられたのを覚えています。
『上手い、上手い』と褒められた時は、誇らしささえ感じたものでした。
健常者と障がい者、という区別は悲しいものですが。
この社会は圧倒的多数である健常者に都合よく出来ている点は否めません。
でも、障がいを持ってしまった方、あるいは生まれつき持っている方が不幸であるともあまり思えないのは、この経験が基になっているのかもしれません。
バニラ・エアというおいしそうな航空会社で起ったった出来事がメディアを賑わせています。
今日の読売新聞の編集後記にあった『内規に縛られて見守るしかなかった職員も辛かっただろう』という一言が、非常に印象的でした。
足の動かない方が、手の力だけでタラップを登るというのは非常に大変な事だったかとは思います。しかし、航空会社も格安でやっている分、ストレッチャー(車椅子ごと、人を安全に持ち上げる機械)を常備するだけの余裕がなかったのも仕方なかったと思います。
人が抱えてタラップを昇る事が出来ないという内規もまた、安全上仕方ない決まりでしょう。
(万が一、抱えている方が転んでしまったら、大惨事になります。)
予約の際、車椅子の旨を伝えていれば事前にストレッチャーを用意できたとか、いや、予約の時に車椅子だと伝えていたら、予約自体を断られていたとか…
色々な情報が錯綜していて、今一つ真実が見えてこないのが残念です。
『障がい者をいじめた航空会社』という構図はメディアの大好物なようですね。
テレビなどでもこの構図での報道をしばしば見かけます。
しかしながら、もう少し多角的な見方があっても良いように思えました。
報道の際は、メディア受けての好みに合わせるだけでなく、真実を、と願っています。