きっかけは、街角の有線できいたポップソングだった。
都内の路上で自発的に踊っていた青年たちが、注目を浴びてレコードデビューしたという異色の経歴を持つ男性ボーカルグループ。
それだけに通常のポップソングとは違う、文学的でさえある歌詞が印象的だった。
もともと詩歌が好きだったわたしは、すぐに大ファンとなる。
思春期前期から思春期にかけての私の感受性を刺激し続けたグループだった。
しかし、そのグループの活動も5年程で終了。
その解散から10年程もたったある日、街角の有線で彼らのラストシングルを耳にした。
不意打ちを食らったような懐かしさと切なさに、その日は1日中落ち着かなかった。
何とかこの気持ちを作品にしないと、落ち着きを取り戻す事はできない。
それにしても、ありふれた話だ。
子供の頃好きだった歌をまた聞いて、懐かしくなった。
小石のようにありふれた話ではないか。
しかし、全ての小石は真珠になる可能性を持つ。
その思いはやがてメタファとして育ち、長い年月を経て一編の詩となった。
私はその作品に『真珠の夢』と名付けた。
ちなみに、このシングル。