ナゴヤ座 魔苦減須は、千種座でやっています。
千種座は、3面舞台。
正面は、普通に舞台セットが組まれていますが、上段は、2階くらいの高さがあって、これまでも視覚的にも、心情的にも、効果的に使われていました。
今回は、蝦夷の姫が、蝦夷の兵士や三人の魔女たちと、日の本の兵士たちが戦う様を、高い塔から見下ろして、彼らを操ったり、不吉な予言をしたり、禍々しくて、美しくぞくぞくした。
今回、初めて、サイドの席に座りました。推しが間近で見えるとかそんなことじゃない。
見えるものと見えないもの。それによって、物語を誰の視点で見るか、物語自体が変わってしまうような感覚があって、とても面白かった。その反面、もしかしたら、全く違う場所にたどり着いたのかなあと思うと、今回の私の座席の選択を褒めてあげたい気分になる。
決して、幸せな終わり方ではないのに、なぜか、すごく納得できたから。
魔苦減須の最後は、それほど辛かった!
でも、人の心に闇があるなら、それを統べる王の存在もあって然るべきで、魔苦減須は、その王となったのだなあと思って。
良いか悪いか、幸せか不幸か。
そんなことも凌駕して、彼の存在はなくてはならないもので、彼には成すべきことがある。
宿命?
彼は、そのためにいる。
その存在理由がゆえか、彼がそれを受け入れたことによって、彼の魂は救われたと思った。
私が観たのは、前楽は正面から。4列目だとかなり後ろの気がするけど、意外と目線の中。かなり段差があるので、最後列だと俯瞰で観ることになる。それも美しいのだけど、物語の中で共に生きたいので、できれば4列目までの正面を一回めに観たい。
正面から見えるものは、ごく普通に、舞台で観客に供されるもの。
一方のサイドの正面よりは、物語のただ中で観ているかのようで、巻き込まれる。
でも、まずは、正面から見て、全体から見える物語を把握しておかないと偏りが生じると思う。
正面から観た時は、ここまで魔苦減須に寄り添った見方はできなかったから、両方の立場から観れてよかったと思った。