楽典詩人

楽典詩人

楽典に触発された詩、フィットネス、空手・武道、物見遊山、飲食

ブログを始めて2年になりました。

少し感慨があります。

そこで、最初に掲載したものを再掲してみます。

当時は写真の掲載方法も分かりませんでした。

今回はアジアの小さな町の写真を一枚添えました。

 

 

MOTO PERPETUO(op.1)

― 永遠 そのあとさき ―

 

 

建物も、人の話し声も、偏差値も、体温も

高さの不揃いな アジアの街で

「永遠には 果てがある」と

襟の浅い女たちがつぶやいた

 

 

その日、裏庭から路地、辻、広場へと

広場から目抜き通り、産業道路、都市間道路へと

永遠の果ては静かに広がって行った

 

 

誰にも語られることもなく

新聞にも、テレビにも、ネットにも現れず

永遠の果ては静かに広がって行った

 

 

夜が更けて行き、やがて夜が明けた

西の空には白く大きな有明の月が浮いていた

その月のそばに、永遠の果ての横顔が少しだけ浮かんだが

消えてしまった

 

 

高さの不揃いな アジアの街で

永遠の翌日が流れ始めた

 

 

「昨日と同じ道だ」と

歩幅の広い男たちは話し合っているが

都市間道路も、産業道路も、目抜き通りも

広場も、辻も、路地も、裏庭も

日が昇ると、ぼんやりと見えなくなって行く

 

 

こうして永遠の翌日が広がる

 

 

歩幅の広い男たちが靴皮をきしませながら

椋鳥のように進んでいったが

もう立ち停まることさえできない

 

 

 

moto perpetuo:無窮動と訳される音楽形式(速い動きの同一音型が間断なく続く曲)、本来の意味は永久運動あるいは永久機関である。