昨日、今年初めて部屋のなかで蟻を見た。

春の気配に応えてラグを敷き替えた。

毎日テーブルの上に広辞苑机上版を載せる。

色鉛筆と定規を用意して。

新しい言葉や、

意味の理解が曖昧な言葉に出会ったら

どっこいしょと調べるため。

見つけたら赤鉛筆で線を引く。

よほど面白いとほぼ日手帳に書き写す。

そうでもしないと安易な言葉に流される。

ヤバいとスゴいで感動や好悪を表し、

マジ卍と相づちを打つ。

新しいスマホは｢好悪｣が変換候補に出なかった。

ビジネス書の類いを読んでいると、

漢語を辞書で引くことはほとんどない。

調べるのはカタカナ語ばかり。

明治時代に西周が｢philosophia　フィロソフィア｣を｢哲学｣と訳したという。日本語に置き換えたから西洋思想が深く浸透したのではないか。

とはいえ、広辞苑の製作側も、

カタカナ語を増やしたと自慢していた。

紙の辞書を好み、

カタカナ語についていけない。

シニアの仲間入りだろうか。

雑誌『サライ』に惹かれはじめたことも嚆矢か。

豊かな日本語の表現を後世に残したい。

理解できない人が増えたら使えないから

消えてしまうだろう。

辞書のなかでしか見ないのは寂しい。

日本語は柔軟過ぎてはかなくて