ガキのっぽでございます。今回はタイ産ウデムシ(Phrynichus orientalis)の繁殖について書いていきます。これに関しても私のやり方が正しいとは限りませんし、経験豊富というわけでもありませんから、事実と私が思ったことを書いていきます。真似する場合は自己責任でお願いいたします。


最終編集:2023/10/20(ベビーのえさについて)


目次


飼育環境

飼育方法

雌雄判別

交接

抱卵中の管理

孵化

親離れ

ベビーの管理






飼育環境


まずは飼育環境について。ケースはホームセンターに売っている衣装ケースです。サイズはw532×d369×h322です。中身は下の写真をご覧になってください。中央の水苔は湿度維持用です。冬ですので入れていますが、冬以外は退けて大丈夫です。湿度が保てればなんでもいいとおもいます。温度は25~30℃、湿度は70~80%を狙っています。側面はコルクシート、シェルターとしてコルク樹皮を入れています。給水所はキッチンペーパーを入れて飲みやすいようにしています。



続いて蓋について。蓋は全面に鉢底ネットを付けています。装着方法はタッカーで留めるだけ。側面のコルクシートも同様。通気性も確保したいですが、コバエやダニを防ぐために、蓋に大穴を開けて、コバエよけシートを付ける形をとっています。その上でセットしてみて、湿度が上がらないようならマスキングテープで穴の大きさを調節しました。







飼育方法


続いて飼育方法について。多頭飼いできますが、トリオよりもペアで飼った方がよいかも知れません。トリオで飼っていた時は交接しませんでしたが、ペアにしてみた途端に交接しました。しかし、その時は別のオスを使いましたので、そのせいかもしれません。餌はコオロギです。お腹の大きさと同じくらいのものであれば食べます。餌はなくなったら入れればよいとおもいます。割と食べます。捕食するところは殆ど観察できません。とにかく水切れに注意しましょう。餌より水が重要です。






雌雄判別


続いては雌雄判別について。いくつか方法があります。まずは一番確実な方法からご紹介致します。お腹に赤い毛が生えていたらメス、生えていなければオスです。種によってはこの方法が使えませんが、少なくとも本種は使えます(トーゴ産のDamon属のウデムシもこの方法が使えました)。わかりやすい画像がインスタグラムにありましたのでご覧ください。





続いては、お腹の形です。オスは三角形、メスは俵型です。しかし、これに関しては分かりやすいとは言えません。

腕の長さでも判別ができます。腕が短ければメス、長ければオスです。これは成長に伴って差が出てきますので、若い個体だと見分けにくいかもしれません。数を見てきた訳では無いのでわかりませんが。


私は最初に挙げた毛の有無で雌雄を判別しました(そもそもペアで買いましたが、確認のためにも見るところは知っておくとよいとおもいます)。






交接


交接までは同居させておくだけです。上手くいけば割とすぐ交接します。飼育ケースに精莢(せいきょう)があれば交接したと思っていいかと思っていたのですが、どうやらメスが精子を取りこまないことがあるようですので、精莢を確認した後も同居させておくのがよさそうです。精子が取り込まれたかを見分けることも可能らしいですが、私は知りません。今回は2回交接しました。1回目と2回目で精莢の形状が異なっていましたので、どちらかが成功したのでしょう。画像は交接1回目の精莢です。


10/17撮影


交接から抱卵まで2週間という情報を見かけたので、2回目に成功したのかもしれませんが何とも言えません。交接2回目の精莢も撮影しておけばよかったと思います。残念。







抱卵中の管理


抱卵直後は卵が白いです。時間が経つにつれて卵を覆っている膜に色がついてきました(ということは、抱卵個体を買う時は膜に色がついている個体を買えば無精卵の確率は低くなる?)。こちらも写真をご覧ください。


11/12撮影



11/27撮影


交接から抱卵までは約2週間程ですが、他の方のお話を聞いているとバラツキがあるように思います。メスが抱卵を開始したらオスと別で飼ってよいとおもいます。私の場合はオスがクソデカでしたので、交接後に死んでしまいましたが。よく頑張ってくれました。さて、私が一番心配しておりましたのは餌です。コオロギに卵を齧られたら冗談では済まないですし、かと言って親が餓死すれば意味がありません。ですので、コオロギの顎を割って与えていました。数日で死んでしまうことが多いので死んでいたら取り除きましょう。とはいえ、おそらくほとんど食べていませんでした。ですが水切れには弱いですので、常に飲めるようにしておきました。抱卵期間は4ヶ月でした。






孵化

抱卵から時間が経つにつれて発生が進み、卵が膨らみます。孵化する直前になると緑色のベビーが透けて見えます(ですので孵化という表現が適切かはわかりません)。孵化の過程は写真をご覧ください。


3/20撮影


3/20撮影


3/20撮影


3/21撮影


3/24撮影


このような形で孵化します。






親離れ


親の背中に乗った状態で脱皮をして、親離れをします。これはサソリに似ています。写真は脱皮が完了した状態です。

孵化から親離れまでは10日ほどでした。


3/31撮影


ピンク色が脱皮殻です。

4/1撮影


4/1撮影


腕が短いですね。成長が楽しみです。







ベビーの飼育


※落ちる個体が多かったので参考程度でお願いいたします。



集団飼育です。容器は最初のものを継続して使用しました。設備も同じです。親は隔離しませんでした(親を隔離するとベビーが死亡するという情報があったため)。隔離しなくてもベビーが食べられることはありませんでした。温度湿度は冒頭に書いたものと同じです。多少は蒸れて大丈夫だと思います(自己責任)。餌は初齢のヨーロッパイエコオロギをばら撒くだけです。入れれば勝手に食べます。1000匹撒いて、少なくなったら足しました。


ベビーの飼育は私の力が及ばないところがあり、それなりの数を死なせてしまいました。温度湿度は問題ないはずなのですが。


2023/05/28追記

1.ほとんどの個体が落ちてしまいました。とある方のお話によると、現地の生息環境には羽虫が多いとのことでしたので、ショウジョウバエを与えると上手くいくかもしれません。

2.YouTuberが現地でウデムシを観察している動画を見るに、水辺に生息していることがわかります。もしかしたらもう少し温度を下げてもいいのかもしれません。


※全て推測です。


2023/10/20追記

ベビーの餌について、トビムシを与えたら上手くいったという方をお見かけしましたのでその旨を書いておきます。




4/7撮影



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といったところで締めたいと思います。追加の情報があればその都度この記事に書き足そうと思っております。長々と失礼いたしました、ではでは〜。


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