地 獄 の 2 年 間

 これまで会社でやってきた業務が、ベテラン職人さんの退職と後輩君の入社で状況が変わった。今までのように好きなことができなくなり、苦手分野の業務が増えた。

 それでも頑張っていればいつかは良いことがあるかなと漠然と思っていた。でも状況はさらに悪くなっていった。誰からも認められず、むしろ後輩君と比較されて批判を受けた。上司からは毎日のように何かしら叱責される日々が続いた。「もしかしたら期待されているから?」と自分に言い聞かせながらしばらくは耐えていたが、あるとき上司からの暴言をきっかけに遂に嫌気が差してしまい次の日に勢いで「会社を辞める」と言ってしまった。

 そのときは周りから「これからは辛い仕事は仲間で分担するから」となだめられて結局辞めはしなかったがその後も何も変わることがなく、もうここから逃げ出したくて、でも耐えるしかなくて現実と向き合えず音楽や酒で精神のバランスをとっていた。

 

資 格 勉 強

 そんななか仕事で知り得たある人から「うちの会社にこないか?」と誘いを受けた。大手企業グループのリフォーム部門だった。自分のこれまでの学歴や職歴やスキルで務まるのか?と半信半疑だったけど、現場見学をさせてもらい「これならやれるかも」と思い始めた。

 ただ、この年齢で本当に就職できるのか。家族以外には相談できなかったし家族にも「絶対ムリ」と言われた。案の定、騙されたと思って履歴書を出したものの回答はなかった。

 一方会社では国家資格試験の募集を募っていた。半ば再就職は諦めていた頃だったので受験することにした。一度決意した転職、たとえそこがダメでも何かしらのスキルと資格を携えて新しいことへチャレンジしようと思った。それが今の会社での給料アップなのか別の会社なのかはノープランだった。

 

突 然 の 転 機

 毎朝6時に起きて、2時間勉強してから出勤というサイクルにも慣れてきた頃だった。突然再就職を誘ってくれた人から連絡が入った。「もう一度履歴書を書いて欲しい」と。社内の大きな人事異動のために前回はタイミングが悪く見送られていたらしい。

 連絡があった翌日には履歴書を直接その人に手渡した。そしたら数日後に一次選考の合格と4日後に行う二次試験のwebテストの通知メールがきた。webテストなんて受けたこともない。そもそもそれが何なのか?そんな状態で参考書を買ってきて即席で対策勉強をした。

 結果はD判定だったけど合格した。もともと学力なんて高卒の僕にさほど期待していなかったのかも知れません。そして次は1次面接とExcel技能試験。最後に本社とのリモートでの2次面接試験だった。その10日後に内定の連絡をもらった。この間2か月。奇しくも資格試験月と被っていた。激動の2か月だった。

 

来 年 の 展 望

 二次面接では「なぜ東京に15年も住んでいたのか」を尋ねられた。僕は仕事場では自分のプライベートなことを話すのはあまり好きじゃない。音楽をしていることも自分からはまず話さない。でもこのときは何もかも全部話した。なぜかありのままの自分で勝負したくなって。 

 質問には「バンド活動するため」「当時の夢はメジャーデビューすることでした」「バンドコンテストで全国大会に出場したのにチャンスを活かせなかったことが今までの中で一番の挫折です」などなど。

 人生の半分を音楽に費やしてきた僕にとってもともと仕事やスキルに自信がなく、ある種の後ろめたさを30代の頃からずっと持ち続けてきた。いまさら同年代の周りと肩を並べて出遅れた分を取り戻すことはできないと。でも反面「何かを始めるのに遅すぎることはない」と思うように心がけている。七転八倒だったけどこの20年近くはそうやって頑張ってきた。若い頃には自分にはムリだと思っていたようなことも、逆に今の年齢だからこそやればできることがあったりもするものだと。

 今年の計画のひとつは身体のコンディションを整えること。20代後半から摂り続けてきたアルコールを完全に断つこと。生活習慣を改善すること。あとはもっと勉強してスキルアップをすること。また何かの資格にチャレンジします。数年後チャンスがあれば転勤して他の都道府県でも働きたい。

 またSNSで都度状況報告します。今年もどうぞ宜しくお願いします。