【コラム】「欧州一辺倒」のノーベル文学賞(下) [2010/10/03 10:51:46]

 業績の数値化がある程度可能なほかの分野と違い、文学は各国固有の言語と文化的基礎の上で花開く。そう考えると、「ヨーロッパ=文学先進国」とい うのは文化的に野蛮だ。「ノーベル文学賞の権威が年を追うごとに下がっているのは、その偏向性のため」とも指摘されている。米国の時事週刊誌「ニューズ ウィーク」は昨年のノーベル文学賞発表後、「ノーベル文学賞が取るに足らない本当のワケ」というコラムで、「ヘルタ・ミュラー氏…

【コラム】「欧州一辺倒」のノーベル文学賞(上) [2010/10/03 10:51:42]

 今年6月に全世界を熱くしたワールドカップ・サッカーは、ヨーロッパの「お祭り騒ぎ」に終わった。スペイン・ドイツ・オランダの欧州3カ国に、南 米ウルグアイが唯一、非ヨーロッパ圏代表としてベスト4に勝ち進んだ。こうしたヨーロッパ一辺倒の構図は、ノーベル文学賞でもそっくりそのまま繰り返され ている。  ノーベル文学賞は1994年に日本の大江健三郎氏が受賞したのを最後に、徹底してアジアと縁がない。この期…