ファンタジーは近代主義(近代科学、近代合理主義、近代的自我)の影であり、表裏一体である。この視点から考察してみる。

1)近代主義とは、同一性主義であり、差異を否定している。同一性主義とは、二項対立であり、優位項と劣位項に二分化されていて、前者が後者を否定するのである。
 たとえば、コーカス・レースで考えると、勝者、すなわち、優位項のないレースであり、同一性主義が崩壊している。つまり、差異が出現している。
 あるいは、女王が首を切れというのは、女王が優位項であり、下々は劣位項であり、劣位項を否定しているのである。
 あるいは、裁判において、証言より先に、判決が出るというのも、同一性主義である。
 
2)対極性の視点:「大きくなる」と「小さくなる」。キノコの左側と右側の違い。カエルの召使と魚の召使。三月うさぎと帽子屋。等々。これらは、二項対立とは異なる、二元性である。対極性と見ることができよう。