ベオウルフ 呪われし勇者
英国文学最古の英雄叙事詩を映画化したファンタジー…
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Beowulf the hard-man

A new film of the Anglo-Saxon saga is in touch with critical debate – and rip-roaring fun


ベオウルフ

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文学
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ベオウルフ
ベオウルフ

ベオウルフ』(英語Beowulf古英語 :Bēowulfベーオウルフ)は、英文学 最古の作品のひとつで、英雄ベオウルフ(ベーオウルフ)の冒険を語る叙事詩 である。約3,000行と古英語 文献のなかで最も長大な部類に属することから、言語学上も貴重な文献である。

概要

デネ(デンマーク )を舞台とし、主人公である勇士ベオウルフが夜な夜なヘオロットの城を襲う巨人グレンデル や炎を吐く を退治するという英雄譚であり、現在伝わっているゲルマン諸語の叙事詩の中では最古の部類に属する。

『ベオウルフ』が成立した時期は、作品内部にも外部の言及としても成立の時期を特定する記述が存在しないため、必ずしも明らかではないが、8世紀から9世紀にかけての間に成ったと考えられている。

伝本は、大英図書館コットン文庫 に10世紀と12世紀の写本 が合冊されたものが一本伝わるのみである。しかも、この写本を含む文庫がかつて火災に遭い、焼失は免れたものの損傷を受けているため、文献としては恵まれているとは言いがたい。

ファンタジー の源流とも言える内容を持っている。研究者の中にはJ・R・R・トールキン がおり、その著作『ホビットの冒険 』や『指輪物語 』への影響はつとに指摘されている。

[編集 ] あらすじ

『ベオウルフ』は、主人公の勇士ベオウルフの若い時を描いた第一部と、それから時代が飛び、老域に入ったベオウルフ王の最期までを描いた第二部に分かれている。第一部でベオウルフは巨人(ドラゴンとも言われている)グレンデルと戦い、第二部では炎を吐く竜と死闘をかわす。

[編集 ] 第一部

デネ(デンマーク)の王フロースガールはヘオロット(牡鹿)という名の宮殿を築き、それを祝って連夜祝宴を開いた。そのざわめきにカインの末裔、呪われし巨人(ドラゴンとすることもある)グレンデルは怒り、宴がはねた深夜に襲撃してフロースガール王の家臣を虐殺した。

スウェーデンの南部にあたる地域に住む勇士ベオウルフは、その噂を聞きつけて従士を従え、海を渡ってフロースガール王のもとに訪れる。ベオウルフは ヘオロットの館の警護にあたることになった。深夜になると、グレンデルがまたもや襲撃してきて、ベオウルフと一騎打ちになった。ベオウルフはグレンデルの 腕をもぎとるが、巨人はそのまま逃走していく。

翌晩、グレンデルの母親がわが子の復讐にやって来た。家臣を殺されたフロースガール王はベオウルフに巨人討伐を依頼し、ベオウルフは巨人の棲家である沼に赴く。そこで繰り広げられる勇士と巨人の格闘戦。

[編集 ] 第二部

ベオウルフは、王となり、そして老いた。彼はよく国を治めていたが、ある時問題が起こった。ドラゴンが民を襲ったのである。

ベオウルフは大きな鉄の盾を作らせ、最期の戦いになると覚悟の上でドラゴンの住む岬へと向かった。王は瀕死の重傷を負いながらも、ただ一人最期の場所までついてきた部下の助けを得て、相討ちの形でドラゴンを倒した。

ベオウルフは、勝ち得た宝を眺めながら息を引き取り、物語は残った者が王の願いを叶えるために大きな塚を築いたところで終わる。残された12人の部下は、宝を全て王とともに葬ったのである。

[編集 ] 日本語での文献

[編集 ] 関連項目



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ベーオウルフ梗概



『ベーオウルフ』 忍足欣四郎訳 岩波文庫

序詩:デネの国に流れ着いたシェーフの子シュルドはすぐれた王となった。その子のベーオウルフ(主人公とは別)も、勇名をはせた。シュルドは亡くなる。

第 1節:その後、ベーオウルフの治世となるが、その子のヘアルフデネ王に三人の王子へオロガール、フロースガール、ハールガと一人の姫がいた。そして、フ ロースガールが王位に就いた。そして、宴の館へオロットを造営した。しかし、日夜の酒宴に、カインの末裔の怪物グレンデルの怒りを招く。

第2節:怪物グレンデルは、酒宴の後、館を襲い、戦士三十人を殺害した。そして、翌晩もグレンデルが襲来して殺戮を重ね、館はグレンデルの占有するところとなり、住む人もいなくなり、十二年が過ぎる。

第3節:イェーアト族の王ヒイェラークの母方の甥のベーオウルフ(主人公)が、怪物グレンデルの悪行を聞く。彼は十四人の手勢を選んでグレンデル退治にデネの国へと船出する。到着して、デネの海岸警備の衛士(えじ)に誰何(すいか:出自や渡来の趣旨を尋ねる)される。

第4節:ベーオウルフは、誰何に、エッジセーオウの子息であると答える。そして、フロースガール王を怪物グレンデルから危害から救うために来たと述べる。

第5節:ベーオウルフ一行は、宮殿に到着して、側用人のウルフガールに王の拝謁を賜りたい旨を申し出、ウルフガールは王に対面を許すよう勧める。

第6節:ベーオウルフは、王に、グレンデルと武器を用いず、一騎打ちしたい決意を述べる。

第 7節:フロスガール王は、ベーオウルフの父エッジセーオウが、自分の許に身を寄せた経緯(いきさつ)を語る。エッジセーオウはウュルヴィング族のへアゾ ラールを殺したが、イェーアトの人々は報復を恐れて、彼を匿わなかった。そのため、エッジセーオウは、デネの国に渡り、フロスガール王は、贖罪(しょくざ い)の金品を送り報復を回避した。そして、エッジセーオウは、感謝の念から、王に対して忠誠を誓ったのであった。

第8節:フロスガール王の廷臣ウンフェルスは、ベーオウルフを嫉み、かつてベーオウルフがブレカとの競泳で敗れたといわれない侮辱を加え、彼がグレンデルとの戦いで非運に見舞われるだろうと述べた。それに対して、ベーオウルフは反論する。


第 9節:ベーオウルフは、海の怪獣との戦いを告げる。そして、ウンフェルスの兄弟殺しをなじる。そして、勇猛ならば、グレンデルの跳梁を許すことはなかった はずだと述べる。酒宴の席に、妃のウェアルフセーオウも姿を見せる。やがて、宴もはね、王はベーオウルフに館の警固を委ねる。

第10節: ベーオウルフは、素手でグレンデルを待ちかまえる。(だが、主なる神はウェデルの人々に、運命の織りなす戦の良き首尾を、救いと助けとを与え給い、もって 彼ら一同が一人の男(おのこ)の力を通して、まさにその人物の力量によって敵を打ち負かすこととなった。p.77:神による運命観がある。)

第11節:グレンデルは館へ侵入し、待ちかまえていたベーオウルフは戦いを始める。

第12節:ベーオウルフは、グレンデルの腕をもぎ取り、勝利する。

第13節:フロースガール王の家臣らの一人は、ベーオウルフの勲(いさおし)を称える(たたえる)を歌を即興でつくり、連想から、北欧伝説の英雄シイェムンドの数々の冒険について語る。

第14節:フロスガール王は、ベーオウルフに感謝して、彼を精神的息子として扱おうと約束する。

第15節:戦いのため傷んだ館へオロットの修理・改装が行われる。フロースガール王は、ベーオウルフに、四種の宝と八頭の馬を与える。

第16節:宴席で、王お抱えの伶人(れいじん)が、昔のデネとフリジア人との宿怨(しゅくえん)の争いを扱った歌謡を吟誦する。

第17節:伶人の歌が続く。その歌の中で、ヘンジェスト(フネフの武将)は、復讐を企てたことが語られる。

第 18節:酒盃がベーオウルフの許へ運ばれ、今度は妃のウェアルフセーオウが彼に黄金や宝石などを惜しみなく与える。ここで、作者は、後に起こる事件を語る のだが、帰国したベーオウルフは、その首飾りをヒイェラーク王に献じる。王はフリジアに遠征する際、その首飾りを身に着けていき、討ち死にして、それはフ リジア人の手に落ちる。

第19節:デネの戦士たちが眠りに就くと、息子の復讐の遂げようと心に決めたグレンデルの母親が、館へオロットを 襲う。女怪はフロースガール王の寵臣を引っ攫(さら)い、息子の血に塗(まみ)れた腕を取り返して逃げて行く。嘆き悲しむ老王は、夜明けとともに急遽 (きゅうきょ)ベーオウルフを召し出す。

第20節:フロースガール王は、良き助言者で貴族の鑑(かがみ)というべきアッシュヘレがグレン デルの母親に殺されて、その遺骸が運び去られたことをベーオウルフに告げ、悪鬼らの住み処である荒地の湖の恐ろしい有り様を詳(つまび)らかに語った上 で、再度怪物退治を要請する。

第21節:ベーオウルフは王を励まし、女怪がいずこに逃(のが)れようと必ず討ち果たすと約束する。その言 葉を聞いて王は神に感謝し、家臣やベーオウルフ一行を従えて女怪の足跡をたどり、難路を通って、森に囲まれた湖に到る。湖のほとりの切り岸にアッシュヘレ の首を見出す。湖の水面(みなも)や水際(みずぎわ)には様々な怪物がいる。ベーオウルフは甲冑に身を固め、王の家臣から借りた名剣フルンティングを手に して、湖に躍(おど)りこむ準備をする。
「フロースガール王は、・・・鈍色(にびいろ:ダークグレイ)の岩の上に深山木(みやぎ)が、心地よから ぬ森の木々が覆(おお)いかぶさるのを、目にした。その下には、血に染まり、漣(さざなみ)立つ水が広がっていた。水際(みぎわ)の切り岸の上にアッシュ ヘレの頭(こうべ)を見出した時、すべてのデネの人々、シュルディング人の友どち、数多(あまた)の従士は堪え難き心痛を覚え、勇士らはいずれも悲憤遣 (や)る方(かた)なかった。・・・徒(かち)の戦士らは腰を下ろした。その時、彼らは水辺に数多(あまた)の蛇(くちなわ)が群がり、妖しき水蛇が水面 (みなも)を泳ぎ回り、また、水の魔物が岬の斜面に身を横たえているのを見た--これらと同類の蛇(くちなわ)や怪獣が、帆船の通う潮路(しおじ)の上に て朝方の剣呑(けんのん)なる企てをするのだ。」p.140~142
ベーオウルフは、頬当てに猪(いのしし)の象(かたち)を幾つか彫り込んだままの姿である。猪は女神の動物である。

第22節:ベーオウルフはグレンデルの母親と戦う。名剣フルンティングを女怪の頭に下ろしたが役に立たなかった。グレンデルの刃を鎖鎧(くさりよろい)が救った。

第 23節:ベーオウルフは洞窟の壁にその昔巨人が鍛造した霊剣が懸っているのを目にし、それを掴(つか)んで敵を斃(たお)す。すると、洞窟の中には光が満 ちあふれる。勇士は洞窟の奥へと進んで行き、グレンデルが息絶えて横たわっているを発見して、首を刎(は)ねる。一方、湖岸で待っていたデネの人々は、勇 士が最期を遂げたと思っていた。ベーオウルフは、グレンデルの首と残った霊剣の柄だけを携え、浮上する。槍の柄に括りつけたグレンデルの首を担がせて館へ と凱旋し、王に挨拶する。
「(巨人の霊)剣は、死すべき定めの敵の体を両断した。女怪は床に倒れ伏し、剣は血に塗(まみ)れ、勇士は自らの働きに 喜悦を覚えた。恰(あたか)も中空(なかぞら)に浮ぶ燭(ともしび)といもいうべき日輪が天上よりけざやかに照るごとく、光が射し出でて、洞窟の中に霊光 が輝きわたった。」p.154~155
cf. グレンデルの母親を牝狼と表現している。神話では、狼も女神の動物である。思うに、グレンデルとグレンデルの母親とは、イシス/オシリスという女神の「ペア」かもしれない。
第 24節:ベーオウルフは、女怪を倒した経緯(いきさつ)をフロースガール王に語り、刀身の融けた霊剣の黄金造りの柄を王に渡す。そこには、巨人の族(うか ら)が洪水によって滅ぼされた模様が彫られ、また鍔(つば)の金の銘板には最初の所有者の名が刻まれている。王はベーオウルフと好対照をなす残忍で吝嗇な 昔のデネの王ヘレモードについて話をする。また、神の恩寵を受けた高貴な家柄の者は恩寵が永遠に続くと錯覚するに至ると述べて、ベーオウルフを戒める。

第25節:フロスガール王は、傲慢の誘惑の危険を訓戒する。一夜明けて、ベーオウルフは、王に帰国の挨拶をする。

第26節:ベーオウルフはフロースガール王に帰国の迫ったことを告げ、以後デネの国を侵略する国があれば支援に駆けつけようと約束した。これに応えて、王はベーオウルフが王に選ばれるであろうと予言する。

第27節:ベーオウルフ一行が海岸に着き、出航する。そして、故国の海外に到着する。運んできた宝は、ヒイェラーク王の館に運ばれる。そこには、嫁いで間もない、うら若い妃ヒュイドがあり。賢明で徳高い。その対比として、オッファ王の妃モードスリューゾの挿話が語られる。

第 28節:ベーオウルフの帰国の報を聞き、ヒイェラーク王は歓迎の宴を開く。ベーオウルフは怪物退治した旨を告げ、その時の祝賀の宴の模様を話し、政略結婚 が成功したためしの稀なことの例としてフレーアワル姫(フロースガール王の息女で、へアゾベルド族の王の子息に嫁いだ。)の挿話を予言の形で語る。

第29節:フレーアワル姫の挿話の続きで、昔のゲネとの争いを忘れかねているへアゾベアルドの老(おい)武者は若武者を唆して、若武者の父の復讐を遂げさせる。これをきっかけに両部族(デネ人とへアゾベアルド人)の宿怨が再燃する。

第30節:ベーオウルフは、グレンデルやその母親の怪物退治の報告の続きをする。

第 31節:報告を終える。(ここで、話題は変わり、作品の第2部との言うべき段階に入る。)やがて、ヒイェラーク王が、続いて、その子へアルドレードも討ち 死にする。ベーオウルフが王位に就き、善政を布いて、五十年に及ぶ。折しも、竜が守る塚に副葬された宝を荒らした者があり、竜は大いに怒る。

第32節:竜の宝を荒らしたのは、ベーオウルフ王の家臣である貴族の下僕であった。

第33節:竜は炎を吐いて家屋敷を焼き払いはじめ、ベーオウルフ王自身の館も火焔の波に呑まれてしまう。物語りは過去にさかのぼり、ベーオウルフが王位に就いた経緯が語られる。

第34節:物語りは本筋にもどり、ベーオウルフ王は十一人の手勢を引き連れて竜退治に向かう。王は死の予感を抱きつつ、家臣らに若き日のことを回想する。

第35節:ベーオウルフ王は話を息子を失った老父からフレーゼルへと戻し、彼の死後フーグ勢(スウェーデン勢)とイェーアト勢との間に起こった争いについて語る。ベーオウルフ王は、竜と死闘を演ずる。一人の従士がとどまる。

第36節:踏みとどまった勇士は、ウィーイラーフという名で、ウェーイムンディング一門の貴公子である。王は竜の頭に切りつけるが、剣は砕け散る。

第37節:ウィーイラーフが竜の頭のやや下に切りつけると、焔の勢いは衰え、ベーオウルフ王も気力をふるって短剣をもって竜を仕留める。

第38節:ウィーイラーフは王の命に従って塚の中に入って行く。世にも稀な宝の数々が床に置かれ、壁に懸っている。宝を抱えて、王のところに戻ると、王は虫の息であり、宝を民の福祉のために用いるべきこと、自分のために塚を築くべきことを遺言する。

第39節:王を見捨てて逃げた十人の家臣がもどるが、ウィーイラーフは彼らの忘恩の振る舞いをなじる。

第40節:ウィーイラーフは伝令に送る。伝令はベーオウルフの死が知れ渡るとフランク人とフリジア人との戦が再発するかもしれないとの懸念を表明し、かつての戦を回顧する。

第41節:伝令の回顧の続き。

第42節:ウィーイラーフは王が最期の遂げたこと等を話す。そして、塚から宝を運び出し、竜の死骸を崖のふちから海に突き落とす。

第43節:イェーアトの人々はベーオウルフ王の遺骸を荼毘に付し、主君の死を嘆き悲しむが、中にも一人の女性はベーオウルフ追悼の挽歌をうたい、おのれと国民の上に降りかかるべき非運の予感を語る。

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