封神演義

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Disambiguation この項目では中国の明代に書かれた小説について記述しています。藤崎竜の漫画については封神演義 (漫画) をご覧ください。
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封神演義』(ほうしんえんぎ)とは、中国 代に成立した小説。『封神伝』『封神榜』『封神榜演義』ともいう。ちなみに榜とは立て札のことである。

封神演義とは

元は中国庶民に伝えられる娯楽文学であり、版本は複数ある。撰者は許仲琳とも陸西星とも(許仲琳撰の場合は李雲翔を加える説もある)。日本語版訳者の安能務 (あのう つとむ:2000年 4月 死去)によれば、三大怪奇小説 の一つ。ただしこの認識は古典的なものではなく、一般的には認められていない。

最もさかのぼりうる古い原型は、南宋 の『武王伐紂平話 』である。 直接の原型になったのは『商周演義 』や『崑崙八仙東遊記 』といった作品や、各地の民話伝承などがもとになったとされ、複数に渡る関越えの戦闘描写などは『三国志演義 』の影響も受けているとされる。ちなみに、『西遊記 』には哪吒も出演している。

日本でも古くから読まれ、江戸時代 に好事家が既に読んでいた記録があり、大正 時代にはこれを論じた論文も発表され、中国文学 の専門の辞書にも掲載されており、魯迅 も「中国小説史略」において取り上げていた。ただし、一般への普及は極めて遅く、1980年代安能務 が講談社文庫『封神演義』(上・中・下)を通して紹介してからである。普及がほとんどされなかったために、安能務はそれ以前の封神演義に関する日本語文献を発見できなかったため、儒家 がこの小説を異端視して普及させなかったと、誤解に基づく主張を行ってしまったほどであった。(実際には、1977年 に木嶋清道が既に翻訳を行い出版していた)また、この際の内容は、原典を元にしつつも安能による改編がかなり加えられていた、いうなれば「超訳」であった。

知名度が上がり広く流布したのは、藤崎竜 の漫画など、若年層向けメディアに取り上げられてからのことである。本ページの後の項を参照。

原型に一番近い形で読める日本語版は、光栄(現・コーエー )の『完訳 封神演義』(上・中・下)と言われている。

なお、中国の一般の人々の道教の神々に関する知識は、この書を元にしていることが多い。

[編集 ] 物語の概略

封神演義の物語は、中国民衆の間に深く浸透している世界観(道教神仙思想仏教 、などが深く絡み合った中国独特の宇宙観)を多少とも知っていることが、それを理解する早道となるが、編者に道教神仙思想仏教 の知識が乏しかったと推定されているため、一般的な道教 からみると多分に疑問な記述が多い。編者は特に歴史知識に疎かったらしく、唐の武将李靖 を殷代に登場させるという誤りを犯しているという指摘がある。


注意 以降に作品の結末など核心部分が記述されています。


封神演義の世界において、世界は仙界と人界に分かれ、仙界はさらに、人間からなった仙人 ・道士達からなる崑崙山 の仙道「闡教(せんきょう)」と、それ以外の動物・植物・森羅万象に由来する仙道「截教(せっきょう)」とに二分されていた。

人界では時は商( )の紂王 の治世。名君と呼ばれた紂王はその心に兆した慢心から、女媧 廟 の祭祀において女媧への無礼にあたるふるまいを行った。すなわち、女媧は人間界のどの人間より美しい、この女媧が私のものであったら良いという意の詩を読 んだわけである。この、紂王の「人」と「神」を混同した行動に女媧は怒り、千年生きた狐狸の精に紂王を陥れるよう命じた。狐狸精は、紂王の後宮に入ること になっていた美女、冀州侯の娘・妲己 の魂魄を滅ぼしてその身体を手に入れ、紂王を籠絡し始めた。これ以降紂王は、妲己に操られるまま次第に暴政を行うようになっていった。

一方崑崙の偉い仙人達は、二つのことに頭を悩ませていた。一つは、本来いかなる命を奪わずとも済む彼らの身に悠久の時の中で積もり積もった「殺劫」 をいかに晴らすか、と言う問題。もう一つは、仙人の落ちこぼれや卓越しすぎた能力を持つ人間など、仙人と人間の狭間に増えすぎて両界の境界を曖昧にする存 在をどう処遇するか、という問題であった。

それに対し崑崙の上仙は、ある恐るべき作戦を立てる。それは人界の混乱に乗じ二つの問題を一挙に解決する方法……すなわち仙人や人間達を一旦「整 理」してその魂魄を集め、仙・人両界の間に新たに「神界」を作って神として封(ほう)ずる、「封神計画」と言うものであった。その対象となる者達三百六十 五名を策定し「封神榜(ほうしんぼう)」という一覧表に選び上げた崑崙の上仙は、崑崙の道士の一人であった姜子牙……後の太公望 を、その執行者として人界に遣わした。

斯くして殷代末期の殷周革命 の動乱を舞台に、四不象(中国読みスープーシャン、日本語読みシフゾウ )に乗った姜子牙(太公望)がまきおこす殷周両国の間の戦乱、ひいては闡教と截教の対立が描かれながら、数多くの仙人、道士の魂魄が封神榜の掲げられた「封神台」へと飛んでいくこととなる。

[編集 ] 宝貝とは

宝貝(パオペエ)は、仙人や道士が持つ、いわゆる武器である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%81%E7%A5%9E%E6%BC%94%E7%BE%A9