サロメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サロメとは、

  1. キリスト教新約聖書 中のエピソードで、母ヘロディアの命によって古代パレスチナの領主ヘロデ・アンティパス から舞踏の報償として洗礼者ヨハネ の斬首を求めた女性。(「サロメ」という名前は伝承によるもので、新約聖書の中には書かれていない。)

  2. 古代パレスチナの王ヘロデ大王 の娘。ヘロデ大王の死後、その息子のアルケラオスヘロデ・アンティパスフィリポス という兄弟とともにパレスチナを四分割統治した。

  3. サロメ (イエスの弟子) キリスト教新約聖書 のひとつである『マルコによる福音書 』(15:40, 16:1)に登場する、イエス に付き従った女性。マグダラのマリア らとともにイエス磔刑 の場を見守り、墓を訪ねた。外典トマスによる福音書 』などにもイエスと問答する一人として登場する。

  4. ルー・サロメ は、ロシア生まれの女流作家、思想家。哲学者ニーチェ の弟子。ニーチェよりも、ニーチェの友人パウル・レー との親交のほうが深かった。ドイツ語圏で多く活躍したため、ドイツ語読みのルー・ザロメ などでも知られている。
  5. 軟膏サロメチール佐藤製薬 。かつては東京田辺製薬→三菱ウェルファーマ より発売されていた)

[編集 ] ヨハネの首を求めたサロメ

サロメ (ティッツアーノによる)
拡大
サロメ (ティッツアーノによる)
  1. サロメ は、キリスト教新約聖書 に登場する女性で、ユダヤ のヘロデ大王の息子ヘロデ・アンティパスの姪、かつ義理の娘である。(「サロメ」の名は伝承によるもので、新約には書かれていない。)新約聖書によれば、もとはフィリポスとヘロディア の娘であった。ヘロデ・アンティパスが弟フィリポスからヘロディアを奪い妻としたとある。ヘロデ・アンティパスに舞踏の報償として好きなものを求めよといわれ、母ヘロディアの命によって洗礼者ヨハネ の斬首を求めた。西洋絵画、とくにバロック期にモティーフとしてよく画かれる。なお男性の首をもつ女性のモティーフにはユディト があるが、ユディトがしばしば剣をさげかつ首はそのまま持たれるのに対して、サロメは剣を持たずヨハネの首は皿に載せられて描かれるので注意が必要である。

  2. 新約聖書に取材して書かれたオスカー・ワイルド戯曲サロメ』では、新約聖書にある洗礼者ヨハネがサロメの母ヘロデヤ を非難したことによって幽閉され殺される逸話を、ワイルドはサロメの歪んだ恋心から洗礼者ヨハネであるヨカナーン を刎ねさせるという突飛な筋書きに仕立てたが、これにはキリスト教徒の反発も強かったという。これを基にした絵画文学演劇 等も多くある。

  3. 楽劇『サロメ 』 は、リヒャルト・シュトラウス の1幕のオペラ作品である。オスカー・ワイルドの戯曲のドイツ語訳をそのまま台本としている。

  4. 舞踊音楽『サロメ』は1948年伊福部昭貝谷バレエ団 創立10周年記念として作曲したバレエ作品であり1987年 に演奏会用の曲として手が加えられた。

[編集 ] 関連項目

Wikimedia Commons
ウィキメディア・コモンズ に、サロメ に関連するカテゴリがあります。