オーディン
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オーディン (Oden 、Odin )は、北欧神話 の主神 (最高神 )。戦争 と死 の神であり、魔術 の達人とされている。知識に対して非常に貪欲な神であり、知識を得るためならばどんな犠牲も惜しまない。
なお、オーディンは、古ノルド語
名オージン (Óðinn )の英語
への転写形。 本来の英語形は ウォーデン(Woden )、また、ドイツ語
では ヴォータン(Wotan )という。
絵画などでは、片目が無く、長い白髭を持った老人で、つばの広い帽子を被り、グングニル という槍 を持った姿で表される。
ユグドラシル の根元にある泉の水を飲むことで知恵を身に付け、魔術 を会得する。片目はその時の代償として失ったとされる。
神々の世界にあるヴァラスキャルヴ の館に住み、高座フリズスキャルヴ に座り、世界を見渡している。
ヴァルハラ という宮殿に、戦死した勇者(エインヘリャル )を集め、世界の終わりまで戦わせるといわれている。ヴァルハラでの戦いにおいては、敗れた者も日没とともに再び甦り、夜は大宴会を開き、翌日にはまた戦を行うことができるとされる。
愛馬は八本足の戦馬スレイプニル 。フギン (=思考)、ムニン (=記憶)という2匹のワタリガラス に、世界中を飛ばせてさまざまな知識を得ているという。また、足元にはゲリ (=貪るもの)とフレキ (=飢えるもの)という2匹の狼がおり、戦死者を食らうという。
最後は、ラグナロク にて、ロキ の息子である巨大な狼フェンリル によって飲み込まれる結末となってしまう。
オーディンへは、ユグドラシルの木で首を吊り、グングニル に突き刺されたまま、九日九夜、自分を最高神オーディンに捧げたという。(つまり自分自身に捧げたということ。)。これはオーディンがルーン文字 の秘密を得るために行った行でもある(このときは縄が切れて助かった)。
エインヘリャルにするためにしばしば英雄を死なせることと、魔術の達人であることから、ヘルメス 、メルクリウス と同一視される。多くのゲルマン語派 の言語で、水曜日 を「オーディンの日」という意味のWednesday(英語)、woensdag(オランダ語)、onsdag(ノルウェー語 、スウェーデン語 )と呼ぶのはこのためである(ローマ暦 では水曜日が「メルクリウス の日」であることから)。
タロット カードの大アルカナ XII「吊るされた男」は、オーディンを描いたものだという解釈もある。
また、トール と口論した渡し守・ハールバルズの正体は変装したオーディンである。