現在、鉱物が新種として認められるには国際鉱物学連合(IMA)の認定が
必要で、それによると6,100種以上の鉱物種が認められています。 但し、
独立種としての判断基準の改定がたま~に行われたり、年間数件の新種が
認定されているのでその都度数は変わってきますね。

日本で見つかった新種の鉱物も勿論あって、2025年9月現在で161種が
鉱物種として記載されているそうです。 どんな物があるかは私が参考に
させて頂いているこちら のサイトで詳しく出ています。

・・・とまぁ、それだけならわざわざブログに書く事もないとは思った
のですが、今回書こうと思ったのは「国産の新種が都道府県別でどの位
見つかっているか」
がさくっと見られないかと思ったからです。
整理してみると・・・

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北海道  19種    青森   1種 
岩手   14種        秋田   4種 
宮城      0種    山形   0種 
福島   6種       群馬    10種 
栃木   2種       茨城   1種 
埼玉   1種       千葉   2種 
東京   2種       神奈川     1種 
山梨   2種       静岡   2種 
新潟   8種       長野   0種 
富山   0種       石川   0種 
福井   0種       岐阜   5種 
愛知   4種       三重    10種 
滋賀   2種       京都   2種 
奈良   1種       和歌山     0種 
大阪   2種       兵庫   3種 
鳥取   1種       岡山    18種 
島根   2種       広島   1種 
山口   1種       香川   1種 
徳島   0種       愛媛    15種 
高知   4種       福岡   1種 
佐賀   5種       長崎   1種 
大分   4種       熊本   5種 
宮崎   1種       鹿児島      2種 
沖縄   0種
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この数を合計すると161以上あります。 この理由の一つはIMAに
模式地(申請に使われた原産地)として申請された場所が複数あった
為、それぞれでカウントしています。あとは私の数え間違いもあるかも
知れませんが・・・(笑)


こうして見ると、地質的に納得する部分もあれば「何でここ少ないの?」
みたいなものが見えてきますね。 日本は小さな国土の中に大きな地学的
変化の出来ている場所ですから、今後も新種が記載される事でしょう。
・・・私のような不心得者が得た物を埋もれさせなければですが(汗
 

因みに、新種としてIMAに申請する際にはその鉱物名も申請するのですが
基本的に発見者の名前が付く事はなく、審査で却下されるそうです。
例外的に、発見者以外の人が分析調査をして申請する際に「発見者の
これまでの功績に敬意を表して」という場合には認可される可能性が
あるらしいです。 知らんけど(笑)
 

【追記】
ここ数か月の間に、国産の新鉱物が数種認定されています。
(上記のカウントには含まれています)
この中で1つをご紹介しようと思います。

 

堀石(Horiite)

画像中央周辺の淡い黄土色部分

名前は以前「なんでも鑑〇団」で鉱物の鑑定をしておられた
堀秀道先生に因んで付けられました。 これもある意味堀先生が
発見したに近い状況なのですが、詳しい経緯は前出の私の参考に
しているここで見られます.


 

 

 

先日、JAPAN MENSAの年次総会に出席する為に上京する
機会がありまして、折角なのでと思い川崎市の鉱物ショップ
AMERI(アメリ) さんにお邪魔致しました。

アメリ登戸店の店主清水さんは、私がClubhouseで毎週開いている

鉱物ルームで知り合いまして、名古屋ミネラルショーに出店された

際にも2回お会いしていました。 しかしやはり一度は直接お店に

行ってみたいと思い、この機会にと思ったのでしたが・・・。

 

営業時間は19時までとの事。 件の総会がやや延長した為、移動

距離と土曜夕方の混雑を考えると・・・間に合うかしらと。(汗

 

車に乗り込みClubhouseを起動すると、高知のショップの方が
開けたルームに清水さんもおられたのでお話ししながら向かいます。
あ、因みに骨伝導イヤホンマイク使用です悪しからず。(´-`)b

到着はどうも閉店ギリギリになりそうだったのですが、清水さん曰く

「明日のYouTubeライブの準備をしてるので遅くても大丈夫ですよ」

との事。ヽ(´-`)ノ

 

案の定、19時を数分過ぎて到着。

住宅街の、ちょっと奥に入った所で分かりにくい場所ですね。
単純に何かを販売する店という事で言えば非常に条件の悪い場所
なのでしょうが、私は実に理に適った選択だと思いましたねぇ。

暖かいコーヒーで出迎えて頂きました。 ありがたや~

 

 

とても綺麗な店内に、無数の素敵な鉱物が並んでいます。

ゆっくり見たかったのですが、閉店後+翌日の準備中という事もあって

少しお話しして、一つだけ気になった石を購入しました。

 

アレキです。 めっちゃ安かった!!(笑)

 

何故この値段?と聞くと、どうやら表面の付着物のせいなのか
カラーチェンジが見え辛いのだそうで。 しかし部分的には

しっかりチェンジしてるし、何より輪座双晶の形も良いし厚みも

ある。 どこに価値を求めるかは人によって違うのでしょうが、

もしこれが全体にカラーチェンジするものなら私の購入価格の

少なくとも5倍以上はしたでしょうね。(笑)

 

アメリさんの登戸店は加工品(オリジナルアクセ)も扱いますが

未加工の原石がメインです。 特にモリオン(黒水晶)では
国内ではトップクラスと言って過言ではないでしょう。

清水さんは鉱物は勿論、この業界にも精通している方なので本当に

ゆっくり出来なかったのが残念でなりません。

 

清水さんは、YouTubeではライブ販売だけでなくいろいろ情報発信も

されていますので興味のある方は是非。

 

 

某鑑定番組で、某女優さんが5000円で購入したという水晶が
20万円という鑑定結果になりました。

恐らくですが、鉱物に携わる多くの方が「待てぃ!!」とツッコんだ
事でしょう。 あれはどう見ても石英塊若しくは形の悪い水晶を研磨して
成型した加工品です。 パワーストーン的な価値観を加味しても購入価格~
2万程度が妥当な価格でしょうね。 つまり女優さんの価値観は正解で
鑑定した先生に問題があります。 解説では綺麗に面が出ているとか
言ってますが研磨すればそりゃ出ますよね。(笑) 

この鑑定した先生が、何をもってこの値段を付けたのかはわかりませんが
少なくとも鉱物に携わる皆さんが、一般的に流通する適正価格を逸脱した
提示をした事は判って頂けていると思っています。

あ、勿論この水晶が全て研磨でない可能性も0.01%くらいはあるかも
知れませんけど。(笑)
 

前章までは心構えや装備などお話しましたが、では実際に

石を目にしたときにまず戸惑うのが、「これって何ていう

石?」・・・ですよね。^^;

 

あたりまえですが、その石が何なのかがある程度見分けが

つかなければ採集自体が成り立たないでしょう。 鉱物を

見分ける判断基準として「結晶」というものを頭に入れて

おく必要があるです。

 

実は、「鉱物の結晶について」というのをこの入門編より

かなり前に書き始めていまして・・・(汗

それを使おうかと思ったものの、入門としては少々面倒な

レベルな気がしますので、それとは別に鉱物を見分ける

為の結晶というもの」について、入門編らしくできるだけ

わかりやすい説明をしてみたいと思います。 鉱物採集と

いう趣味をするのならば結構重要性の高い情報ですので、

少しずつでもいいので理解をしていって下さい。

 

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「水晶」「石英」は、言葉が違うだけで同じ鉱物です。

(昔は逆でしたが)一般的に、結晶した物を水晶、そうで

無いものを石英と呼んでいます。 では、同じものが結晶

したりしなかったりするのは何故でしょう?

 

「四角スイカ」ってご存知でしょうか?
スイカがまだ小さいうちに正方形の箱で囲っておきます。

成長が進んで大きくなると、その箱の形になってしまうと

いう物です。 鉱物の成長も同様の事が言える訳ですが、

スイカの場合は通常が地上という自由な形になれる環境

あるのに対し、鉱物は大抵地中という周囲が自由に成長

させてくれない」場合が多いのです。

 

地下深くの高温・高圧環境では様々な鉱物の材料(元素)が

コロイドになっていて、それが地表付近まで押し上げられ

てくると冷えて塊になってきます。 この時、スイカの場合

とは逆で周囲には他の岩石や鉱物があって本来の形に成長が

できません。 しかし、押し上げられ固まってくると岩石の

中に亀裂やガスだまり、熱水の入る隙間等が部分的にできる

ことがあり、そこが鉱物の理想的な形、つまり結晶ができる

空間になる訳です。

 

結晶の形は、基本的に鉱物の種類によって違います。

が、1種が必ず1つの形になる訳ではありません。 中には

1種で数十以上もの結晶形になる物もあるので、別の鉱物と

同様の結晶の形になる物もありますね。 それでも、定番の

とかがありますのでそれらを覚えておくと良いと思います。

 

良く知られている鉱物の結晶をいくつか例を挙げてみますね。

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・水晶(クォーツ)

 

 まずは水晶。 基本的には六角柱で、先が尖っています。

 時に両端が尖っていたり柱が薄い板状になったりする事も

 ありますが、板状を上から見ると六角形をしています。
 個体差はありますが柱面と尖っている面の境目に小さな面

 を伴っている事が多いです。 あとで少し説明をしますが

 これらの面が隣り合う角度は鉱物種によって一定です。 

 柱面には、柱が伸びる方向に対して垂直方向に「条線」

 呼ばれる成長線が無数に入ることが多いです。

 

 水晶の群晶。 そそり立っている結晶には条線は殆ど見られないが、右下にある

 柱面には、柱の延びる方向に垂直に条線が無数に入っているのが見える。 国内産

 

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・黄鉄鉱(パイライト)

 

 硫化鉄という構成で良く見られる鉱物のひとつです。

 理想形はサイコロみたいな六面体なのですが、角が斜めに

 切れていたりルーズになっていたりします。 淡い金色を

 しているので金と良く間違われます。

 

  黄鉄鉱の理想的な結晶。 国内ではこんなのが出るのはほぼ数ミリ程度。 他にも

 コロッとした形になったり、表面に条線があったり酸化して色合いが変わったりする

 ので、いろいろ見て少しずつ覚えるようにしていくと良いでしょう。 スペイン産

 

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・電気石(トルマリン)

 

 水晶と同様に六角柱状になるのですが、先端の尖りはほぼ
 無かったり、あっても水晶程鋭くはありません。 また、

 柱の角は1つおきに角度が変わる事があり、その為か頭の

 尖りは3方向の錐面になります。 柱の上方向から見ると

 ベンツマークみたいに見えるのが特徴です。

 水晶の条線は柱の成長方向に対して垂直だと書きましたが

 トルマリンは平行に入るのが見分けるポイントとなります。

 

 苦土電気石かも知れない(だといいな)鉄電気石。(笑)

 水晶とは違い、柱の延びる方向に平行に条線が見える。  上記の通り柱の角が

 1つおきに「広く/狭く」なる為、上から見ると三角柱に近い形になる事があるので

 曲面のように見える物も。 勿論ちゃんとした六角柱状の物もあります。 国内産 

 

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・方解石(カルサイト)

 

 ・・・コイツだけは紹介したくなかった(笑)

 水晶やパイライト等と並んで良く見られる鉱物なのですが、

 非常にいろんな結晶形になる事が知られています。 昔の

 学者さんの調査では200以上の形状が報告されたなんて

 言われています。 良く見られる結晶形としても犬牙状・

 釘頭状・六角柱状・直方体状・斜方体状・三角錐状・・・
 とにかく結晶形だけで見分けにくい代表選手ですね。(笑)

 硬度や色、質感や劈開がかなり特徴的ですので、それらと

 併せて判断することが多いです。

 

 三角錐状結晶・・・だと思う(笑) 

 200以上も結晶形を言われたら、結構ちょっとの角度や厚みの違いで別の

 結晶形だという事に。 画像のものも、頭頂部や正面の小さい面を拡張して

 上から潰すようにすると陣笠状か釘頭状になるのかなと。 国内産

 

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・柘榴石(ざくろいし)(ガーネット)

 

 12面体や24面体が一般的で、コロッとした赤い結晶が無数に

 集まった物を見て、「ザクロの実のようだ」という事で和名が

 ついたようです。 こちらは結晶形はそれほど極端になる例は

 少ないですが、含まれる元素で種類が変わります。 つまり

 ガーネットというのはあくまでグループ名で、鉱物種としては

 複数あるです。 この石の場合は、結晶の形の次に色が種類の

 判断基準になるのかと思います。 赤以外にも緑・オレンジ・

 茶色・黒・白・レアですが青なども出ています。

 

 オレンジ色のガーネット。 マンガンを含む「スペサルティン」という種類になる。

 もっと分かりやすい画像もあるが、ネーミング的にこんなのが判りやすいかと(笑)

 小さな24面体結晶の群晶になっている。 国内産

 

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・黄玉(トパーズ)

 

菱形四角柱状が一般的な形です。 水晶やトルマリンに比べると

柱が長く伸びるものは比較的少ない気がします。 端部の尖りは

頂点が柱の中心よりズレたり、大きな2つの面で山形になったり、

細かな突起が複数集まったりといろんなタイプがあります。  

トパーズもトルマリンと同様に、条線が柱面に縦に入りますね。

この記事でもお話ししましたが、もし端部が平らになっていたら

それは結晶面ではなく劈開面である可能性が高いです。

 

トパーズの結晶。 柱はざっくり菱形になる。 一番左は細かい突起の集合、中央の2つは

頂点が右にズレている。 全ての結晶の下の端部は劈開で割れた面なので平らになっている。

国内産

 

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・蛍石(フローライト)

 

 八面体・または六面体が理想的な形状です。
 しかし微小な結晶が集まって丸みを帯びたり、さらにそれが

 集まってモコモコしたようにもなるです。 前出の方解石と

 同様に硬度や劈開、色、質感などと合わせて判断できます。

 また、多くの産地の物はUVで蛍光するのが特徴ですね。

 

 右上の淡黄緑の結晶。 ピラミッドのような形に見えるが、八面体はピラミッド2個の

 底面同士を合わせたような形なので、これは上半分が見えてた状態。左の黒っぽいのは

 煙水晶で、斜め上からなので分かりづらいがちゃんと六角柱状している。 蛍石の中に

 直線的に見える模様は劈開によるひび(クラック)で、これも重要な判断材料となる。

 残念ながらこの産地の蛍石は蛍光しないとの事。 国内産

 

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種類は適当に示しましたが、ほかの種類もネット等で調べれば

判るでしょう。 繰り返しますが、結晶の形だけで種類が確定

出来る訳ではありません。 それでも「普通に出来やすい形」

を知っておく事は重要だろうと思います。 また、同じ鉱物の

結晶が2つ以上、部分的に重なっている物「双晶」と呼び、

複雑な形になります。 これも種類によって良く知られている

タイプがありますので、ネット等で調べてみて下さい。

 

 

 水晶の双晶。 板状の2つの結晶が90度に満たない角度で結合している。 最初に

 日本で見つかり報告された為「日本式双晶(Japanese Law Twin)」と呼ばれる。

 その名の通り国内でそこそこ出るが、勿論海外でも産出する。 これは国内産

 

 

 煙水晶の先端部。 1つの結晶に見えるが、これは「2つの結晶が同じ六角柱の中で

 60度ズレた状態で重なった双晶」で、ドフィーネ双晶と呼ばれるもの。 判断する

 ポイントは、柱面と尖った錐面の間にある面を見ると、単結晶であれば1面おきに

 出るはずの面が連続して出ている事。 似た重なり方で逆タイプのブラジル双晶

 いうのもあるです。 これも国内産

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結晶の形がなぜ種類で(ある程度)決まるのでしょう・・・。

 

その昔、欧米でいろんな場所の水晶を採集していた学者さんが

ふと思いついたのが「ひょっとしたら、各産地によって特有の

形状差があるのではないか」と考えて各産地の水晶のデータを

とったのですが、どこの水晶も「隣りあう面の角度はそれぞれ

同じになる」という結論になりました。 これは現代科学では

分子の結晶構造に依存すると判るのですが、当時では「これは

自然の物だから、神の御意思なのだろう」と思ったそうです。

 

つまり、これは水晶に限らず鉱物が結晶となる際の決まり事

ようなものだと思ってもらって差し支えないでしょう。

 

という訳で、結晶の形は鉱物種によってほぼ決まっています。

極端な例外も勿論ありますが、この入門編ではひとまず除外

しておきましょう。 前章で「~産の~鉱」などと検索して

参考にできるとは書きましたが、中にはどう見ても間違った

物や研磨した物、人工的に作られた物を出しているサイトも

多々ありますので、第1章でもお伝えしたように信頼できる

知識を持ったベテラン・先輩等を捕まえておいて、遠慮なく

聞いてみましょう。

 

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私は、某SNSで知り合った石好きさん達と毎週手持ちの物や

ネットにある画像を見せ合っていろいろ雑談していますが、

中にはこれって何でしょう?」「これは~鉱という説明が

されてますが、どう思いますか?」みたいなクイズというか

検討会みたいになる事が多々あります。 これは大変有意義

で、基本的な結晶形だけでなく「こんな形でも出るんだ」と

いうケーススタディになっていると思います。 勿論ですが

定番の綺麗な結晶も見せ合って楽しんでいます。

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結晶についてのもう少し突っ込んだ話は、最初に書いた通り

書きかけている記事でしようかと思っています。 入門編と

しては大体お伝えしたい事は書けたかと思いますが、もしも

知りたい事・判らない事などがある方は遠慮なくコメントを

下さいますよう。 また、伝え忘れを思いついたら第4章が

出現します。(笑)

 

それではまた。

 

 

今回も結構長いですよ。(笑)

 

鉱物採集、という事はつまり鉱物が採集できる場所に出向いて

自分の手で採ってくるという事です。 可能性が全くないわけ

ではありませんが、普通に考えてビルや民家の立ち並んでいる

街中ではない事は判るでしょう。

 

大抵の産地は旧鉱山や採石場跡、山の露頭や河川などです。

時にはトレッキングや登山に近い感じにもなりますので、まず

装備を整えましょう。 出向く産地の状況にもよりますので、

産地の情報と合わせて足りないものを揃えていくのもアリです。

 

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装備について

 

まず服装ですが、丈夫で汚れても問題ない、尚且つ動きやすい

が望ましいです。 靴はスニーカー等でも良いですが、たまに

思いがけず水たまりや川越えがあるので長靴も視野に入れたい

ですね。 安全靴や登山靴を使う人もいるようですが、結構

斜面に立ったままという状況もありますのでなるべく足首に

負担のかからない靴があると良いかと思います。

 

頭は、理想的なのはヘルメットです。

産地にも依りますが、大抵の場所の周囲には、自分より高い

位置に何かあるです。(笑) 危険性という意味では、安全管理が

されている工事現場よりめっさ高いでしょう。 とはいえまず

動きやすさ・視認性も考慮すると大変です。 何もないよりは

帽子だけでもあったほうが良いかと。

 

後述しますが、ハンマーなどで石を割ったりする場合があると

カケラが飛んできて目に入ったりという事が割とあるです。

普段から眼鏡をしている人でない場合は、度の入っていない

伊達眼鏡とかゴーグルなんかがあると安心です。

 

これも場所によるのですが、できれば真夏でも長袖・長ズボン

して下さい。 石以外にも植物や虫などで怪我をしたりするので

肌の露出は可能な限り少なくしましょう。 あとは、以下にも

紹介するのですが必要アイテムや採集品を携帯するためになるべく

ポケットの多い衣服・ベストなども良いかもですね。

コンビニ袋やバッグなど持っている人もいますが、片手が塞がる

のは移動の際にリスクがあるです。 リュックは両手が使えるので

お勧めです。

 

あとは手袋。 石を扱うので当然必要ですし、現地に向かう際にも

斜面で木や崖に摑まったりしますので素手では危険です。 普通の

軍手でもいいですが、滑りにくく破れにくい物や耐水性のある物が

沢山あるので、産地によって使い分けられるよう幾つか持っておけ

ば安心だと思います。

 

大抵の鉱物産地では、近くにコンビニやスーパー、公共施設がある

訳ではありません。 産地までの移動・採集する時間等を考えると

飲食物トイレなども考慮しておきたいですね。 近年では女性の

方も増えてきたのでトイレは大変だと思いますが、以前お会いした

女性は成人用のオムツしてます。慣れれば何時間でも全然OK」

いうツワモノでした。(笑) 御参考までに。

 

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採集で持っていたい道具

 

・ルーペ 
 1章でも少し触れましたが、ある程度のサイズの鉱物が採れたと

 してもそこに微小なレア鉱物があったりします。 内包物や

 結晶面の確認をしたりと、ルーペは必須アイテムです。

 倍率は10倍程度で充分ですが、虫眼鏡タイプではなく収納型で

 トリプレット(レンズが3重になっている)タイプが好まれて

 います。

 

 収納型のトリプレット。 3つのレンズは固定されています。

 3重にすると、見る位置による収差が低減されるのだとか。


・ハンマー

 落ちている物を拾うだけの様な採集でしたら必要ないでしょう。

 でも、先輩などにレクチャーされたりで実際フィールドに出て

 みると「叩いて割る」という行為が必須なのが判るです。(笑)

 普通にイメージされるハンマーでも悪くはないのですが、石が

 相手の事ですので石専用のハンマーというものがあります。

 採集スタイルや産地の状況にもよりますが、最低でもこぶし大

 くらいの石が割れるハンマーはあったほうが良いでしょう。 

 

 良く使われているロックハンマー。 年期入ってます。(笑)

 柄が木製だと、万一叩き損ねて柄に当たると折れてしまう事もある為、

 柄まで金属製の物のほうが安心ですね。

 

・ライト

 前もって言いますが、廃坑内はどこでも立ち入り禁止です。

 大変危険ですので入ってはいけません。 ライトがあると良い

 のは、現地では結構ちょっとした日陰で良く見えなかったり、

 晶洞が開いた時などライトがあると便利な場面が結構あります。

 また、鉱物種によっては紫外線で蛍光する性質がありますので

 紫外線ライトもあると便利です。 採集時だけでなく鑑賞にも

 使えますね。 安価なブラックライトでも悪くないですが、

 紫外線ライトも長波と短波がありますので、鉱物用のもの

 望ましいです。 最近ではハンディタイプで昼白光・電球光・

 UV短波・長波の切り替え可能な物も売られています。

 

 

 愛用している多機能ライト。 上記のように様々な切り替えが出来て

 USB充電式なので、室内での鑑賞やフィールドでの採集時にも使える

 スグレモノだと思います。 普通の昼白光(強)でも懐中電灯並みの
 照度があると思います。 鉱物という範疇を超えてもなかなか使える

 お勧めガジェットです。  コチラとかコチラで取り扱っています。

 

 

・袋・小箱・緩衝材など

 採集した物を持ち帰る際には必要となる事が多いです。

 綺麗なクラスターをゲットしても、帰りの道中で衝撃にあって

 割れてしまったりしますね。 微小な針状結晶などはどこにも

 触れないようにして持ち帰りたいものです。 1章「何が

 採れるのか」でお話したように得られる物が把握できていれば

 それに見合った保存アイテムを想定できると思います。

 また、現地でのゴミを持ち帰るという意味でも袋は是非持って

 おいて下さい。

 

 昔、ある産地で一緒に採集をした方が超一級品の物を採集されて

 「うわっ、いいなぁぁ」と羨ましく思っていたのですが、後日

 伺ったところでは「帰途の車内に置いておいたら台無しになった」

 という事でした。TT

 かなり極端な例ですが、鉱物は種類によって振動や湿気、乾燥など

 ダメージを受けやすい条件がありますので、前章の知識と合わせて

 出来る限り理想的な形で持ち帰って欲しいと思います。

 

・薬、救急用具

 産地での怪我や急な体調不良に備え、最低でも絆創膏や痛み止め、

 消毒液くらいは持っておきたいですね。 また、自然の中での事

 ですので虫よけなんかもあると良いかと。

 

・その他のアイテム

 産地の露頭や大きな岩から割り採る場合等は、ハンマーだけでなく

 タガネやバールなんかがあると便利な時もあります。 地面を掘る

 際にはシャベル・スコップだったり、土に埋まった物を探すならば

 ふるいがあると良いですね。 これらは勿論度にそろえる必要は

 ないですし、全部持っていく必要もありません 何より採集した

 鉱物も持ち帰る訳ですから事前の荷物は少ないほうが良いですね。

 「次に行く産地はどんな感じの採集になるのか」を把握しておいて

 その都度必要最低限の物を選択するようにしたいものです。

 

例えば砂金を採りに行くのでしたら、良く知られる方法はパンニング

と呼ばれる方法です。 これは金の比重が大きい事を利用して川底の

土砂を水の流れで選別するというものです。 となると、想定できる

のは長靴(場合によってはウエーダー)、シャベル等の掘る物、後は

パンニングで使われる「パンニング皿」などが最低でもないと何も

できません。 勿論、採れた砂金(概ね1mmあるかないかです)を

とる為にピンセットとか、収納する小袋やケースも必須でしょう。

 

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このように、出向く産地の情報を事前に調べておいて必要になる装備を

揃えたいですね。 尚、ダメという決まりはないのですが、電動工具は

流石に使わないで欲しいです。 良い物を採りたい気持ちは皆さんある

でしょうが、あくまで採集という趣味であって、販売目的の採掘・搾取

ではないのだと思っています。 序章でもお話したように、国内産地は

規模が小さいので乱獲=すぐに枯渇となるです。

 

昔聞いた話ですが、とある産地が立ち入り禁止になった顛末です。

元々は許可を貰えば快く入らせてもらえた山だったのですが、掘った

穴はそのまま、ゴミも捨てっぱなし、挙句の果てには重機を持ち込んで

大規模に掘ったとの事。(-_-;)  ね?禁止されても仕方ないでしょ。

 

新たに鉱物採集したいという方には、これまでの(一部の)マナーの

悪い人のせいで貴重な鉱物産地に入れなくなったという事を是非とも

理解して頂いて、将来、自分達のように鉱物に興味を持つ子供達にも

これ以上同じ思いをさせないようにして欲しいと思っています。

装備・アイテムとはちょっと逸脱してしまいましたが、それ程マナーは

重要な部分です。 どうかアイテム選びや使い方等もその辺を意識して

下さい。

 

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第2章としてはざっくりとこんな感じでしょうか。

あとは前章でも書いた通り知識の部分になるので、少しずついろんな

情報を得ていきましょう。 前章では結構「ネットの情報は古い物が

多い」と書きましたが、「~産の~鉱」とかで検索するとその産地の

ものがいろいろ出てきたりするので、特徴を事前に把握する意味では

良い方法かも知れませんね。

 

さて次回ですが、入門編としてはややハードルが上がるかもですが

鉱物を見分ける為の重要ファクターである「結晶」についてをお話し

しようかと思います。

 

気長にお待ちを(笑)

前回までのインクルージョン雑記は主にインクルージョンの紹介を

させて頂く事が多かったのですが、某SNSでいろいろお話している中で

インクルージョンとなる過程についての問題提起があって、念の為

このブログでもその辺を少々ご説明しておこうと思います。 つまり、

「どういう過程でインクルージョンになるか」ですね。

 

まず前提として。

鉱物とは、一定の化学組成で構成された無機質の結晶質物体です。
「結晶質」という表現ですが、例えば水晶ならば6角柱状の結晶を

しますが石英は透明~白濁していて形も不定形が殆どです。 しかし

鉱物としては同じ物となります。 水晶は理想的に結晶が成長できた

事に対して、石英は周囲の環境によってそうなれなかった・・・でも

水晶と同様の組成で集まった「鉱物」なのです。 こうしたものは

「潜晶質」などと呼ばれます。(など、というのはアモルファス状態

の可能性もある為ですw)

 

水晶であれ石英であれ、鉱物として出来るには周辺環境が重要です。

地下深くのマグマや地表付近(といってもかなり深い)の熱水脈で

珪素と酸素が飽和状態にあると、繋がりやすい姿勢に自然となって

いきます。 それが何億・何兆・・・となった結果が水晶の結晶と

なっているのです。

 

では、その中にインクルージョンが入るというのはどういう事なの

でしょうか?(笑) これは言葉の問題であって、例えば「水晶の

中にデュモルチェ石が入った」と言うと、あたかも出来上がった

水晶にデュモルチェが入り込んだとか、水晶の中で成長したように

聞こえてしまいますが、実は全く逆の過程で生成されるのです。

 

ある鉱物が出来た時またはその後に、その部分が熱水脈と接触したと

しましょう。 この熱水は珪酸を多く含むコロイドで、ある程度の

広さの空間があるとそこで理想的な形で結晶となります。 その際に

上記の「出来上がった鉱物を包むように水晶が結晶する」という事に

なるのです。

 

内包された黒い柱状はトルマリン。 包んでいるのは珍しい形だがベリル。 

画像右側にも内包されていないトルマリンがあるが、出来たのは

トルマリンが先で、その後にベリルの結晶が出来た事になる。

 

石英塊になると、珪酸分が飽和状態であるのに結晶となる為の空間が

なくて、熱水と分離した際に脈を満たしてしまった感じでしょうか。

地質によっても状況は異なるのでしょうが、概ねこんな感じだろうと

思います。

 

ここまで語っておいて何ですが、私は学者でも何でもありませんので

反駁、ご指摘などありましたら是非お願い致します。

 

 

鉱物に興味を持った人が、少しづついろいろ覚えだした頃に結構

悩みやすいところが「鉱物の呼び方」ではないかと思います。

・・・さて。 長くなりそうなので御覚悟を。(笑)

 

「水晶」といえばクォーツ(Quartz)という学名は結構知られていますが、

クリスタル(Crystal)とも言われるです。 クリスタルは本来「結晶」という

意味の英単語なのですが、あまりにもありふれた結晶する鉱物なので

呼ばれ始めたようです。 転じて、玻璃(ガラス質)のように透明感のある

物もクリスタルと呼ばれますね。 このあたりはまだ判りやすいですが(汗

他の種類についてもこのような情報を全て覚えないといけないのでしょうか?

 

鉱物の名前は、国際的な標準としてIMAが定める学名の他に和名がありますが

やっかいなのは「宝石名」です。 「鉱物の色について」でも少し触れましたが

分子構造の一部の元素が置き換わって違った色や特性を示す物を別の名称で

呼んでしまうのです。 それだけなら、ちょっと頑張って調べればいいのですが(汗

 

宝石名の中には、「この産地で出た物をこう呼ぶ」とか、「こういう特徴があったら

こう呼ぶ」みたいな事も多々あるです。 これについては国際的にも明確な判断

基準は整備されていない(一部の鉱物種を除く)ので、名前だけでそれが本当に

自分の認識した物かどうかは正直なところ不明瞭だと言わざるを得ないのです。

 

「ハーキマー・ダイヤモンド」という有名な石があります。
これはアメリカのハーキマーという所で採れるのですが、鉱物的には単なる

「水晶」です。 何故ダイヤモンドなどという名前が付いたのかと言いますと・・・。

普通、水晶というと六角柱の先端に尖った頭があるという物が一般的ですが、

この産地の物は柱面が極端に短くて、その両端が尖っています。 それに加え

水晶の柱面に良く見られる「横に入る条線」もなく、透明感はバツグンです。 

 

逆にダイヤモンドの場合、原石だと表面に接触痕やダメージがあってカットされた

時ほど綺麗なものはほぼありません。  ハーキマー産の水晶の美しさの例えで

地面にダイヤモンドの原石とハーキマーを置いておいて、「ダイヤモンドが

落ちてるよ」と言うと、普通の人は大抵ハーキマーのほうを拾う。
という逸話から「ハーキマー・ダイヤモンド」と呼ばれるようになったとか。

今では、柱面に条線があろうが内包物があろうが呼ばれていますね。 極端な話

短柱状両垂ならハーキマー産でなかったとしても、そう言われて見せられた際に

判断しかねてしまいます。 ま、個人的にはあくまで「綺麗な水晶」ですかねぇ。

ハーキマー・ダイヤモンド(所持品の画像)。 もっと綺麗なものが存在するのを

お断りしておきます。

 

私は採集が趣味ですので、基本的には国内で採れる鉱物がメインになるのでまず

和名から覚えます。 標本ラベルには学名や産地なども書くのである程度英名も

覚えますが、やはりいきなり英名で言われるとどんな鉱物だったかピンとこないと

いう事が良くあります。 実はどちらもネーミングの特徴として「見た目・性質・

産地・発見者」などなのですが、日本に鉱物学の知識が入ってきたのが欧米より

かなり遅かったため、翻訳の整合性よりも判りやすさを優先した結果、ギャップが

できてしまったのでしょう。

 

例えば、鉱物学が日本に入りだす前後には、価値のあるような石には「玉」という

名前が付きました。 以下に少し紹介すると・・・

コランダム=鋼玉 (サファイアは青(蒼)玉、ルビーは紅玉)

トパーズ=黄玉

エメラルド=翆玉

アクアマリン=藍玉

ジェイド(翡翠)=硬玉

ネフライト=軟玉

カルセドニー系=~玉髄(色が前に付く。 ジャスパーのみ碧玉という)

という感じです。 そういえば、日本刀などに使われる品質の高い精練鋼を

「玉鋼 (たまはがね)」なんて呼びますね。 他には「黒玉(ジェット)」

言われる石もあります。 これは本来石炭化した化石なのですが、鉄電気石

(ショールトルマリン)や黒曜石(オブシディアン)等と混同しているところも

あるので注意が必要です。

 

それ以外の物や、近代に見つかったものは~石とか~鉱となっています。

英名に~iteという語尾が多いのは、古代ギリシャ語のλίθος(lithos)

語源で、意味は(加工する素材としての)石」です。(笑)

「リトス」と読むのが、英語読みだと「ライト」になる訳ですね。

 

「黄鉄鉱(Pyrite)」は硫化鉄です。 和名では黄色(金色)の鉄という、色や

元素で名前が付いていますが、英名はというと・・・実はこの鉱物、鉄製の

ハンマーで叩くと火花が出ます。 こちらも古代ギリシャ語で火花(武器関連の

火)を表す πυρ(Pyr=ピル)を、上記の~iteと合わせた名前になるです。

 

英名と和名だけでも混乱するのですが、英名でも似たような名前があって結構

混乱します。 和名も同様なので、両方理解できていればかなり認識は

出来そうですけど・・・多少は、ネーミングの由来なんかも判ると理解しやすい

場合もあるようです。

 

英名で、マグネタイト(Magnetite)と、マグネサイト(Magnesite)という鉱物が

あります。 前者は和名で磁鉄鉱、後者は菱苦土石なので和名のほうが区別は

しやすいですね。 まず、マグネタイトはFe2+Fe3+3O4という組成の通り鉄がかなり

多く、強い磁性があるです。 一方マグネサイトは、カルサイトやロードクロサイト

のカルシウムやマンガンがマグネシウムに置き換えられた炭酸塩鉱物です。

つまり、マグネットかマグネシウムかの違いでネーミングされたという事ですね。

なかなか面倒ですが、命名の由来まで調べておくと名前を聞いた時に直感的に

どんな鉱物なのかイメージは湧きやすいのかも知れません。

左; マグネタイト(磁鉄鉱)   右; マグネサイト(菱苦土石)

 

因みに、含まれる元素が和名になる場合、鉄や銅、鉛などは判りやすいですが

他の物も知っておくと理解はしやすいです。 例えば上記の菱苦土石の苦土は

マグネシウムです。 加えて菱形の結晶をする為こう名付けられました。

鉱物名で使われる元素を表す漢字表記いくつかを紹介しておこうと思います。

尚、燐(リン)や錫(スズ)など、元素の和名が直結したものは除きます。

 

フッ素      =弗 (フッ)

ナトリウム    =曹 (ソウ)

マグネシウム =苦【土】 (ク【ド】)

アルミニウム =礬 (バン)

カルシウム  =灰 (カイ)

マンガン    =満 (マン)

モリブデン   =水鉛 (スイエン)

アンチモン   =安 (アン)

タングステン =重 (ジュウ) 【重晶石の重はバリウムを表す】

ビスマス    =蒼鉛 (ソウエン)

 

だいたいこんな感じでしょうか。 フッ素をあえて紹介したのは、沸石という

鉱物グループの意味と間違えない為です。 見ると漢字も違いますよね?

沸石(ゼオライト)は、私の知る限りフッ素を含む種はありません。 主たる

珪酸基と含まれる水(H2O)の結合が少ない為、加熱すると水分が抜けやすい

という性質を、感覚的に「沸騰しやすい石」という意味で付けられました。

これはギリシャ語のゼオ=沸騰する、という直訳での命名という事ですね。

 

日本新産鉱物、つまり海外では発見されていたが国内では見つかっていなかった

ものは概ね英名をカタカナ表記で「~ite」の部分を「石」にすることが多いよう

です。

それに対して、世界中で初めて国内から発見された鉱物も意外にあったりします。

国内で新鉱物を発見できた場合、IMA(国際鉱物学連合)という機関に申請する

のですが、その際に申請者がその鉱物が認められた場合の「命名権」を持ちます。

 

これまでの国産新鉱物の名前は概ね

①人名    ②地名    ③特徴

となっていますが、特徴的なのは人名です。 普通に考えると大抵発見した人の

名前が付きそうなものなのですが、国産新鉱物は発見者の師匠やその産地を

研究した先達など、尊敬される人の名を冠するような慣例になっていました。

奥ゆかしい日本人らしいと言えばそれまでですが、発見者にとっては、「この方の

知識と経験のオコボレで発見できたのだ。鉱物界にこの方の名前を残さねば」

いう思いが強かったのでしょう。 勿論、発見者自身の名を申請してはいけないと

いうルールは一切ありません。

左; 「逸見石」 岡田久、中井泉らにより岡山県布賀より発見・発表された鉱物。 

   名前は原産地を発見・研究された逸見吉之助と娘の千代子に因んでいる。(敬称略)

右; 「中宇利石」 愛知県新城市中宇利鉱山より鈴木重人らにより発見された。こちらは

   原産地がネーミングされた例。

 

一方、英名と和名のギャップを憂慮してネーミングされた方も。

鉱物科学研究所を創設された堀先生が発見されたストロナルサイトは長石の

一種ですが、これは含まれる元素(ストロンチウム・ナトリウム・アルミニウム・

珪素)の名前で出来たノタリコンです。 これが現在和名でどう呼ばれているか

知りませんが、堀先生の著書では「ストロナルシ石か、ストロナ長石か・・・」と

言われるように、英和どちらでも特徴が判るようにとの配慮であったそうです。

 

菱苦土石マグネサイトと紹介しましたが、「苦土」が「」に置き換わったものが

「菱マンガン石」です。 学名はロードクロサイトですが、加工品など商用ベースに

なると俗に「インカローズ」と呼ばれます。 かつて南米で濃紅色の美品を多産した

為ですが、学名についてもギリシャ語で「ロード=薔薇」「クロス=色」という感じで当たらずとも遠からず、といったところでしょうか・・・。

 

今回も十分長くなりました。(笑)

最後に一つ。 英名で「クリソ~(Chryso~)」という名前の鉱物がしばしば見受け

られますね。 クリソベリル、クリソコラ、クリソプレーズ、クリソタイル・・・。

語源としてはこれまたギリシア語の(chrysos=なのですが、クリソベリルなどは

ともかく他の鉱物に「金」とは一体どういうネーミングなのでしょう・・・?

 

もしご興味がありましたら、是非調べたり想像してみたりして下さいね。

 

 

【 追記 】

私が昔、何度かお会いして採集もご一緒したことのある丹羽君が採集した鉱物が

新種浅葱石(Asagiite)として2022年に記載されました。 おめでとうございます。

こちらは日本語の色をそのまま学名として申請したという、ある意味画期的な試み

だと思います。 詳しい経緯はこちらをご一読下さい。

尚、産地は既に本鉱及びその他の貴重な種の採集は絶望的であり、過去には崩落等に

よる死者が何人も出ている危険な場所です。 絶対に立ち入らないで下さい。

序章では、鉱物採集という趣味の実情などを少々お話しました。

それを踏まえて、実際にどうすればいいのかをお伝えしたいと思います。
あくまで私自身の考え方ですので、これが正解だとは言いませんが
参考にして頂ければと思います。

 

鉱物採集は「鉱物の出る場所に行って自分で採集する」という趣味です。

そうなるとまず必要なのは

① 何が採れるのか

② どこで採れるのか

です。 これがクリアできれば普通に採集できますね。

① 何が採れるのか

鉱物産地へ出かける場合には普通「水晶が採りたい」など目的の物が

あるでしょうから、水晶のほぼ出ない産地には行かないでしょう。

大切なのは、どういう形状・特徴で出るのか、他に何が出るのかです。

水晶でも、産地によって特有の形状が良く見られたり、水晶以外にも

貴重な物や綺麗な鉱物が得られることがあります。 「水晶以外は

どうでもいいや」などとガンガン割って、貴重な鉱物を台無しにして

欲しくないものです。 どうかその産地で採れる鉱物の情報を事前に

把握しておいて下さい。 また、ネットや書籍での情報は古い物が

結構ありますね。 国内産地の状況は変化しやすく、1年前に普通に

採れた産地が跡形もなく取れなくなったり、立ち入り禁止になったと

いう事が良くあります。 なるべく新しい情報を得るようにしましょう。

 

② どこで採れるのか

上記後半にもあるように、今では書籍やネットである程度の産地情報を

得られます。 場所についてもたまに紹介している所もあるようですが、

古い情報だと「今ではほぼ採れない」「産地までの経路が変わっている」

「立ち入り禁止になった」等がかなりありますね。

特に3つ目の立ち入り禁止では、地権者とのトラブルなどがあって立入

禁止になった場所も結構あり、無理にor知らずに入ってしまって警察に

逮捕されたなどという事もあるようです。 そんな事にならないように

産地情報は可能な限り新鮮なものがが望ましいです。 また、採集可能

な場所であっても地権者に立ち入りの許可を得るのが基本です。

 

立入禁止になった産地。 ここは地主さんと直接的なトラブルなどがあったわけではないが、

所有権が個人から企業に売却された段階でこのような状況になった。

 

過去に、とある産地に行って地主さんにご挨拶して許可を貰おうとした

ところ、数年前はすんなりOKだったのに「もうお断りしてるんですよ。

すごい大穴を掘ったり、木の根元を掘って木が倒れたり、ゴミを捨てた

ままだったりだから」と言われた事があります。 その時は、私が遠方

から来た事や(自身では心当たりはないにしろ)一採集者として謝って

おいたので立ち入りさせて頂けました。 あの産地はひょっとしたら、

私が(地主さんに許可を得て入った)最後の採集者なのかも知れません。

 

を踏まえると、やはり最新の情報が必須です。

ネットは情報が早いと考えそうですが、鉱物採集に関してはあまり役に

たたないでしょう。 経験のある人ほど大切な情報はネットに出さない

ものです。 私は「実際に鉱物採集のベテラン・先輩と知りあう」のが

一番の方法だと思います。

知りあう方法にはいくつかあります。 今ではネット上でブログなどで

発信している方もいるのでアプローチする手もありますが、当然ながら

いきなり顔も素性も判らないので警戒されるでしょう。 書籍の著者等

有名人なら尚更です。 私がお勧めするのは、鉱物関連の同好会に参加

するのが良いと思います。 この辺はネットで探してみて下さい。

 

また、鉱物の即売会のような催しが一年中、日本各地で行われています。

ミネラルショー、ミネラルフェア、ミネラルマルシェ等の名前ですね。

大抵は販売店がブースを出していますが、場所によってはやたらと国産

鉱物を出しているブースがあります。これは主が採集者である可能性が

高いですね。 尚、ショーの来場者から採集趣味の人を見分けるのは

なかなか難しいでしょうが、上記の国産品を出している所でサスペンド

してたり、主と話し込んでる人は採集者の可能性大です。(笑)

 

あと、産地に行くようになったらの話になるのですが、現地で他の人に

逢ったら挨拶をして、「まだ採集始めたばかりで良く判らないんです」

みたいな感じで話しかけてみましょう。 ベテランならラッキーですし

初心者でも知り合っておけばその後の情報交換などもできます。

 

この記事のタイトルに「知識と社交性」とあるのはこういう事です。

例えばせっかくベテランと知り合っても「こいつマナー悪そうだな」

とか、「情報教えるとあちこちでペラペラ喋りそうだな」みたいに

思われたら(そうでないとしても)良い情報は得られないでしょう。

序章からの内容も踏まえて、是非正しいスタンスと心構えを持って

望んで下さい。

 

次回2章(ベテランゲットしたら意味ないっぽいw)は

実際に採集するのに必要なアイテムやらなんやらをお話しましょうか。

鉱物に興味を持つ方のきっかけは様々です。

 

カットされた宝石としての魅力や天然石の色彩や造形美であったり、

パワーストーンやスピリチュアル系のアイテムとしてなど、いろんな方が

興味を持って下さっています。 概ね、そうした方々はショップで購入される

事が殆どでしょう。 正直なところ、私もそれをお勧めします。(笑)

 

SNSなどでいろいろお話したりしていて、私が採集趣味だと言うと「自分でも

採ってみたい」という方が結構おられますね。 これは個人的には嬉しい事

なのですが、この「鉱物採集」という趣味は意外にもデリケートな要素が多い

のです。「そんな面倒くさいこといいから、どこで水晶とれるか教えて」とか

言われる人には、採集趣味の経験者は絶対に何も教えてくれません。

まずは採集という趣味の実情と、鉱物に関する知識を最低限持って臨んで

頂きたいと思っています。 今回はそんなお話をしようと思います。

 

鉱物に限ったことではありませんが、どこかで何かを採ってくるという事は

(自分の所有地でない限り)他者の土地から採ってくることになります。

(この場合の他者は国有地などの公的機関の管理地も含みます)

普通に考えれば、まずは立ち入りの許可、そして採集の許可を地権者に

得るのは当然です。 例えばとある水晶産地の山が個人所有だったらそれで

事は済みますね。 しかし公有地となると私たちの認識が間違っている場合が

多いようです。

 

例を挙げると、河原の砂や石を持って帰ってもいいか? という件なのですが

国内の河川は全て等級分けされ国交省及び地方自治体の管理下で河川法の

適用を受けます。 川に入ったり泳いだり、落ちてる小石を拾って持ち帰ったり

などは厳密にはアウトです。 以前ニュースで出ていた、河川敷を畑にしていた

問題も同種のエビデンスだと思います。 このように、一般的に自由に出入り

出来る公共の土地を「好きにしていい」と判断するのが間違っているのです。

 

国内における未採掘の鉱物資源については「鉱業法」等の適用を受けます。

これによると、鉱業権者又は租鉱権者の持つ区域(鉱区)で採取された鉱物に

ついては彼らの所有物となり、鉱区外では所有者のない動産とされています。

これを極端な例えでご説明してみます。 法律は詳しくないので誤認があるかも

知れませんが・・・(汗

 

ある土地で輝安鉱が採れると聞き、土地の所有者に立ち入りと採集の許可を

貰って採集しました。 持ち帰ったサンプルの中に金色の部分があって、解析

したら自然金でした。 ヒャッホーヽ(´-`)ノ


はぃ。 この場合の金の所有権は、その土地が鉱区ならば権利者、鉱区外であれば

採集者が持てることになります。 この場合の採集とは、「その土地から切り離された」という状態を言います。(鉱業法第8条「分離鉱物の帰属」より)

つまり、たとえ許可を得て採集した物であっても、それが鉱区内の物であって

権利者が「あ、やっぱそれ返して」って言われれば返さなければいけません。

逆に、鉱区外の採集品であれば土地から切り離した時点で自分が所有権を

主張できます。 こう聞くと難しくハードルの高い趣味だと思われそうですが。
 

魚釣りだとしても、防波堤などの港湾施設は元より砂浜や磯場等の海岸線も

所有者・管理者のいない場所はまずない筈ですし、魚介類を採るという事は

これまた厳密に言えば漁業法等が適応される行為となります。 このように

極端な判断をすると「採集」する趣味は大抵グレーな部分を持つことになります。

 

自然の産物を採集するという趣味において、対象が「生物か否か」というのも大変

大きな問題です。 魚釣りや昆虫・植物採集等であれば、乱獲されて絶滅の危機に

瀕しても保護活動や人工飼育など、現代では手段としては(それが全て機能して

いるかはともかく)認識されています。 ところが鉱物は「最悪オスとメスがいれば

次の子孫が生まれるよね」という訳にはいきません。 例えばある産地で水晶が

沢山採れたときに「少し残しておこう」としても、それらが増えたりするわけもなく

次に来た人に採集されて減り続けるだけなのです。 勿論鉱物も自然界において

新たに生成されてもいますし人工的に作る事も可能になっています。 それでも

やはり時間的な生産性・再現性なども含め、生物由来の物との比較には大きな

隔たりがあるような気がします。

 

鉱物に興味を持つ方が増える事はとても良い事だと思っています。

実際、現代文明の科学技術は殆どが鉱物から得られたと言っても過言では

ないでしょう。 それなのに毎年新種の鉱物が未だに発見され続けています。

多くの人が鉱物に興味を持てば、人類は更なる進歩を進められる可能性が
広がっていくのだろうと思っています。

 

鉱物採集に興味を持ってくれる方には、この「鉱物採集入門」という投稿を
何回かに分けてご案内しようと思っています。 スパンは非常に長くなりそうですが
私の経験を踏まえてご紹介したいと思いますので、気長にお待ち下さい。
次回第1章以降では実際に現場での事などもお伝えしようと思います。

 

今回はこのへんで。

 

「石頭」なんて言うように、石は「堅い」という認識が昔からあるですね。

しかし岩石であってもハンマーで簡単に割れる物やなかなか割れない物、中には

指で強く握っただけで割れる物も。 特に鉱物では「硬さ」や割れ方は種類の判別や

宝石としてカット・研磨する際に重要な情報となります。 一方、古より勾玉などに

されていた翡翠は非常に「堅さ」が優れていますが、ご存知のようにあんな形に加工

されているのですよね・・・。 ここでちょっとそのあたりのご説明を。

 

ここでまず、「かたさ」という言葉の漢字に2種類出てきたのが判ると思います。

「堅さ」「硬さ」ですね。 IMEの対義語の説明ではこうなります。

硬さ(Hardness)⇔軟らかい   堅さ(stiffness)⇔柔らかい(脆い)

英単語を翻訳しても漢字が適当に出てくるようなので意味の理解は不向きです。

ざっくりと言ってしまえば、硬さは傷つきやすさ、堅さは壊れやすさという事です。 

具体的に例を挙げると・・・。

 

自動車のタイヤとガラス。

試しに鉄製の大ハンマーで思いっきり殴ってみましょう。 タイヤは跡はついても

壊れることはないと思いますが、ガラスはまず割れます。

次に、ナイフで切りつけるとタイヤは簡単に傷がつきますがガラスにはなかなか

傷つけるのが難しいのは想像できるでしょう。 前者を「堅さ」、後者を「硬さ」

区別します。 鉱物種の判断基準としては「硬さ」があり、恐らくですが「堅さ」は

分類する上でのエビデンスを有していないのではないでしょうか。

 

鉱物の「硬さ=硬度」は、1812年に提唱された「モース硬度」が一般的には

未だに使われます。 様々な鉱物が1~10の段階で判断されますが、精密な

計測をした訳ではないので各段階のステータスは相対的です。 加えて段階の

中間に値するものについては例えば「0.2」「0.7」などの判断はなく全て「0.5」です。

つまり全ての鉱物が19段階のいずれかになるという事になってます。

現代の分析方法を用いればもっと詳細に区分できるのでしょうが、これで十分

なのでしょう・・・いろんな意味で(笑) 工業分野では修正硬度も使われるようです。

 

硬度1 タルク(滑石・ロウ石)
硬度2 ギプサム(石膏)    アンハイドライト(硬石膏)は硬度3.5
硬度3 カルサイト(方解石)  人間の爪や純金は2.5程度
硬度4 フローライト(蛍石)
硬度5 アパタイト(燐灰石)    一般的なガラスもこのあたり
硬度6 オーソクレース(正長石)  人間の歯の表面硬度
硬度7 クォーツ(水晶)      ガーネットグループは6.5~7.5
硬度8 トパーズ(黄玉)
硬度9 コランダム(鋼玉)
硬度10 ダイヤモンド(金剛石)

一般的なナイフやカッターは硬度5~7.5あたり。素材により変動が大きいので注意。

 

前出のガラスとタイヤの例でも判るように堅い」物は割れにくく「硬い」物は割れ

やすいです。 ここで大切なのが鉱物の割れ方に固有の特徴があるという事です。

 

中でも特に重視されるのが「劈開(へきかい Cleave)」です。

これは鉱物が直線的に、つまり立体的な結晶ならば平面でまっすぐに割れるという

性質の事です。 これは分子構造に依存していて、立体的に結合している原子が

一定方向から見ると平面的に結合部分のみになる為に見られる現象です。 なので

種類によっては劈開のある方向が1方向とは限りません。 しかも分子結合の強弱

によって「平面での割れやすさの程度」というのもあるです。(汗

つまり、劈開を表す場合は一般的に「何方向にどの程度」と表記されます。

 

例を挙げながら説明しましょうか。

インクルージョン雑記3でも書きましたが、雲母の結晶は本来6角形板状・柱状に

なります。 しかしよく見かけるのは6角形のペラペラの物で、結晶であっても爪で

簡単にペラペラ剥がしていけます。 これはこの「1方向に完全」な劈開がある

いう性質によってこのような表現をとります。 

この1方向=C軸に対して垂直、なのですがこのへんは結晶について(仮)」でお話します)

 

鉱物の結晶はある意味理想的な分子構造の結果ともいえるので、結晶の表面

(分子の端部)が劈開面と平行になる場合も多いです。 フローライト(蛍石)

直方体や8面体等の結晶になりますが、4方向に完全な劈開があり、その方向は

8面体の結晶面と平行です。(平行な2つの面✕4方向) 海外の産地の中には、

塊上or不定形の蛍石を劈開で上手に割って8面体にしてお土産で売っているとか。

 

左; 蛍石の8面体。これは結晶面。(岐阜産)

右; 蛍石の塊から職人さんが劈開面で割って8面体を作ったもの

   上部に不定形のパイライトを含む。(アメリカ・イリノイ産)

 

 

鉱物の判別方法として劈開を見た例を1つ挙げてみます。

下の画像は私が岐阜県で拾ったのもです。 一体何だと思いますか?

白濁した石英などのようにも見えますが、私はこれをトパーズ」だと思って

持ち帰りました。 その理由としては・・・

角度を変えて光が当たると、縦に条線が見えますね。  これは結晶の表面です。

結晶の面なのかどうかは残念ながら沢山の原石を見て経験を積むしかないですが、

ちょっと慣れればすぐに判るようになるかと思います。

 

さて、もし石英=水晶であれば、条線は柱面に横向きに入ります。 ところがこれを

90度回せば横になりますね。 殆どの結晶面が見えていれば縦横は判断できますが

このサンプルについては決定的な判別とはなりません。 

そこで下の面を見てみると・・・

綺麗に平面で割れていて、真珠のような光沢が見られます。

 

これが劈開で割れた面です。 まず水晶には劈開がなく、割れるとガラスのように

波打つような特徴的な割れ方になります。(貝殻状断口といいます)

トパーズは、柱面に対して縦に条線が入り、その垂直方向に完全な劈開がある

いう特徴があります。良く見れば最初の画像にも横に白い線(クラック)が入って

いますよね。 厳密に言えば上記のような特徴をもつ鉱物が他にもあるのですが、

結晶面の角度とか、この産地で地質的に産するであろうという複合的判断で特定

出来るわけです。

 

この時代においてそんなアナログな判別方法・・・と言われても仕方ありません。

例えば採集品であろうと、ルースやアクセサリーになった加工品の石であろうと

正確な鉱物種の判断をしようと思ったら成分分析に頼るしかなく、尚且つ非破壊では

限界もあります。 極端な話ですが、「この指輪の大きな石が本物かどうかちゃんと

調べて!!」「判りました。 では試料を採りますので隅っこを少々削りますね」という世界です。 ある程度までは蛍光X線解析等の非破壊手段もありますが、それでも

当然コストはかかりますので・・・。

 

閑話休題、先に紹介した劈開の程度「完全な」というものでしたが、その下には

「不完全・明瞭・不明瞭・なし」等に分けられています。 このへんは分子構造上の

根拠があるので、例えば1つのサンプルを見て「これは明瞭ではなくて不明瞭だから

~だろう」みたいな微妙な部分は肉眼判定ではまず出来ません。 概ね「完全?何となくある?ない?」と「どの方向にある?」くらいで実用的には十分だと思います。

 

天然で産する元素鉱物で有名・高価な物に「ダイヤモンド」「金」がありますね。

ダイヤは炭素(C)、金は金(Au)という単一元素で出来た鉱物であり、古来より

価値のある石だとされてきました。 どちらも綺麗なものですが、重要視されたのは

「不変性」でしょう。 ダイヤはご存知の通り天然鉱物での最高硬度があるので傷が

付きにくいし、金は金属元素中の酸化還元率が最小という事です。 つまりどちらも

「美しさを不変的に保てる」という条件を満たした鉱物です。

 

ダイヤモンドには4方向に完全な劈開があります。

とはいえ、雲母や蛍石の劈開と比較すれば割れにくいです。 劈開の程度というのは

あくまで「割れた面が平面になる程度であり、割れやすさ=堅さとは区別します。

ダイヤをカットする際には、テーブル面と呼ばれる最上部の一番大きな面については

劈開を利用するのが近代の主流となっています。 それでは、他の元素鉱物である

はどうでしょうか・・・。

 

には劈開はありません。 これは前出の通り分子構造によるものですが、金は

硬度が2.5である上に展延性に富むので、そもそも割れるという認識をしにくいと

いう事もあります。 ダイヤと比較するのは、元素の性質や生成のプロセスなどの

事情から根本的にナンセンスなのですが、ちょっとでも、漠然とでも「あ、そうか。」と思ってて頂ければ・・・。

 

これは金じゃなくて自然胴です。(汗) 金と同様に金属元素鉱物で展延性に富み、母岩を割った

際につられて立ち上がったサンプルです。(愛知県産)

 

そういえば、オリンピックで良く見る光景に金メダルを齧(かじ)るシーンが見受けられますが。 金メダルは当然合金で作られるのである程度の硬度があるです。 

しかし、ご年配の昭和世代の方なら見た記憶があると思いますが、江戸時代の時代劇ドラマで小判がでてくるシーンでは本物かどうか確かめるのに齧ってます。 これは当時の小判に使われた金の純度が高い為、歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(水酸燐灰石。表面のエナメル質は硬度6くらい)によって、簡単に変形したり傷がつく為にあみ出された判別方法です。

 

かたさや割れ方という説明からは徐々に逸脱しつつありますが(汗

どうも他の要素と交錯しがちなので、いろいろ説明しだすとキリが無くなりますね。

鉱物の名前についてでも紹介したかったですが「加熱すると割れる」とかいう性質で

学名が付いた鉱物などもあるです。

 

是非探してみて下さい (´-`)