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「果たしてどこで髪を切るべきか」。海外で暮らす女子にとって、これは結構切実な悩みだ。日本を経つ前、美容師さんには「アジア人とヨーロッパ人は髪質が違うから、『うーん』と首を傾げることになるかも。でもそれも経験よね!」と絶望的な予測を明るく告げられた。2ヶ月ぐらいは切らずにどうにか凌いで、イギリス入りしてから日本人美容師を探そうか、と悩んでいたところ、ひょんなことからマルタで髪を切ることになった。


 マルタ。そこは、カフェでスパゲティーを頼んでも、「スパゲティーなかったの。ごめんね。ペンネでいいでしょ」と言ってウェイトレスがペンネを出してくる国。そこは、バスが満員になると、まだ乗り込もうとしている人がいるにも関わらず、運転手が有無を言わさず車を発車させる国。

そんな、みんながEasy goingな国の美容院で、髪を切ってみるべきか、否か。滞在が長くなるにつれ、ボリュームを増してくる髪(くせ毛なのです)を鏡で眺めながら、悩ましい日々を送っていた。
ある日、その悩みは突如として解決した。なんと、マルタに日本人美容師さんがいたのだ。

水谷照美さん。マルタに住んで6年になる。もちろん、マルタ唯一の日本人美容師。広告は出していないけれど口コミで噂が広まり、日本人留学生を始め、アジア人も頼りにする存在。最近では海外ウエディングの式場としてマルタを選ぶ日本人カップルも増えているそうで、ブライダルの仕事でも活躍している。

ちなみに、「田舎の口コミは、CIAの諜報活動を凌ぐ」というのは、地方紙勤務時代に出会った町役場職員の弁だが、欧州の田舎であるマルタも状況は同じ。あるマルタ人いわく、「友達と誘い合って、パブに出掛けていると、道中で妻から携帯に電話が入り、『あなた、今から飲みに行くんでしょ』」。つくり話かもしれないけれど、とにかくそれぐらい噂が飛び交う社会らしい。寿司店「Gochi」を経営する坂本さんも「マルタで広告は不要」と言っていた。



水谷さんに、電話でカット兼取材を申し込み、教えてもらった住所を頼りにたどり着いたのは、コロニアル風のプール付き邸宅。
昔はキッチンだったという離れの一室で、青色のいすに座って鏡に向かう。「だいぶ、伸びてますね」といいながら、シャキシャキとはさみを動かす水谷さん。

東京都内の美容院に勤めていた2000年秋、友人と二人で初めて旅行でマルタを訪れた。青い空。青い海。「英語圏で、かつイギリスみたいに毎日曇りじゃないってところがよかったのかな」。
翌年、仕事を辞めて単身マルタへ。英語学校に通いながら移住の可能性を探った。
美容師として働く口はないか、電話帳に掲載されている美容院に電話したり、在住日本人に尋ねたりしたが、状況は厳しかった。「どこの誰かわからないアジア人を、なかなか雇ってくれませんよね」。

しかし、人生の転機は思わぬところで訪れた。犬好きの水谷さん。友達のホストファミリー宅に、ボクサー犬を見に行ったのがきっかけで家主のマルタ人男性と出会い結婚。二人で英語学校の留学生を受け入れる宿舎を経営しながら、離れの一部を改造して美容室を開業した。


東京とは時間の流れ方がまったく違うマルタ。
24時間オープンしているコンビニはないどころか、午後1時から4時ごろまでは、レストランやカフェ以外の店の多くは閉まってしまう「シエスタ」。つまりお昼寝の時間があるのだ。夏は午後9時を過ぎても明るい。

「とても夜が長くて、時間がたっぷりあるような感じなんです。私は本を読んだり、一人でのんびり過ごす時間がとても好き。東京みたいな便利な生活はできないけれど、また違った楽しみ方がマルタではできるんですよね」

話していると、大きな茶色のボクサー犬が、すごい勢いで部屋に飛び込んできた。「海のそばで大好きな犬と一緒に暮らしたい。昔からの夢だったんだけど、それが今は、実現できてるから、いいかなって」。

カット料金10ユーロ(約1600円、安い!)を支払って、家路に着く。マルタに到着した当初は、カフェに行っても「ウェイターがなかなかオーダーを取りにこない」、なんてイライラしていたけれど、いつの間にか、そのマルタリズムに慣れてしまっている自分がいる。
でもやっぱり日本人、「イギリスでもよい美容師さんが見つかるだろうか」なんて次の心配をしてしまう(いやいや、中には心配性のマルタ人も、おおらかな日本人も、いるのでしょうけれど)。まだまだ、マルタ人のようにはなれないな。(続く)


僕らの島生活
日本は7000近くの島で形作られる「離島大国」。離島をただ旅をするのではなく、島に生きる人々を訪ね、その魅力や課題、人間模様などさまざまな島の姿を紹介していきます。*今回は海外特別編としてマルタ島をお送りします。

キノシタマスミ
1978年生まれ。地方紙記者を経て、現在、英国の大学院で企業広報を勉強中。やたらと人が尋ねてくる「趣味はなに?」という問いかけに「映画鑑賞」と答え続けるのはさすがに嫌になり、マルタでスキューバダイビングのライセンスを取得。クラスメートらには「スポーティーな女子」と見られているようだが、実はスポーツは苦手。現実と乖離したイメージが広がりつつある。早寝早起き型人生を送るのがここ10年の願望だが、まだ実現する気配はない。


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