「何かやっぱりさくらちゃんお祝いをしたい…!」
と思っていたので、ささやかですがブログにて小話を載せさせていただきます。
何回か続く予定です。4月いっぱいお祝いムードで行きたいと思います^^小狼さくらは私の活力源です(`・ω・´)!
0401 ―My Dear―
-カチ カチ カチ カチッ
常より少し大きな音を立てて、目ざまし時計の針が全て12を指す。
それを見てにこりと微笑むと、暗闇の中枕元にある携帯を探し、ぱかりと開いた。明るい画面に一瞬目を細める。
お気に入りの早咲き桜の待ち受け画面の隅っこには、「04/01」の羅列。それを見て、ますます少女―さくらは笑みを深くした。
「これでやっとお揃いだよぅ~!」
誰、とは言わずもがな。格好良くて、可愛くて、ちょっと意地っ張りで、優しくて。
3ヶ月後にはもう年上になってしまう、今は香港の空の下に居るであろう彼のことである。
この瞬間を共有できないことは寂しく思うが、「いってくる」と言っていた時の少し残念そうな拗ねた顔を思い出して、さくらの胸はほっこりと温かくなる。
(明日か明後日には会える。その時いっぱいいっぱい、小狼君におめでとうって言って貰って、それからそれから…!)
そう心の中で呟いて、ぎゅっと携帯を抱きしめた。
―ブブブッ!
「ほぇっ!」
腕の中の携帯が震え出し、びっくりした拍子にがばりと上半身を起こす。
ひきだしの中にいる小さな同居人を起こしてしまわなかったことにほっと一息つくと、メールBOXを開いた。
(誰かな?知世ちゃんかな?千春ちゃん?奈緒子ちゃん?それとも利香ちゃんかな?)
メールの送り主の正体は、さくらが思い描いた人の誰でもなかった。
「…山崎君?」
山崎とは小学校の頃からの付き合いだが、こうしたメールは千春と連名で送ってくることが多い。
しかもいつもなら本文にはお決まりのウソが長々と盛り込まれているのに、今回はタイトルの3文字のみ。
「『窓の外』…?ほぇ?」
誕生日一通目の不思議なメールに首を傾げながら、さくらは暗闇の中立ち上がり、月光で薄く光る窓へと歩く。ひんやりとした窓ガラスに手をついて外を見降ろした瞬間、さくらの瞳は一点のシルエットにくぎ付けになった。黒いコートに、柔らかそうな髪。なによりも懐かしくて優しい気配。
「小狼、君…?」
ガラリと開けた窓からは、春先のまだ冷たい空気が入ってっきたが、お構いなしに身を乗り出す。
そのシルエットはさくらに控えめに手を振ると、その指を口の前に持っていった。
深夜ということを思い出して慌てて両手で口を塞ぐと、彼の気配がふっと緩んだ。
(小狼君、だ。本物だよね)
びっくりして嬉しくて嬉しすぎて。動けなくなったさくらを、彼の風華が優しく包む。
ふわりふわりと大事に窓の外に運ばれて、彼の腕の上に降り立つと同時に風はすぅ、と夜に溶けた。
「びっくりしたか?」
「…うん。とっても」
嬉しくて嬉しくて、ぎゅっと首に抱きつく。小狼もまた羽根のように軽いさくらを抱える腕の力を強める。
彼の風華も温かくて優しいものだったが、彼の腕の中もまた、同じくらいに心地よい。そういえばいつも滅多に使わない魔法を使用してまでさくらを外に連れ出した理由を思い当って、なんだかおかしくなってしまった。
「ふふっ、律義なんだね」
「…これ以上お前の兄貴に睨まれたら、身体に穴が開きそうだ」
「でもおかげで小狼君にお姫様だっこしてもらっちゃった」
「喜んでもらえたようでなにより。…じゃあこれも」
こっち向いて、と促したさくらの顔にキスの雨を降らせる。
おでこに軽く一つ、頬に一つ、瞼に一つ、唇に一つ、二つ―――
他のより少し長い口づけを贈ってから、小狼は真っ赤に染まる彼女の耳元で、大切に囁いた。
「誕生日おめでとう、さくら。生まれてきてくれてありがとう」
04/01 -My Dear-
(愛しい愛しい、私だけのもの)
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(ところで…いつまでこの状態なの?)
(嫌か?)
(嫌じゃないけど…恥ずかしいよぅ…)
(俺はこのまま連れて帰ってもいいけど?)



