この日は月曜日だった。週末に会社の健康保険センターから健康診断の結果に関して呼び出されたのだった。あまり重く考えていなかった俺は、保険証も持たず、30分ほどだったと思うが少し遅刻して行った。健康保険センターには常駐している企業看護師の加地さんにえらく怒られた。その時は、”何でこんなに怒るんだろう”って思ったが、その時すでにガンの肺転移が疑われていたのだ、怒るのも当然だ。すぐに部屋の奥の診察室に通され、産業医に胸のレントゲンを見せられた。産業医は「この辺りに何かあるね。」と言った。肺の下の辺りだ。よく見ると、たくさんの丸いものが写っていた。その時は、”チョコワ(シリアルの)のようなものがたくさんあるなぁ”くらいしか思わず、自覚症状もなかったし、あまり重く受け止めなかった。診察を受けている間、行き先の病院とお偉いが乗る社用車を手配され、癌研という病院へ直行した。病院に着くとすぐに職場の上司に連絡したのだが、自分の口から今起こっている事実を話すと次第に実感が沸いたのか恐怖感を感じ、動揺した。電話を終えてまず思ったことは、”まさかこの病院に患者として来ることになろうとは。”だった。というのも、この病院、仕事で何度か来ていた。中に入って受付を済ますと診察カードとPHSを渡された。診察の呼び出しがPHSでされるのだ。PHSというより、ポケベルのようなものだ。”最新の病院は違うなぁ”と思った。受付のときに問診票を渡された。そこでは、過去の病気のことだったり、自覚症状だったり聞かれたが、衝撃を受けたのが、一番最後の、”余命宣告を希望しますか?”という質問だった。さすがに腰が抜けそうになった。が、気をしっかり持って”はい”に丸をつけた。それからは、診察の度に、余命宣告されるだろうかという不安が付きまとった。
 始めに受診した診療科は、呼吸器内科だった。東尾先生といって、若くて気さくな雰囲気の先生でとても話しやすかった。
その先生が言うに、「この肺にあるものは、ガンが転移したものか、それか何かウイルスが考えられる。」と言った。肺については何も症状がないことを訴えたが、「この程度では症状は出ない。」と言われた。この程度と言っても小さい丸いものがたくさんあった。それから色々と他の症状について聞かれた。寝汗をかくかとか、何か気になることはないか等・・・。
健康そのものだと思っていたから、何もあるはずない。だから俺は、ガンでは無いはずと勝手に思い込んでいた。しかし、その思い込みに反するように検査はガン細胞を見つけることを第一目的として行われた。なぜ?とは思わなかったが、ガン専門病院なのだから当然そうなる。

ことの発端は4/25に飛び込みで受けた健康診断に始まる。
仕事が忙しくて受診をあきらめかけていたのだが、最終日になんとか滑り込みで受けた。

この時はまさか病気とは無縁だった俺がこんな大病を患い、しかも重度の障害者になるなんて思いもしなかった。