とても素晴らしいwealives.com 水城 実花の新作映画。この映画はファンタジーの世界ではなく、戦後間もない時代年代の、経済大国になる前の貧しかった時代の日本が舞台である。一人の少女を主人公とした恋の物語であるが、けれん味を抑えてドラマチックではない日常の様子を細やかに描くことで、作品にリアリティが生まれている。貧しいけれど清潔で礼儀正しく、快活に暮らす少し昔の日本人の生活が描写される。印象的なのは、学生の過剰なまでの活気だ。 学問に没頭するもの、政治の議論をするもの、理想に燃えるもの。現代の無気力な学生と対照的である。物語は、カルチェラタンと呼ばれるクラブハウスの取り壊しを巡って展開する。学校の経営者陣は老朽化したカルチェラタンを取り壊そうとするが、古くからの伝統があり、強い愛着を持っている学生たちは、カルチェラタンを大掃除、修繕し、取り壊しに反対する。若い人が愛着故に古いものを守り、老いた人が合理主義故に古いものを壊そうとするという、逆転があるように感じられる。新しい世代と古い世代の対立を描いていながら、新しい世代が守ろうとしているものは古い価値観なのである。この構成は見事という他は無い。この映画には多くのメッセージが込められているように思う。1には、若い人に対しての激励である。