前回は、「ガーナの農村部の中学生が金銭的理由から高校へ進学できない状況を、奨学金によって変えよう!」という僕のインターンの目標のために、ガーナトップ高校を視察したことについて書いた。
今回は同じ奨学金プロジェクトの中で、12月中旬に奨学金のスポンサー獲得活動を行ったことについて記載する。
事前準備
・奨学金の制度設計
兎にも角にも、企業へ提案する上で、まずは奨学金の金額を決める必要があった。
前回の記事にあるように、高校訪問した際にガーナの高校にかかる費用を詳細に知ることができたので、これを元に奨学金に含めるもの(学費、寮費など)と含めないもの(制服、教科書代など)を考え、奨学金の金額を1名あたり年間1,000セディ(約43,000円)とした。ガーナの高校は3年制であるため、奨学生1名あたり合計3,000セディ+NGOが奨学金を運用する上での手数料を含めた金額を、スポンサー候補へ提案する。
この他に、
・NGOの情報
・奨学金の背景、目的
・奨学生の選抜方法
・奨学金継続の条件
・契約後のタイムライン
などをNGO職員と話し合って細かく規定し、提案書にまとめた。

奨学金の提案書の一部
・ターゲット企業の設定
次に考えるべきは、「どの会社に提案するか」。
※余談:なぜ個人ではなく企業を対象にするか。
→奨学金を一過性のもので終わらせたくない。そのために、持続可能性を考慮して、NGO、奨学生、スポンサー“三方良し”の奨学金制度を創りたい。これを成立させるためには、単にお金が余っているスポンサーの社会貢献欲を満たすだけでなく、実利的なメリットを提供する必要がある。メリットはCSR(ガーナ教育に貢献することによるスポンサーのイメージアップ)とリクルーティング(優秀な人材へ早い段階から唾を付けておける)しか思いつかなかった。これらのメリットは個人のスポンサーにはほとんど価値がない。だからこそ、メリットを享受できる“企業”を狙っていく。
さて、ガーナにはカカオを始めとした農業、及び金などの鉱物採掘以外に目ぼしい産業がない。ところがこの2産業はスポンサーになってくれる可能性が低いと分かったので、計画段階では外資系企業ではあるものの、通信会社、銀行、IT企業などに提案することにした。
余談だが、当初奨学金を創る際には、在ガーナ日系企業にあたろうと考えていた。
ところがいざこちらでビジネスを行なっている人の話を聞くと、日系企業はほとんどガーナに進出していないことを知った。数少ない進出している日系企業も、本格的にガーナでビジネスをしているわけではなく、オフィスの設立など、ビジネスの準備をしている段階であることがほとんど。この状態では、奨学金スポンサーへのメリット(主にCSR、リクルーティング)を提供することが難しくなる。
また、日系大企業の良くもあり悪くもある点だが、意思決定権限がガーナ支社になく、本社にあるため、意思決定に時間がかかり、僕のインターン期間(3ヶ月)では決着がつかないと思い、日系企業への提案は断念した。
テレアポ
次に、ターゲットとする企業へ電話でアポ取りを行った。
数社電話しただけだが、
「日本人で、NGOでインターンしてるものです、提案があるので来週ぐらいに担当者と会わせて下さい!」
「…いつでも来い。」
このパターンばっかりで驚いた。
こちらでビジネスをしている日系企業の方も、基本的に飛び込み営業しかしていないことを知り、日本では考えにくいことだが、「アポ無しでオフィスに行く」という方針を取ることにした。
会社訪問
当初はターゲットとする企業を定めていたが、正直どんな会社にニーズがあるか全く分からないので、「オフィス街に行って、オフィスビルの上から下まで全部の会社に提案」作戦で行く事を決意。

ガーナに似つかわしくない15階建てのオフィスビル。このオフィスに入っている全ての企業に提案を行った。
結果
「オフィス街で手当たり次第会社訪問」作戦が奏功し、4日間で32社を訪問することができた。ほとんどの会社が興味を持ってくれ、特に3社、スポンサーの有力候補を見つけることに成功!
1社目:不動産会社
イギリス帰りのいかにもエリートなガーナ人社員が対応してくれる。
社内の会議にかけ、結果は1月中旬に伝えるからと、次回面会の約束を取り付ける。
2社目:中国系機械メーカー
オフィス訪問する時、日中問題とかもあってか一番緊張した。
ただ、「ガーナで稼がせてもらっているぶん、ガーナに少しでも還元したい」と、熱意を持って僕の提案を聞き入れてくれた。
また、提案に対して、一番深く突っ込まれたのもこの会社。
NGOは本当に信用できるのか、前例はあるのか、本当に意味があるのか…
答えに窮することもあったが、これだけ聞いてくるのは、本当に興味がある証拠だと思う。
ガーナ人は中国系企業が嫌いだ。聞くところによると、それは中国製品のクオリティが低いことに加え、中国企業がガーナから搾取しているイメージをガーナ人が抱いているからであり、僕も何となく、中国企業はガーナでえげつないビジネスをしている先入観があった。でもいざ会ってみると上述の通り、ガーナに貢献する気持ちを強く持っていて、案外中国企業に当たった方が奨学金プロジェクトは成功するのではないかとさえ感じた。
3社目:ガソリン会社
次年度予算への反映を口頭ではあるが、約束してもらった!1月にNGO職員を連れて、契約をすることに。
この3社以外の主なパターンは以下の通り。
① 門前払いパターン(大手通信会社など)
→「そういうのはメールでやって」という返答
② 受付嬢突破できず、パターン(大手銀行など)
→「担当者不在or忙しい。資料渡しとくから置いといて」。まず返事はこないだろう。
③ 検討して折り返し電話するパターン(訪問した企業の大多数)
→しっかり社員と話して、理解、共感してもらうが、返事は先延ばし。
訪問からすでに1週間ほど経過しているが、一社からも連絡がないことをみると、
再度こちらから働きかけない限り望みは薄いだろう。
スポンサー獲得活動を通して感じたこと
・ガーナ人の優しさを実感
32社、アポ無しで訪問したにも関わらず、門前払いはほとんどなかった。
得体のしれない日本の学生が、Yシャツ、黒ジーンズ、運動靴という出で立ちで突然訪問してきたのに、ほとんどの会社が快く迎えてくれ、熱心に話を聞いてくれた。
・自分がやっていることの意義を客観的に知ることができ、自信がついた
奨学金というアイデアは外人である僕が少ない情報の中で思いついたもので、どれだけガーナにとっていいものなのか、半信半疑のままプロジェクトを進めていた。しかし実際に企業の人にアイデアをぶつけてみて、認めてもらえたことが、進めているプロジェクトの意義を確信することに繋がった。「素晴らしいアイデアだ。是非協力させて欲しい」という言葉ほど、嬉しいものはない。実際に口約束をもらえた時には、なんとも言えない達成感を味わった。
今後について
1月に有力候補3社を中心に再度訪問し、契約を結ぶところまでいきたい。また、契約が取れ次第奨学金に関するタイムラインをつくり、NGO職員に引き継ぐまでが僕のやるべきことだと考えている。実際に奨学生が高校に通うまで見届けることができないのが残念だが、4月に高校入学試験、10月入学なので流石に無理だ。限られた期間ではあるが、できる限りのことをして去りたい。
少しずつ、想いが形になってきた!
今回は同じ奨学金プロジェクトの中で、12月中旬に奨学金のスポンサー獲得活動を行ったことについて記載する。
事前準備
・奨学金の制度設計
兎にも角にも、企業へ提案する上で、まずは奨学金の金額を決める必要があった。
前回の記事にあるように、高校訪問した際にガーナの高校にかかる費用を詳細に知ることができたので、これを元に奨学金に含めるもの(学費、寮費など)と含めないもの(制服、教科書代など)を考え、奨学金の金額を1名あたり年間1,000セディ(約43,000円)とした。ガーナの高校は3年制であるため、奨学生1名あたり合計3,000セディ+NGOが奨学金を運用する上での手数料を含めた金額を、スポンサー候補へ提案する。
この他に、
・NGOの情報
・奨学金の背景、目的
・奨学生の選抜方法
・奨学金継続の条件
・契約後のタイムライン
などをNGO職員と話し合って細かく規定し、提案書にまとめた。

奨学金の提案書の一部
・ターゲット企業の設定
次に考えるべきは、「どの会社に提案するか」。
※余談:なぜ個人ではなく企業を対象にするか。
→奨学金を一過性のもので終わらせたくない。そのために、持続可能性を考慮して、NGO、奨学生、スポンサー“三方良し”の奨学金制度を創りたい。これを成立させるためには、単にお金が余っているスポンサーの社会貢献欲を満たすだけでなく、実利的なメリットを提供する必要がある。メリットはCSR(ガーナ教育に貢献することによるスポンサーのイメージアップ)とリクルーティング(優秀な人材へ早い段階から唾を付けておける)しか思いつかなかった。これらのメリットは個人のスポンサーにはほとんど価値がない。だからこそ、メリットを享受できる“企業”を狙っていく。
さて、ガーナにはカカオを始めとした農業、及び金などの鉱物採掘以外に目ぼしい産業がない。ところがこの2産業はスポンサーになってくれる可能性が低いと分かったので、計画段階では外資系企業ではあるものの、通信会社、銀行、IT企業などに提案することにした。
余談だが、当初奨学金を創る際には、在ガーナ日系企業にあたろうと考えていた。
ところがいざこちらでビジネスを行なっている人の話を聞くと、日系企業はほとんどガーナに進出していないことを知った。数少ない進出している日系企業も、本格的にガーナでビジネスをしているわけではなく、オフィスの設立など、ビジネスの準備をしている段階であることがほとんど。この状態では、奨学金スポンサーへのメリット(主にCSR、リクルーティング)を提供することが難しくなる。
また、日系大企業の良くもあり悪くもある点だが、意思決定権限がガーナ支社になく、本社にあるため、意思決定に時間がかかり、僕のインターン期間(3ヶ月)では決着がつかないと思い、日系企業への提案は断念した。
テレアポ
次に、ターゲットとする企業へ電話でアポ取りを行った。
数社電話しただけだが、
「日本人で、NGOでインターンしてるものです、提案があるので来週ぐらいに担当者と会わせて下さい!」
「…いつでも来い。」
このパターンばっかりで驚いた。
こちらでビジネスをしている日系企業の方も、基本的に飛び込み営業しかしていないことを知り、日本では考えにくいことだが、「アポ無しでオフィスに行く」という方針を取ることにした。
会社訪問
当初はターゲットとする企業を定めていたが、正直どんな会社にニーズがあるか全く分からないので、「オフィス街に行って、オフィスビルの上から下まで全部の会社に提案」作戦で行く事を決意。

ガーナに似つかわしくない15階建てのオフィスビル。このオフィスに入っている全ての企業に提案を行った。
結果
「オフィス街で手当たり次第会社訪問」作戦が奏功し、4日間で32社を訪問することができた。ほとんどの会社が興味を持ってくれ、特に3社、スポンサーの有力候補を見つけることに成功!
1社目:不動産会社
イギリス帰りのいかにもエリートなガーナ人社員が対応してくれる。
社内の会議にかけ、結果は1月中旬に伝えるからと、次回面会の約束を取り付ける。
2社目:中国系機械メーカー
オフィス訪問する時、日中問題とかもあってか一番緊張した。
ただ、「ガーナで稼がせてもらっているぶん、ガーナに少しでも還元したい」と、熱意を持って僕の提案を聞き入れてくれた。
また、提案に対して、一番深く突っ込まれたのもこの会社。
NGOは本当に信用できるのか、前例はあるのか、本当に意味があるのか…
答えに窮することもあったが、これだけ聞いてくるのは、本当に興味がある証拠だと思う。
ガーナ人は中国系企業が嫌いだ。聞くところによると、それは中国製品のクオリティが低いことに加え、中国企業がガーナから搾取しているイメージをガーナ人が抱いているからであり、僕も何となく、中国企業はガーナでえげつないビジネスをしている先入観があった。でもいざ会ってみると上述の通り、ガーナに貢献する気持ちを強く持っていて、案外中国企業に当たった方が奨学金プロジェクトは成功するのではないかとさえ感じた。
3社目:ガソリン会社
次年度予算への反映を口頭ではあるが、約束してもらった!1月にNGO職員を連れて、契約をすることに。
この3社以外の主なパターンは以下の通り。
① 門前払いパターン(大手通信会社など)
→「そういうのはメールでやって」という返答
② 受付嬢突破できず、パターン(大手銀行など)
→「担当者不在or忙しい。資料渡しとくから置いといて」。まず返事はこないだろう。
③ 検討して折り返し電話するパターン(訪問した企業の大多数)
→しっかり社員と話して、理解、共感してもらうが、返事は先延ばし。
訪問からすでに1週間ほど経過しているが、一社からも連絡がないことをみると、
再度こちらから働きかけない限り望みは薄いだろう。
スポンサー獲得活動を通して感じたこと
・ガーナ人の優しさを実感
32社、アポ無しで訪問したにも関わらず、門前払いはほとんどなかった。
得体のしれない日本の学生が、Yシャツ、黒ジーンズ、運動靴という出で立ちで突然訪問してきたのに、ほとんどの会社が快く迎えてくれ、熱心に話を聞いてくれた。
・自分がやっていることの意義を客観的に知ることができ、自信がついた
奨学金というアイデアは外人である僕が少ない情報の中で思いついたもので、どれだけガーナにとっていいものなのか、半信半疑のままプロジェクトを進めていた。しかし実際に企業の人にアイデアをぶつけてみて、認めてもらえたことが、進めているプロジェクトの意義を確信することに繋がった。「素晴らしいアイデアだ。是非協力させて欲しい」という言葉ほど、嬉しいものはない。実際に口約束をもらえた時には、なんとも言えない達成感を味わった。
今後について
1月に有力候補3社を中心に再度訪問し、契約を結ぶところまでいきたい。また、契約が取れ次第奨学金に関するタイムラインをつくり、NGO職員に引き継ぐまでが僕のやるべきことだと考えている。実際に奨学生が高校に通うまで見届けることができないのが残念だが、4月に高校入学試験、10月入学なので流石に無理だ。限られた期間ではあるが、できる限りのことをして去りたい。
少しずつ、想いが形になってきた!