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| 9月16日、日米欧の主要中央銀行がドル資金供給での協調行動に踏み切り、マーケットでは弱気ポジションのアンワインドが進んでいる。写真は3月14日、東京証券取引所で撮影(2011年 ロイター/Issei Kato) |
ただ資本注入など根本的な問題への対応策ではなく、あくまで目先の資金繰りをつなぐ「対症療法」との声が多い。欧州連合(EU)財務相非公式理事会や米連邦公開市場委員会(FOMC)などイベントが控えていることから、調整が進んでいるが、短期筋の巻き戻し中心であり、悲観センチメントが大きく後退したわけではないという。
<株式市場ではリバーサル進む>
16日前場の東京株式市場では、ハイテクや自動車、機械などこれまで下落率の高かった外需セクターが大きく上昇する一方、電気・ガスや紙パなど内需セクターがマイナス圏に沈んだ。「薄商いの中でアンワインドみられるフローが断続的に入り、セクター間のリバーサルが続いている」(外資系証券トレーダー)という。長期資金ではなく短期資金の動きが中心で、実需筋は引き続き様子見。前場の東証1部売買代金は4591億円と1兆円を下回るペースだ。
前日、株価が大きく上昇した米市場でも「強気な買いというより、売り方の手控え感の方が強い」(米系証券)との声が出ていた。
日米欧の主要中央銀行は、ユーロ圏ソブリン債危機の影響で短期金融市場が機能不全となる事態を回避するため、3カ月物ドル資金供給で協調することを合意。欧州中央銀行(ECB)は15日、10—12月に3回のオペを実施し、年末にかけて銀行の資金繰りを支援する方針を明らかにした。欧州銀行の資金繰りに対する市場の懸念が強まっていたなかでの協調政策に、市場の不安心理はいったん後退したが、あくまで「対症療法」との指摘は多い。
「資金繰りが懸念されている一部のフランスの銀行などは一息つけるかもしれないが、問題はギリシャ国債などに対する引き当て不足への懸念であり、仏政府が資本注入を決断するまで市場の不安は続く」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)という。
シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏は、「現在の金融市場の緊張の根底には、ギリシャの財政状況がいっこうに改善しないこと、セーフティーネットの欠如を背景に影響が他の周辺国に波及していること、それらに伴い金融システムが打撃を受ける可能性があること──などが存在しており、長い目で見れば、流動性供給のみで乗り切るのは困難」と指摘している。
市場の期待が大きいユーロ共同債についても、ドイツのメルケル首相が「完全に間違い」と強く否定するなど、欧州問題の先行きは依然不透明だ。
16日にポーランドで開催されるEU財務相非公式理事会には、ガイトナー米財務長官が異例の出席をする。EU筋によると、ガイトナー長官は会合で、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)強化策を提案する見込み。EFSFを、米国のターム物資産担保証券貸出制度(TALF)のように運用して融資能力を拡大させることを提案するという。ただ市場では、ギリシャ支援について新たな具体策は打ち出されず、ギリシャが財政目標達成に向けて努力し欧州が支援を続けることを確認するにとどまるとの見方も多い。
<外為市場では介入警戒感強まる>
欧州金融機関のドル調達懸念が和らぎ、安心感の広がった外為市場は落ち着いた展開だった。前日に買われたユーロは、EU財務相非公式理事会前の持ち高調整で弱含んだ一方、ドル/円は材料不足で76円後半を方向感なくさまよった。
一部の欧州銀が当面のドル資金確保先として依存度を高めている為替スワップ取引では、ドル資金供給合意で、ユーロをドルに交換する際に支払う上乗せ金利が大幅に低下した。「欧州だけでは問題を収拾できなくなりつつあるなか、中銀同士が連携しているというメッセージも発信できたことに意味がある。タイミングが絶妙」(みずほ証券のFXストラテジスト、鈴木健吾氏)との声が聞かれるなど、市場の安心感につながった。
しかし外為市場でも、今回の協調行動について、市場では応急処置にすぎないとみる向きが多い。「足元の混乱は収拾できるが、ギリシャ問題という根本的な不安要因を取り除いたわけではない」(国内銀行)という。
ドル/円は76円後半でこう着。前日のニューヨーク市場では、日銀が取引を前提に金融機関にレート提示を求めるレートチェックを実施したとのうわさを手掛かりに、ドルは77.33円まで上昇した。実際にレートチェックがあったかどうかは不明。一部の国内銀行からは「レートチェックではなかった。(日銀が)注文状況や値動きを聞く、いわゆるヒヤリングだった」との声が出ていた。
ただ、ドル/円は過去最安値からの「のりしろ」が1円未満の水準で推移するなど、企業の想定為替レートなどと比べ依然として円高水準で推移している。世界的な政策協調の機運が高まる中、市場では「いつ(レートチェックが)あってもおかしくない」(国内金融機関)との声が聞かれるなど、介入を含めた政府・日銀の対応に警戒感が強まっている。
<円債市場では日銀緩和織り込む動きも>
午前の国債先物は続落。日米欧中銀のドル資金供給合意で、リスク資産選好が強まり、質への逃避はいったん後退した。短期筋からの売りが先行したが、需給環境は依然良好で、買い戻しも入り、3連休を前にしたポジション調整の範囲内にとどまった。
現物債も益出し売りから総じて金利に上昇圧力がかかったが、銀行勢を中心に押し目買いも入り、底堅さを見せた。イールドカーブにはスティープ化圧力がかかった。
バークレイズキャピタル証券チーフストラテジストの森田長太郎氏は「今回の危機モードが加速したのは8月に入ってからだ。ドルのLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)とOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)の拡大は、6月ごろから既にじわりと進んでいた。パニック的な欧州金融システムの動揺が始まる以前から、ギリシャ問題など欧州の構造問題が懸念されていたことを反映していたものとみられる。その意味では、中銀によるドル資金供給でドルのリスクプレミアムを完全に縮小させられるかどうかは不透明だ」と述べている。
東京金融取引所のユーロ円3カ月金利先物は小高い。中心限月の2012年6月限は前営業日清算値より0.5ティック高い99.695付近で推移している。市場では「債券安だが、来週のFOMCが意識されているもようだ。深読みすると、日銀の追加緩和への期待も、若干だが織り込み始めているのではないか」(国内金融機関)との指摘が出ていた。
(ロイターニュース 伊賀大記;編集 田中志保)
「この記事の著作権はロイターに帰属します。」
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