割安感薄らぎ日本株は足踏み、債券市場にも政治へのあきらめ感
さて今日も相場に関して、厳選したニュースをお伝えします。
この情報で相場はどう動くでしょうか?
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| 7月5日、日本株は足踏みとなっている。写真は東京証券取引所。昨年6月撮影(2011年 ロイター/Issei Kato) |
過熱感を冷やすために必要な休憩時間との見方もあるが、業績回復期待を織り込みつつある株価の割安感は薄らいでおり、買いのボリュームは膨らんでこない。債券市場などでも迷走する国内政治へのあきらめ感が強く、松本龍復興対策担当相の辞任にほぼ無反応だった。しかし、不安定な政治状況は震災復興の足かせであり、その懸念は日本株の上値を押さえる一要因にもなる。
<薄らぐ日本株の割安感>
日本株の割安感は株価上昇とともに薄らぎつつある。予想株価収益率(PER)は15倍程度に上昇し、海外株とそん色ない水準になってきた。株価純資産倍率(PBR)も全体では1倍を上回っている。個別では、ソニー<6758.T>やリコー<7752.T>など1倍を割り込んでいる銘柄も依然多いが、解散価値をみるPBRは株価下落時に重視される指標で、株価上昇時には収益性を測るPERが注目される。PERはソニーが30倍、リコーは23倍と割安感は乏しい。
「東証上場銘柄の90%が25日移動平均線よりも高い位置にある。通常は、80%を超えると過熱とされ、90%を超えると全体株価もピークをつけるケースが多い」(みずほ証券エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏)と短期的な過熱感を指摘する声も出ている。
売買代金が依然として膨らまず、これが先高観を後退させている。「戻り売りをこなすには東証1部売買代金で1.5兆円程度のボリュームが必要」(国内証券投資情報部)だが、株価が上昇している一方でそのボリュームは依然1兆円から1.3兆円程度のまま。「ポジションの巻き戻しが中心で、新規の買いがそれほど多いわけではない」(大手証券トレーダー)という状況もある。
東日本大震災前の日経平均の水準は1万0500円前後。企業業績はサプライチェーンの復旧にともなって急回復しているが、震災前の水準に届くかどうかは不透明。頼りは外需だが、6月米ISM製造業指数などの上振れで米景気減速懸念は後退したとはいえ、ソフトパッチ(景気の一時的後退)を抜け出せるかは見極めが必要だ。
東証業種別の騰落率をみると、5日前場段階で上位は保険、紙パ、銀行、電気・ガス、その他金融と内需系が多い。日経平均が1万円を超えた4日も、上位は電気・ガス、不動産、保険、銀行と並んだ。上振れた海外の経済指標を好感しながらも、物色の中心はディフェンシブ中心であることが、外需に対する市場の信頼度の低さを表している。
<復興担当相就任には冷ややかな市場>
一方、内需への期待が強まっているわけでもない。サプライチェーンの復旧と復興需要にとどまらず、東北地方に日本経済の新たな成長モデルを構築するプロジェクトなどが進めば、日経平均が震災前の水準を上回る可能性も大きくなる。しかし、そのリーダーシップをとるべき政治は混乱が続いたままだ。
不安定な政治は、日本株の早い天井感を形成する一要因だ。新設された復興担当相に就任した松本龍復興担当相は、失言問題の責任を取って、就任からわずか9日で辞任することになった。「この辞任が菅直人首相の早期退陣につながり新体制の確立が早まる、と期待したい」(ITCインベストメント・パートナーズ、シニアポートフォリオマネージャーの山田拓也氏)と市場は冷ややかだ。
円債市場でも、復興相の辞任には「失望しか感じられない」(邦銀)との声が上がったが、政治への無力感が強く、投資行動には反映されなかったという。菅首相の去就については、8月のお盆前に首相自身が掲げた三つの法案、つまり2011年度第2次補正予算案、特例公債法案、再生可能エネルギー特別措置法案を仕上げ、今国会中に民主党代表選を行う、との見方がある。SMBC日興証券のチーフ債券ストラテジスト、野村真司氏は「与野党とも、そのスケジュール感は同じだろう。2011年度3次補正予算は9月以降の編成になると思うので、マーケットが材料視するのはまだ先の話。債券市場への影響はほとんどなさそうだ」と話した。
<「HIA2」導入観測でドル買い>
外為市場では、国内材料への反応は乏しく、海外材料中心の展開。朝方はニュージーランド(NZ)の経済指標を好感してNZドルが上昇した以外、外国為替市場は全般的に動意が薄かった。しかし次第にドル買いの動きが強まり、ドル/円は80.90円付近のストップを巻き込んで81.11円まで上昇。ユーロ/ドルは1.45ドル付近のストップをつけて1.4470ドルまで下落した。
材料に乏しい中、ドル買いの口実になったのが、米国で浮上している新たな本国投資法だ。「ストップを巻き込んでドルが買い上げられていった」(信託銀行)という。前週にも1度流れたうわさだが、市場では「2005年のHIAと同様の税控除を求める声が強まっている。実現すればファイザー<PFE.N>やシスコ<CSCO.O>などから7000億ドルのリパトリエーション(本国への資金還流)が予想されており、大きなドル買い圧力となりそうだ」(外資系証券トレーダー)との声が出ていた。
中国が今週末に利上げするとの観測も流れた。中国と結びつきの強い豪経済へのマイナス影響が懸念され、もともと強まっていた豪ドル売り/米ドル買いに拍車をかけた。ムーディーズが中国について、地方政府に対する問題融資の規模が予想よりも大きいとの見解を示したことも「ドル買いを誘った可能性がある」(国内金融機関)という。
(ロイターニュース 伊賀大記;編集 北松克朗)
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