フィクションです。

注意注意注意注意注意注意注意注意


おかしい。
わたしたちは、お互いの気持ちも確かめ合ったし、それに。
それに、キスだって、した。

クリスタルはカラフルな水玉模様のシーツの上で膝を抱えて、天井の一点を睨みつけていた。
睨みつけていないと、涙が知らずに溢れ落ちそうだった。


あの日、エムボとお互いの気持ちを確かめ合ってから、初めてキスして。
それは本当に柔らかくて蕩けるようで、夢の世界に一瞬で飛んでしまうような経験だった。
でもそのあと、エムボが慣れた手つきで性急に求めてきたとき、ちょっと待って、って遮ってしまった。
抱き合ったときに早い鼓動を感じたその薄い胸は、やっぱり男の人のものとは違う。ドキドキする気持ちと一緒に、小さな罪悪感も芽生えた。
クリスタルがその薄い胸をそっと押して離すと、掠れた声でエムボは言った。


そうだよね、ごめん。

少し苦しそうな、上気した顔のエムボの瞳を見て、可哀想と心の隅で思った。でも、この勢いで突き進むにはまだわたしには覚悟ができていなかった。

最初はこの感情になんて名前をつけていいかわからなかった。
他の女の子に対する気持ちとは全く違うことは明らかだ。
他のメンバーとも違う。家族とも違う。


ーーー初恋のあの人に似ていたから。


最初はずっとそれでごまかしていたけれど、あるときから、初恋の人に事務所で会うことがあっても何も感じない自分に驚いた。
そして、焦った。
初恋の人は心からとっくに消えているのに、すぐ横にいるエムボにはどうしてこんなにドキドキしてしまうの。


そして、きちんと告白されて、正直嬉しかった。
これからメンバーにどう話そうかとか、ファンはどう思うだろうかとか、色々な不安はあったけど、それを上回る喜びがあった。


それなのに。


あの日から、なぜか避けられている。
私が続きを拒否したから?まさかね。そんな心が狭いエムボじゃないもの。じゃあ、何?照れてるの?
仕事ではいつもと変わらない。
でも、プライベートでは何かおかしい。


エムボは友だちが多いから、仕事のない時間はほとんどいつも遊び歩いている。
夜遊びも多い。
いつの間にかわたしの知らない身体のタトゥーも増えている。
どんどん自分から離れていってしまう焦燥感。
クリスタルは個人の仕事も増え、メンバーバラバラの時間も増えている。すれ違いばかりだ。


そんな中、クリスタルはある決意をしていた。
今度の香港でのイベントのとき、その夜は必ず同室にしてもらおう。
そして、ちゃんと話し合おう。
そして、この前は拒否してしまったけれど、今度こそちゃんと受け入れよう。

「わたしの可愛いプリンセス」

エムボが耳元で囁いた甘い声を思い出して、クリスタルはもう一度気合いを入れ直した。


「よし!わたしは待ってるだけのプリンセスじゃないんだから!」