<概要>
高強度コンクリートは、PC橋梁、タンクや、PC橋桁、PC杭など、通常より高い圧縮強度が求められる構造物に使用される。(コンクリート標準示方書においては、設計基準強度50N/mm以上)
高強度により、高層化や、断面を小さくすることができ、また、PC構造物との組み合わせにより、自重を小さくすることが可能である。
高強度コンクリートでは、高性能AE剤、もしくは、高性能減水剤を使用し、水結合材比を低減し
、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末といった混合材によって高強度を実現する。
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高強度コンクリートを得るための基本的な方法
設計基準強度60N/mm2
・水結合材比をできるだけ小さくする。
⇒高性能AE剤・高性能減水剤を使用する。(30%程度まで可)
80~100N/mm2
・水結合材比を小さくするだけでは所要の圧縮強度やワーカビリティを有するコンクリートの製造が難しい
⇒セメント(水和熱の抑制を目的として底熱ポルトランドセメント。中庸熱ポルトランドセメント)や混和材料(シリカフューム、フライアッシュ、膨張材、高炉スラグ微粉末)の種類や組み合わせ等の工夫を行う。
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<品質の確保>
・強度について
高強度コンクリートは水結合材比を小さくすることにより高い強度が得られる。しかし、単位結合材 量が多いため、初期に水和熱が高温となるため、圧縮強度が、標準養生した供試体の圧縮強度よりも小さくなる場合がある。
空気量の増加に対する強度低下の割合が大きいため、ワーカビリティに影響を与えない程度に空気量を小さく設定する。
⇒・低熱ポルトランドセメントのように発熱量の少ないセメントを使用
・プレクーリングにより、練り上げり温度を低く抑える。
・骨材強度がコンクリートの圧縮強度に及ぼす影響が大きいため、圧縮強度が得られる骨材が必要であ る。
・耐久性について
高強度コンクリートは、組織が緻密であるため、中性化の進行や塩化物の侵入に対して、抵抗性が高い。しかし、単位セメント量が増加することから、コンクリート中のアルカリ総量が高くなるため、アルカリシリカ反応に配慮する必要がある。また、凍結融解作用に対する抵抗性を確保するために、適切な空気量の設定と管理が重要である。
アルカリシリカ反応対策
⇒・アルカリシリカ反応が無害とされた骨材を使用。
・ アルカリシリカ反応抑制効果のある混合セメント使用'高炉セメントBC、フライアッシュ)
・ひび割れ抵抗性について
単位結合材量ひが多くなるため、結合材の水和熱や、自己収縮によるひび割れによって性能が低下する可能性があるため、留意が必要である。」
⇒ひび割れの発生を抑制する目的で、膨張材や収縮低減財を使用することがある。
・水密性について
高強度コンクリートは組織が緻密であるため、水密性に優れる。しかし、ひび割れにより、所定の水密性が得られない場合があるので、注意が必要である。
・耐火性について
組織が緻密であるため、火災により、表面が高温にさらされると、水結合材比が小さいほど爆裂を生じる可能性がある。耐火性を必要とする構造物では、爆裂対策を講じる必要がある。
⇒コンクリート中に短繊維を混入、耐火被覆による温度上昇の低減、鋼板による飛散の防止
・ワーカビリティについて
結合材量が多く、粘性が高いため、圧送時の管内抵抗が大きい、振動締固めしずらく、充填性が低下する。、そのため、所要のワーカビリティが確保できるように、使用材料や配合について十分検討し、高い流動性、材料分離抵抗性を確保する必要がある。
<施工>
・運搬
高強度コンクリートは粘性が高いため、通常のコンクリートよりも圧送負荷が大きいため、十分に圧送能力を有する機種を選定しなければならない。
・打ち込み
また、粘性が高いためバイブレーターの振動が伝わりにくいく、所要の締固め効果が得られるよう、打ち込み方法、締固め時間、バイブレータの挿入間隔等を適切に定めなければならない。
・仕上げおよび養生
高強度コンクリートはブリ―ディングがほとんど生じず、打ち込み直後に表面が乾燥しやすく、こわばり、凝結遅延が生じること、粘性の高いペーストのため。コテ仕上げが困難な場合があることから、仕上げ時において、表面に霧吹き等によって、水分を散布するとよい。
・型枠
高強度コンクリートは流動性が大きいため、型枠に作用する側圧が液圧にちかくなるたえ、液圧として、設計すること。