インドECの共通点として、Top3をはじめとするメジャープレーヤーが
軒並み赤字からの脱却が出来ていない点が上げられます。

Top3のデータがそろっているFY2014時点の営業利益(Operating Margins)は、
 Flipkart -92億ルピー ※1ルピー = 1.6円程度
 Amazon  -17億ルピー
 Snapdeal -132億ルピー

となっており、これは単年でなく過去も同様に赤字です。

むしろ赤字幅がようやく縮小に向かいつつある、といったところです。


赤字の原因はインフラ環境に起因する部分と、インド独自のユーザ特性に起因する部分に分かれます。

インフラに関しては、Flipkartを中心とするプレーヤーがEC市場を創出しているような
イメージで、日本のECが当たり前に備えているサービスを彼らは一から投資して作り
上げているような状況です。

例えば、デリバリーのインフラ(物流から倉庫など)、決済、さらには商品ラインナップ
拡充のための企業・ブランド誘致に至るまでです。
未整備な道路や極めて貧弱な運送網なインドにおいて、トップ企業は5日前後でインドどこでも
ほぼ100%の配送日遵守率を誇っていますが、日本と違いインドでこれを実現することがどれほど
大変なことか想像できるでしょうか。

FlipkartやSnapdealなど国内系ECはVCから多くの投資を受けて成長を成し遂げていますが、
投資の多くを物流中心に投下しているのが実態です。


ユーザ特性に関しては、インド人は日本人以上にプライスコンシャスであるという特徴があります。
インドのECサイトを見ると分かりますが、30-50% ディスカウントが当たり前に行われていたりしますし、それがセール時期などでなく恒常的にです。
一瞬Giltのようなフラッシュマーケ的なサイトなのかと思ってしまうくらいの値下げ合戦。
彼らはいわゆる「プロモーション費用」としてこの値下げ原資を管理しているのですが、
本費用の大きさが故になかなか赤字から抜け出せないという状況です。



VCからの投資を原資に事業運営をしているため、まだ赤字での経営も成立しますが、
いわゆる産業としての「創業期」を過ぎつつある中で、どこがいち早く黒字化できるかは
市場の大きな関心事でもあります。




■「インド」って一括りに言うけども

インドのECに関する情報を調べていると、マーケットのポテンシャルという観点での記事・情報をよく目にします。
具体的には、生産年齢人口の多さという人口動態やWeb/ECの利用人口の伸びといったポテンシャル的な内容から、インターネット速度や道路状況などのインフラ課題といった内容など、総じてマクロな視点が多いように思います。

これはこれで正しい情報な一方、話が大きすぎて実感が湧きにくいのと、いざ自らが同国で具体的な事業に携わる際にはちょっと単純化し過ぎて使いづらい感じを常々受けておりました。

そこで、これまであまり語られることがない、ややミクロなインドのビジネス情勢について、書いていきたいと思います。



■赤ん坊な大手3社がしのぎを削るEC市場

インドのEC市場規模やその伸びはたくさんある情報源に譲るとして、その具体的なプレーヤーについてちょっと解説します。

現在のインドEC市場は大手3社による競争環境にあります。
 1. Flipkart (フリップカート)
 2. Amazon India
 3. Snapdeal (スナップディール)

Amazon以外はドメスティックな会社です。
特徴としては、一番古いFlipkartが2007年事業開始、Amazonに至っては2012年進出という赤ん坊のような年次の会社がマーケットを席巻していることです。

Flipkartがまず、「時期尚早」と言われ続ける中でEC事業に切り込み、Snapdealが2010年にそれに続く、そして黒船ことAmazonが2012年にマーケット進出を果たしました。

日本で言えば、Rakuten、Amazon、DeNAといったところでしょうか。
(YahooのほうがDeNAより知名度・売上含めて上ですが、ドメスティック企業でイメージしてもらうため)

このTop3の事業状況には非常に興味深い共通点があります。
それは次回に。。。

今日で15年度の最終日です。

16年度の準備として、オーストラリアでのビジネス構想を描き、進めていたのですが、
Opportunityの関係もあり、16年度は急きょインドに携わることになりました。

場所のメインはデリーで、実際に何度か渡航します。

関連する記事も執筆することが予定されています。


オーストラリアでないのが少し残念ですが、、、


個人的には今回の機会を長期的なキャリアプランの中で非常に重要と考えています。

ご存知の通り、ビジネスの中心地は欧米からアジアに移りつつあります。

そのトレンドの中で、世界のTop企業の多くがCEOがインド出身という報告もありました。

彼らは欧米で教育を受けている者もいますが、国内大学出身も多くいます。

それはすなわち、従来の欧米中心のマネジメントや事業戦略の考え方なども変わっていく
可能性が高いということだと思います。


また、インドという国のマーケットの特殊性も面白いものがあります。

例えば、単純な数字的に見ればものすごいIT大国になりつつあるように見えますが、
現地に行くと物流網など基本的な産業インフラが未整備など、従来の先進国の
発展模様とは必ずしも一致しない姿も見られます。

そして、こういった国がアジアには多く、彼らが21世紀をけん引していくのです。


その中心にビジネスパーソンとして実体験をする機会を与えられたというのは
非常に幸運だと思いますし、身を置いたものにしか語れない大きなステージに
乗れる、謂わば「会員制クラブの資格」を得られたような気分でもあります。


5年ほど前に訪れた南インドは、必ずしも発展の中心地ではありませんでしたが、
それでも日本とは圧倒的に違うエネルギッシュなワークフォースに満ち溢れていました。

そして、その時の経験は駆け出しのビジネスパーソンであった私にあまりにも
大きな影響をもたらしました。

今回も前回同様、いやそれ以上の実りある機会となることを願ってやみません。


私はコンサルタントとして若い頃、よく背伸びをしようとしていました。

「背伸び」をもう少し具体的に述べます。

仕事に糧になるから、という理由で、仕事の成果にすぐには結び付かないような
世界経済、金融、国際政治など、よりマクロ的な視点であったり、
「賢くなった気がする」ような大きな世界に触れられるような書籍を
読み漁った時期があります。

最近はこれらを「リベラルアーツ」という表現を使って推奨する流れもあります。

別にこれらを若いうちに読むことを否定するつもりは全然ありません。

読めるなら読むに越したことはないです。

ただ、読む上で理解していただきたいのは、「すぐには成果が出ない」ということ。

それを今日は少し考察したいと思います。



私の中で、当時これらの概念・テーマに対し、ある種の憧れを抱いていました。

それらを理解することは人間社会や森羅万象を理解していることであり、一流の
ビジネスマンが到達すべき境地なのではないか、と。

実際に読んでみると、たしかに賢くなった気がしました。

ニュースの内容がこれまでより理解できるようにもなりました。

でも、それが割り与えられている仕事へのパフォーマンス向上につながったかというと、
残念ながらNOでした。


当時はその理由を考えたこともありませんが、今振り返ると色々と見えるものがあります。

まず単純に、日本において若手に振られる仕事の内容や、典型的な出世方法が
欧米に端を発するリベラルアーツ的教育とズレがあります。

当時読んだ本を思い出すと、気付かずに血肉になっている可能性もありますが、
記憶としてクリアに残っているものはほとんどありません(笑)

過去の自分に評価を下すのであれば、「ROIが悪い」と断じます。



じゃあ何が良いかというと、最初の頃はとにかく「目先」の結果を出すこと優先。

小さくても着実に評価を得ることにこだわったほうがいいと思います。

なぜか。

それは、ある程度の立場・ステージなどに行かないと、機会が与えられなかったり
自由が制限されているということが多分にあるためです。
(古人はそれを「石の上にも三年」と表現したのではないでしょうか)

どれだけ国際経済を理解していようとも、新米コンサルタントに大企業の戦略立案の
コンサルティング依頼は来ませんし、来ても出来ません。

新米には出来ない経験が中堅になると出来、新たに見える世界が増えます。

その多層的に見た経験があって初めて、大きなことを達成できるだけの器ができます。



少し前になりますが、飛行機に乗っている時に、これを非常に分かりやすく
表現しているような風景を目にしました。

私の表現力という限界はありますが、ちょっとがんばってお伝えします。


私が目にしたものは、眼下に広がる広大な畑でした。

羽田からたしか富山に向かっていたので、中部地方あたりだと思います。

上から見ると、雲の大きな流れが見え、土地柄としての日当たりの良し悪しが分かります。

土壌の違いも畑にはありますし、水はけや丘陵地か平地かという地形の違いもありました。

目についたのは、「マクロ」の視点での特徴です。



この情報の有用性は、畑を持つ人の状況によって大きく変わってくるのが分かりますでしょうか。

もし畑の所有者が自由に畑を移動することが出来るほどの財力や自由などを持つのであれば、
この情報は重要であり、価値があります。

生産量を増やしたくなったり、日当たりの悪さに悩んでいたり、畑の環境に関する悩みがあれば、
おそらく最善の策は地域的に日照時間が長い場所や、土壌が肥沃なエリアを選ぶことです。



中世ヨーロッパのような封建制度の元、土地に縛られている場合はどうでしょう。

あるいは、畑を移るほどのお金や覚悟などがない場合はどうでしょう。

まず、前述の土壌の情報はほぼ役に立ちません。

仮に300km下流に肥沃で日当たりの良い場所があると言っても、移動できないのです。

この場合、畝の作り方、土壌改良、灌漑、作物の変更、品種改良などに関する情報は役立ちます。

別の言い方をすると、後者が変えられる環境は前者よりも小さいのです。

前者は土地を移るという選択肢を持ちながら、それをせずに土壌改良で課題解決しても
良いのですが、後者には土地を移るといった際に必要な情報は「無価値」です。




さて、話を元に戻します。

私の駆け出しの頃は、自分の影響を及ぼせる範囲がまだ限定的にも関わらず、
大きな自由や裁量を持つ人達に大きな価値を与えるような情報を必死に、
そして闇雲に集めて満足していました。

本当に必要な情報はなんとなく「小さく」見え、退屈で極めて些末な事に思えてました。


経営者と同じ情報を得るのですが、そこで興味深い違いが起こるんですね。

情報を得た後の処理に圧倒的な差が出るのです。

経営者はそういった情報に対するニーズを強く、そして具体的に持っています。

また、それを得た際に利用・活用する機会もあります。

InputしたものがすぐにOutputされるサイクルがあるため、記憶や経験としてしっかりと
蓄積されるのです。

パズルのピースがかっちり「はまる」のかもしれません。

それに対し、私は相対的にニーズも具体性も弱く、機会もありませんでした。

そうすると、「次」がない。

便利な脳みそは「次」がないものを不要と判断し、短時間で消滅させてくれます。

消さないためには「次」を作り続ける必要があるのです。

この努力は外的環境に強制されないと、なかなか厳しいです。
(だから学校には試験があるのです)

逆に、自分が必要なステージに行くと、びっくりするくらい吸収できます。


自分のいる場所を客観的に捉えた上で、己の力量や範囲にあった選択をすることの
重要性を書いてみました。

近年のオーストラリア産業の特徴に「製造業の衰退」という事柄があります。

そもそも「オーストラリアに製造業!?」という驚きはあるかもしれませんが、
2000年代くらいまでは真剣にここで勝負をしていました。

とはいえ、人件費の問題や競争力不足などから徐々に限界は見えてきました。

その顕著な事例として、2017年までに自動車製造拠点がオーストラリアから完全撤退します。


では、今後のオーストラリアはどこに向かうのでしょうか。

オーストラリアというと資源・農業というイメージが強いと思います。

ところが、統計的に見ると第一次産業はGDPシェアの2.4%、鉱業は9.3%です。

鉱業はシェアとして高いですが、農業は意外にも低い。

ちなみに、衰退と言われている製造業は6.6%となっています。

衰退と言われる製造業が落ち込んだ時、少なくとも農業はこれを吸収できるか疑問です。

GDP的にも雇用規模としても、です。

鉱業は世界の需要に影響されたり、世界的な生産調整が頻発することを鑑みると、
一国でコントロールできる範囲には限界がありそうです。


オーストラリアは近年、政策としての「ミドルパワー」を掲げています。

それは「大国」として振る舞い、大国としてのプレゼンスを発揮することを目指してきた
20世紀の方向性と決別し、「中規模国家」として大国にどのように影響力を行使していくか、
どのように世界経済の中で国益を模索していくかを国策と位置付けたことになります。

ミドルパワーは、大国と比べて利用可能なリソースが限定的です。

アメリカのようにあれもこれも、と全方位的にプレゼンスを高めることは実質的に不可能です。

手本となるのは、例えばスイス、エストニア、フィンランド、オランダなど、
国家規模は小さいながら、圧倒的なナショナルブランドを勝ち取りつつある国々。

経営戦略的に言えば、選択と集中において成功を収めつつある国々です。

明治の頃に日本がアメリカやイギリス、ドイツなどを模倣としたように、オーストラリアは
これら中小国家の鑑となり、それらを巧みに取り込むことで世界でのプレゼンス発揮を
目指しています。


その際、オーストラリアの課題は、このナショナルブランドというか、対外的な分かりやすさが
薄れつつあることではないでしょうか。

かつては評価されつつあった移民政策は、自由/労働党の政権交代ごとに安定しません。

観光に関しては、増加傾向は続くものの、NZと中国に支えられているのは否めず、
保持する観光資源を鑑みると十分にポテンシャルを発揮していると評価はできないかと思います。


小規模国家のようにどこかに特化するには国家規模が大きすぎる一方、多方面に手を広げる
には国家規模が小さすぎるという「帯に短したすきに長し」というジレンマを抱えている
ように見えるのは私だけでしょうか。