すがすがしい読後感。

芥川賞受賞作「コンビニ人間」。

きっと我々のようながんサバイバーで、社会復帰を目指し、仕事選択に悩む人の力にもなってくれることだろう。

(以下ネタバレあり)


コンビニでバイトをして18年の主人公・古倉恵子。彼氏なし36歳。そんな彼女と一緒に暮らし始める白羽さん。(でも男女の絡みはなし。その関係を不思議に思いながらも読み進めると)、主人公はやがて自己、自分の人生にこれまでとは異なった思いを抱くようになる。

そしてある日から、自分に嫌気が差し自暴自棄にさえ陥るが、それでも再びコンビニで働くスペシャリストとして覚醒していく様(さま)が、すがすがしく、生き生きと描かれ、思わず感動して涙がじんわり😊


スペシャリストを侮ってはいけない。

日本の繁栄は市井のスペシャリストたちが支えてきたはずだ。

「工業立国」「ものづくりニッポン」をなし得、平成元年の頃には“ジャパン アズ ナンバーワン‘’と言わしめるまでに上り詰めた背景には、

24時間戦えるか♪とばかりにモーレツに働いていた国民性があった。

あの歌はそのあと♪ジャパニーズ・ビジネスマン♪とビジネスマンをモーレツに鼓舞していたが、

モーレツに働く慣習はブルーカラーも同じだったと思う。


「働き方改革」の令和の現在,あの頃に戻ろうなんてヤボなことは言わない。


そうではなく、「コンビニ人間」に見るような、高収入でない、あるいは正社員でないスペシャリストたちの働きぶりが再評価される時が来ているのではないかと思う。


今後AI化で、ホワイトカラーの仕事は減少していくと予想されている。

でも、工場などものづくりの現場で「この仕事はあの人じゃなきゃ出来ない」という仕事をしてきた人は、AIをも手下にして、ものづくりを支えていくことだろう。


「コンビニ人間」でも見せてくれたコンビニスペシャリストの仕事は、AIには気付けないであろう、単なるルーティーンに留まらない主人公の仕事っぷりが鮮やかなこと🌟(コレ、村井さんの体験から来てる話だもんね、リアルなのよ✨)

今やコンビニに行くと店員さんを「この人もそんなスペシャリストだったりして⁉️」と、尊敬の眼差しで見てしまうこともある(滅多に出くわしませんが😅


「コンビニ人間」は、そんな市井のスペシャリストの仕事の重要性と価値を再認識させてくれると共に、

自分と他人に違和感を覚えているような人たちにもおススメしたい。

「社会に適応しながら生きてる友人と、なんか自分は同じになれない……」、そんな思いを持っている方は是非💕😊