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88歳のクリント・イーストウッドが監督兼主演の映画『運び屋』観てきました。

演じるのは、90歳にして麻薬の運び屋をつとめる自由奔放な爺さんの役。その歳にして、いや、だからこそ狡猾に仕事をこなし、女遊びも大好きだ。
(以下ネタバレあり)
車を運転するだけのその仕事を、最初は麻薬の運び屋だとは知らずに始めた。
だが、もらうお金で家族や大切な場所を守ることが出来たことから、すっかり手を染めていってしまう。

その背後に見え隠れするのは家族との関係だ。
家庭を顧みず自分の仕事に夢中になっていた彼は、家族から見放されていた。とても孤独な老人だった。
得たお金で家族との関係が修復出来ること、仲間たちを助けられること。
彼の堕落は、彼の良心から生まれていたことがとても哀しい。

ゴキゲンな音楽、広大なメキシコの風景。自由気ままな悪い爺さんのロードムービー🎬
……であるはずなのに切ない気持ちになるのは、そんな爺さんが実在したという事実を通して、クリント・イーストウッドが、自身も抱えていた孤独を描き出したかったのではないだろうか。

88歳という年齢で今なお現役の稀代の天才は、その人生を振り返り、贖罪としてこの映画を生み出したのかもしれない。

そんなことを思った。