新型コロナウイルスの影響もあってドラッグストア等でありえない振る舞いをする客が目立っているが、日頃から接客業で働く人たちは理不尽なクレームや暴言に耐えているようだ。
新型コロナウイルスの影響もあってドラッグストア等でありえない振る舞いをする客が目立っているが、日頃から接客業で働く人たちは理不尽なクレームや暴言に耐えているようだ。
「散々クレームを入れてきたおじさん。奥から店長が出てきて対応を代わってもらったら、とたんにおとなしくなった」(20代・女性)
「女なんか信用できない、男を出せ! っていう人は少なくない」(30代・女性)
「毎週のようにきて、30分以上クレーム入れ続ける人がいる。ターゲットにされたのか、絶対に私の所に来るので胃が痛い」(10代・女性)
なかには、女性というだけで暴言を吐かれた…という声も上がっている。
もともと少なくない、接客業への理不尽すぎるクレームや暴言。新型コロナウイルスへの不安のせいで一層増えてしまっているようだが、目の前にいる店員を責めたところで事態が好転するわけでもない。
こういう時だからこそ、心にゆとりを持った行動・発言を心がけたいものだ。
一言でシルバーモンスターといっても、いろいろなタイプがいるため、その対応を困難にします。もちろん、あらゆる世代にクレーマーは存在しますが、シルバー世代の方はそのクレーマーの特徴が顕著なケースが多いように感じます。
【タイプ1】世直し気取り・インテリ型
「おたくのホームページに書いてある企業理念は嘘なのか?」
「この方法で安全は保証できるのか?」
企業の商品やサービスのほんのささいな瑕疵(かし)を見つけては問い合わせの電話やメールを繰り返す――。金銭的な補償ではなく、自らのクレームへの明確な回答や改善を強く求める場合、このタイプにあてはまる可能性が高いです。また、企業戦士だった現役時代の知識や競争社会で身に付けた交渉力を武器にして、担当者を論破しようとする特徴もあります。
彼らは金品をかすめ取ろうとしているのでもなければ、必ずしも悪意をもってクレームをつけているわけでもありません。正論で意見しながら、次第に善意による説教へとエスカレートしていきます。商品や取扱説明書を熟読・分析し、理論武装した重箱の隅をつつくようなクレームの数々は、正当性も高いため一概にクレーマーだと扱うことができず、対応を困難にします。
こうしたシルバーモンスターたちは、自分の居場所が見つからないという鬱屈した感情を抱え込んでいることも多いため、「ご指摘ありがとうございます」「ご意見ありがとうございます」などの言葉に快感を得て、企業に接客の極意を説いてしまう、「世直し」気取りなのです。
【タイプ2】絆・偏向・思い入れ型
「うちの大事な孫に何かあったらどうしてくれる!」
「おたくの理念に感銘を受けたのに裏切られた!」
「俺が現役だった頃は……」
自身の思い描いた理想や大きすぎる思い入れが満たされず爆発してしまうのが、このタイプです。
現役時代は子育てに参加せず、企業戦士だった罪悪感から孫に積極的にかかわるシルバーが増えています。まっすぐ孫に向き合う場合はいいのですが、核家族化の昨今、あまり会うことができず寂しさを抱えているシルバーは、その思いが屈折し、クレームとして表れてしまうこともあります。
第3回「実はモンスタークレーマーを育てていた、従業員の『絶対NG対応』」で紹介した事例は、まさに思い入れ型。たまにしか会えない孫に何かあったらという不安感や「おじいちゃんすごい」と尊敬されたい気持ちが根底にありました。
また、定年後の有り余る時間を何にも消費できず、孤独を抱えたシルバーが企業に粘着するケースも後を絶ちません。新規顧客用の丁寧な対応に感動し、その後も継続的に同じ対応を求めて、電話や手紙を何度も要求します。もともとファンだったこともあり、好意的な発言も目立ちますが、有り余る時間を最大限活用した要求の数々は業務に悪影響を及ぼします。
同様にOBが善意から説教クレーマーになることもあります。自分が在籍していた企業に輝いてほしい、誇れるような企業になってほしいと、理想を持ち出すのです。
● 【タイプ3】唯我独尊・自己中型
「接客態度がなっていない!」
「女では話にならん、男(上司)に代われ」
退職後に孤立感を深めた男性が、いびつな形で自分の存在感を示そうとしてしまいます。現役時代に大きな業績を残したり、周囲からチヤホヤされたりしていた人が、引退後に「ふつうのおじさん」扱いされると、一種の疎外感を覚えるものです。それが、結果的に怒りの沸点を下げることになりかねません。自身に誇りを持つことはいいことですが、自分が正しいと、相手に正義を振りかざすことは大きな問題です。
「店内の陳列をもっと工夫しろ!」「安全対策を怠っている!」などと、企業にクレームを寄せる背景には、こうした心理が働いていることが少なくありません。ひとりよがりな正義感に立ち向かうとき、担当者が強いストレスを受けることは間違いありません。
【タイプ4】「お年寄り」強調型
「(こちらの注意に対して)耳が遠いからよく聞こえない」
「年寄りだから特別扱いをしろ」
「年寄りだからってバカにしてんのか?」
老化に伴う身体的な衰えを理由に、過度な要求を無理やり通そうとするタイプです。また、こちらが注意をしたとしても、耳が遠い、初期の痴呆だとうそぶき相手の話を聞こうとしません。例えば、セクハラまがいな直接的な接触などで「お年寄り」を強調する場合もあり、現場従業員の心的苦痛を助長させています。
「年寄り」を理由にした過度な要求を、業務上の理由でお断りすると、いきなりキレだすことも特徴です。そうなると、不満が雪だるま式に大きくなり、シルバー本人もどうしたら怒りが収まるのか収拾がつきません。被害者意識にスイッチが入り、「バカにしているのか!」と、声を上げることも珍しくありません。
● 【タイプ5】心のさびしんぼう型
「私が子どもの頃はね……」「あなたはどこの出身なの?……」「うちの息子が……」
話しぶりは穏やかで、ごく一般的なお客様だと思って対応していると、自身の身の上話や従業員のプライベートについてなど、脈絡なく話し続け、あれよあれよと数時間。このタイプは有り余る時間を一緒に潰してくれる相手を求めている寂しがりやのタイプです。ご家族がいないであろう昼過ぎの数時間、必ずコールセンターの同じ担当者を希望するシルバーもいます。
たまに買い物をしてくれるため、業務を妨害するクレーマーだと判断することが非常に困難で、現場にとって一番やりにくいタイプかもしれません。要求がわかりにくく、話が長く支離滅裂ですが、何かのきっかけで不満が爆発することもあります。
● 根底にあるのは「孤独感」と「承認欲求」 “心の上から目線”で冷静な対応を
クレーマーは会社の対応や従業員の言葉尻をとらえ、個人を攻撃してきます。
「いったいどんな教育を受けてきたんだ」
「親の顔が見てみたい!」
こんな怒声を浴びせられると心が悲鳴を上げます。
私はこうした言葉を浴びせられても、真正面から受けません。スルーしたり、「そうですか……」などの言葉を返してやり過ごしたりしながら、相手の真意(第二の感情)を見つめます。元刑事は言葉の意味や声の大きさだけではなく、表情やしぐさ、そして視線などで真意を探ります。
ほとんどのケースで、正論を武器に攻撃してくる多くのシルバーモンスターの根底には、「孤独感」と「承認欲求」があるのです。
今回の分類した5タイプも境界がはっきりと分かれているものではなく、それぞれが複雑に絡みあっています(図参考)。ですが、タイプ分類で相手のキャラクターを早めにつかむことができれば、感情が落ち着き、相手からの罵声や非難、中傷が心に刺さらなくなります。
「きっと寂しい人なんだ」
「家族や近所で疎んじられているんだな」
私はこれを「心の上から目線」と呼んでいますが、こうすることで、落ち着いて冷静な対応をすることができるのです。
正義の仮面をかぶったシルバーは、時には弱者、時には敬うべき先人として、無責任に、理不尽な言葉でマウントをとってきます。こうした深層心理を探ることで上手に攻撃をかわし、自らの感情、心を守ってください。
※弊社は世間一般でお客様からのご指摘と呼ばれている事柄を「ご指摘」と表現しています。
お客様からのご指摘は誠意をもって「対応」するもの
例えば、就職したいと考えている会社が、将来性がある良い会社なのか。取引先の会社は、これから成長が期待できるのか。いまはネットで調べれば、簡単になんらかの情報を得ることができますが、それは「誰か」の知見やものの見方です。それを参考にしながらも、自分自身で実際にその会社のよしあしを見抜く”確かな目”を養っていくことが大事です。
経営の格言の一つに、「クレームの対応で会社の値打ちが決まる」という言葉があります。
ご指摘に真摯に対応することは、どんな業種においても企業の絶対原則と言えます。ご指摘の大半は、人の対応によって起こります。買った商品に不具合があったとしても、それに対して納得のいく対処をしてもらえたら、不満は解消します。真摯に、できる限りのことをしますという誠意が伝われば、許していただけるどころか、「対応がとても気持ちがよかったので、これからもお宅の商品を買いたい」とファンになってくれることも少なくありません。
「あそこの商品はもう二度と買わない」と言うようなアンチの人を生んでしまうか、ご指摘をきっかけとしてファンになっていただけるかは、その場でどう対応するか次第なのです。
ある会社のパーティーの席のスピーチで、ある銀行の常務さんが、「クレーム処理」という言葉を使っていました。その瞬間に私は「この銀行はダメだ」と思いました。お客さまに応対することを「処理」と表現する姿勢に、大きな感覚のズレを感じたのです。処理とは、ものごとに始末をつけること。役員レベルの人が平然とそういう言い方をしているということは、この銀行がお客さまの声にどう向き合っているか、自ずと分かります。
ご指摘は、「処理」するのではなく、誠意をもって「対応する」ものです。
また、あたかもいいことのように「クレームゼロを目指そう」というスローガンを掲げる会社があります。これは、ダメな会社の典型です。「ミスゼロを目指そう」「事故ゼロを目指そう」というのは、社内で働く人の意識の問題ですから、注意喚起することで減らしたり、なくしたりすることができます。それは業務の改善にもつながります。それにより、ご指摘が減ることは当然、良いことです。しかし、ご指摘ゼロは本質的に別物です。なぜなら、ご指摘はお客さまが感じることだからです。こちらがゼロにしようとして勝手にできるものではないのです。それをスローガンにし、「どうだ、クレーム件数は減っているか?」と言われても、現場で働く人たちは困ってしまいます。その挙句どうするかというと、お客様からご指摘が寄せられても、「上には伝えずに隠そう」ということになります。報告したら怒られたり評価が下がったりしてしまうから、なかったことにする。握りつぶそうとしてしまうわけです。
最悪です。
「うちは、半年間クレームが1件もありません」なんて言っているのは、そういう実態が分かっていない会社です。事業を続けている限り、お客様からのご指摘は必ず発生します。
何かで「隠そう」「隠しておけばいいや」という隠蔽体質ができてしまうと、他のことでも隠すようになっていきます。さまざまな不正の温床になっていくのです。お客様からのご指摘をなくしたがる会社は、「お客様からのクレームは良くないものだ」という固定観念があるのです。その考え方がすでに違っているわけです。一部のクレーマー体質の人は別として、一般のお客様からのご指摘というのは、自分が価値に見合うものを得られなかったという不満からきています。
そこで今回皆さんにお教えしたいのは
その価値の基準となるのは何かということです。
それは
「QPS」です。
「Q=クオリティ、P=プライス、S=サービス」。
お客さまはこの3つの兼ね合いで判断しています。
どんな商品でもクオリティは高いほうがいいに決まっていますが、そのクオリティも値段次第です。100円ショップの商品に、ブランド商品と同じだけのクオリティを望んではいません。「100円にしては十分なクオリティだ」と判断するから買ってくれるのです。ファーストフード店に、サービス料をきっちり取る飲食店のようなクオリティとサービスを求めないのも同じです。
お客さまは、自分が買った商品、受けたサービスに対して、見合うだけの価値がないと感じるときに、不満を感じます。なかには、ご指摘を申し立てるお客さまもいます。ですから、お客さまが何にどんな不満を感じたのか、どんなことに怒っているのかを知ることは、まさにお客さま視点でのリアルな要望を知る好機、チャンスなのです。
お客様からご指摘を受けるということは、お客さまとの絆がつながる絶好の機会です。その精神が、お客様からのご指摘はチャンスの宝庫なのです。